仮想通貨に関する項目を変更
財務省に暗号資産(仮想通貨)取引を任意で禁止する権利を付与し得るとして、反発の声が挙げられていた「米国競争力法2022年」について、業界ロビー団体Coin Centerは1日、対象となる項目が削除される方向へ進んでいることを発表した。
同団体のエグゼクティブ・ディレクターであるJerry Brito氏がSNS上で「草稿を提出した米民主党Jim Himes議員が『特別措置』に関する項目について、我々の意見を聞いてくれた」とコメント。修正案は今週後半に検討される見込みだ。
Thanks for working with us on this @jerrybrito Good outcome. https://t.co/RSf5PBQ10L
— Jim Himes (@jahimes) January 31, 2022
Himes議員もBrito氏の協力に感謝を示した。
法案自体は中国を念頭に米国の競争力を強化することを目的としたもの。特に、21年に頻発したランサムウェア攻撃など国家安全保障の観点から、米国財務省傘下の金融犯罪取締ネットワーク(FinCEN)の監督権限を拡大する項目が含まれている。
Brito氏が先週26日、問題提起したのは「America COMPETES Act(米国競争法)2022」の『特定資金移動の禁止・限定』に関する条項。法案自体には『財務省などが特別措置』を届ける際のプロセスを簡略化する」と説明しているが、Brito氏は仮想通貨だけではなく、米国におけるプライバシーと適正手続(デュー・プロセス)全般に害をもたらすと懸念していた。
従来、財務長官が金融機関に発令する「特別措置」では、顧客取引の監視・記録保持および取引停止を指示できるが、措置前に①合理的な根拠が存在する必要性と②情報の公示、そして③120日間の時間制限がある。
しかし、今回の法案ではこうした制限を取り除き、「特別措置のプロセスを簡略化」する項目が含まれていたことから、Brito氏は財務省が事実上、身勝手に米国市民の仮想通貨取引を差し押さえることが可能になってしまうと危惧。
米財務省が経済制裁を免れる手段や詐欺、資金洗浄およびランサムウェア攻撃などの不正行為を行う為に仮想通貨を利用していると判断した場合、事実上仮想通貨口座の取引停止も可能になる状況は米国法の適正手続の保障に反するとBrito氏は反発していた。
Brito氏は21年8月、米バイデン政権を筆頭に、超党派で促進されていた大型政策のインフラ法案についても、仮想通貨取引に関する項目が不明確である点を危惧して、積極的に反対の声を上げていた経緯がある。
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米国の仮想通貨法案
米政府関係者によれば、2月中に国家安全保障の観点からバイデン政権は仮想通貨に関する大統領令を発令する準備を整えている模様であることが報じられている。
また、同時期にテキサス州やアリゾナ州、ミシシッピ州でビットコイン(BTC)を法定通貨として認める法案や、イーサリアム(ETH)などのオープン・ブロックチェーン・トークンが証券法の適用から外される法案などが提出されている。
さらに、財務省では20年12月に物議を醸した仮想通貨ウォレットの規制案の検討が再開しており、22年9月までに最終判断が下される見込みだ。