米NY連銀「ステーブルコインが最良の決済手段とは考えにくい」

ステーブルコインよりも預金トークン化を提案

米ニューヨーク連邦準備銀行の研究者らは7日、ステーブルコインについて論じる記事を発表。ステーブルコインは分散型台帳技術(DLT)により展開できる最良の決済手段とは考えにくいと表明した。代わりに、預金のトークン化を提案している。

研究者らはまず、ビットコイン(BTC)なども含め暗号資産(仮想通貨)を流通させる技術であるDLTについて、既存の取引システムを改善する可能性があるが、同時にスケーラビリティ(拡張性)などの制約も課題だと指摘している。

その上で、「もしDLTプラットフォームが今後も存在するとしたら、その送金メカニズム上で、決済手段として使用できる最良の貨幣は何か」と問いを立てた。そして、その答えがステーブルコインになるとは考えにくいという。

ステーブルコインとは

価格が常に安定している(stable)仮想通貨を指す。ステーブルコインは暗号資産の一種で、BTCやETH、XRPなど変動性のある資産とは異なり、米ドルなどに裏付けられその価値($1)を保つことが目的だ。米ドルの裏付けによるステーブルコイン(USDT・USDC)のほか、DAIやUSTといったアルゴリズムを利用するステーブルコインもある。

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ステーブルコインが最良ではない理由

研究者らは、ステーブルコインが最良の決済手段とならない理由として、次のような項目を挙げた。

  • 安全なステーブルコインは流動性を制限する
  • 流動性を制限しない種類のステーブルコインはリスクが高い
  • デジタルマネーの効率的な形態はすでに存在している

まず、最初の項目については、最近、政策立案者の一部は、流動性のある資産に100%裏付けされたステーブルコインのみが、安全に運用できると考えている傾向があると指摘。

完全に裏付けを行うことにより、ステーブルコインの信用リスクや流動性リスクを抑制することができる。ただ一方で、そのような規制要件を満たすためには、金融機関は、他の用途にステーブルコインを利用できなくなる。その結果、流動性が制限されてしまう可能性があるという。

さらに、このように流動性を制限しない場合、つまり裏付け資産の不確実性が高まる場合には、ステーブルコインの信頼性が低下し、交換媒体としての機能に課題が生じかねない。

最後の項目として、研究者らは「デジタルマネーの効率的な形態」はすでにあり、それを新たな環境に適応させればよいと提案。次のように述べている。

前世紀の中央銀行の活動によって、銀行と決済システムは十分に機能するようになった。それを利用して、トークン化された預金を発行してはどうだろうか。実用的な詳細については工夫が必要だが、トークン化預金の原理は簡単だ。

銀行の預金者が、自分の預金をDLTプラットフォーム上で流通するデジタル資産(トークン化された預金)に変換するのである。トークン化された預金は、通常の預金と同様に、預金者の商業銀行に対する債権となる。

研究者らは、このように、預金をトークン化することの利点についても列挙した。

まず、金融政策の有効性を維持し、銀行が実体経済へ融資することにも関わりを保てる。また、既存の決済インフラを利用してトークンで物品やサービスの購入を安全に行えること、預金保険に保護されていることなどを挙げている。

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