2月の仮想通貨動向
2月第4週の暗号資産(仮想通貨)市場。ロシアによるウクライナへの軍事侵攻の影響で、金融市場が動揺。ビットコイン(BTC)は一時35,000ドルを下回った。
イーサリアム(ETH)も一時2,400ドルを割るなど、国際情勢仮想通貨市場にも影響を及ぼす状態が続く。
ロシア軍の侵攻を受け、ウクライナ政府側はビットコインやイーサリアム、テザー(USDT)など仮想通貨による寄付の募集を開始。国家政府が仮想通貨の募集を受け付ける事例となった。
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時価総額TOP20の騰落率
時価総額上位銘柄の週間騰落率は以下の通り。(26日時点:ステーブルコイン除く)
- テラ(LUNA)+54.82%
- コスモス(ATOM)+11.68%
- ポルカドット(DOT)+0.74%
- イーサリアム(ETH)+0.63%
- ソラナ(SOL)-1.48%
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ビットコインのオンチェーン・データ
ビットコイン(BTC)関連の注目のオンチェーンデータは以下の通り。
ビットコイン保有アドレス数、過去最高を記録
ブロックチェーン分析企業Glassnodeによれば、ビットコインを1Satoshi以上(BTCの最小単位)を保有するアドレス数は4,027万を記録。これは過去最高の水準で、2月5日の記録を上回る格好となった。
📈 #Bitcoin $BTC Number of Non-Zero Addresses just reached an ATH of 40,276,163
— glassnode alerts (@glassnodealerts) February 27, 2022
Previous ATH of 40,275,801 was observed on 05 February 2022
View metric:https://t.co/VtoChZbLsa pic.twitter.com/hTnHlN9GeU
BTC流通供給量
また、仮想通貨データ分析企業Santimentによれば、ビットコインの流通供給量は過去9ヶ月で最も高い水準を記録。取引量の急増は20年3月のコロナショックを類似させると指摘した。
📈 #Bitcoin's token circulation hit a 9-month high, revealing just how polarized traders have become with the #war. This circulation spike was similar to #BlackThursday back in Mar, 2020, where #crypto traders sold at the bottom at the beginning of #COVID. https://t.co/1XM82Asf4x pic.twitter.com/Z7gHJ7MY7F
— Santiment (@santimentfeed) February 26, 2022
BTC損益状態
オンチェーンアナリストのOn-chain College氏はBTC供給量の36.7%に相当する約700万BTCが損失状態にあると分析。1月下旬にも同水準に近づいていたほか、ここまでの「低水準」に達するのは20年春以来だ。
63.3% of the #Bitcoin circulating supply is in profit.
— On-Chain College (@OnChainCollege) February 24, 2022
Put differently, 36.7% of the supply is underwater.
That's just under 7 million BTC sitting in loss right now.
Additionally, the % supply in profit low over the last ~2 years was on 1/22/22 at 62.3% pic.twitter.com/QaWt1Jwu24
同氏は実損状態にあるビットコインの急増は21年8月と類似していると指摘。長期的な弱気相場が継続していると述べた。
Might be a coincidence. Or it might be a pattern of human psychology during a period of prolonged loss.
— On-Chain College (@OnChainCollege) February 25, 2022
Either way, it's hard for me to ignore the similarities of #Bitcoin Realized Loss spikes over the last few months vs Summer '21. pic.twitter.com/6LB2XMAVCL
クジラの購買行動
オンチェーンアナリストのAli Martinez氏は2月13日以降、10,000BTC以上を保有するアドレスが増加傾向にあると指摘。大口投資家が相場の下落に応じて、買い増しを行っていると分析した。
#Bitcoin | On-chain data from @glassnode shows that the number of addresses with a balance of 10K $BTC or more has been significantly increasing since Feb. 13.
— Ali Martinez (@ali_charts) February 25, 2022
These whales appear to have taken advantage of the recent downswing to buy #BTC at a discount. pic.twitter.com/vIwnUV9Nt9
また、Santimentによれば、24日にロシアがウクライナへの侵攻を表明したことを受け、相場が急落した際には10万ドル(1,100万円)から100万ドル(1.1億円)相当のビットコイン取引が大量に確認されたと指摘。このような大口取引が、平均的な取引日の5倍観測されたという。
🐳 As #Bitcoin prices bottomed out at $34.7k with Thursday's war news, whales have made some MASSIVE transactions. This has been the largest amount of both $100k+ and $1m+ $BTC transactions since Jan. 24th, when prices jumped +15% the week following. 📈https://t.co/gpyqFS9UGi pic.twitter.com/laeSxeHUXV
— Santiment (@santimentfeed) February 25, 2022
HODL状況
オンチェーンアナリストのPlan C氏はビットコイン供給量の62%が最低1年間以上HODLされていたと指摘。同数値は3ヶ月前から8%上昇しており、過去最高は20年9月に記録した63.4%だった。
61.7% of the #Bitcoin supply has not moved in at least 1 year. Only 3 months ago, this metric was at 54.5%.
— Plan©️ (@TheRealPlanC) February 26, 2022
The all-time high record is 63.4%, set a month before we begin our massive move from 10k to 40k. #Crypto #cryptocurrency pic.twitter.com/kGLfcdCNDn
また、Glassnodeは大口投資家から個人投資家まで、全ての投資家層が総体的には買い集め状態にあると分析した。
「Wallet Cohort Trend Accumulation Score」は公開前の新チャートで、BTC保有量に応じて仮想通貨アドレスを分類した指標。色が青い程、アドレスにビットコインが追加されており、赤色は買い増していないことを示す。
2021年12月以降、買い増し傾向が強まっていることが伺える。
Most #Bitcoin wallet cohorts are now in net accumulation, with smaller holders being the most aggressive.
— glassnode (@glassnode) February 28, 2022
This heatmap presents the #Bitcoin accumulation score for each wallet cohort.
🟦 indicates entities are adding to their balance.
🟥 indicates entities are not accumulating. pic.twitter.com/sVp7SV6yHy
軍事抗争の影響
Glassnodeの共同設立者であるNegentropic氏は、歴史的には「武力紛争から市場が回復するのは平均47日かかる」と指摘。第二次世界大戦中の真珠湾攻撃やキューバ危機など、20世紀の金融市場データを元に考察したもので、仮想通貨市場と金融市場の相関性が高まる中、市場の回復は連動して起きると予測した。
The market takes 47-days on avg to recover after an armed conflict.
— 𝗡𝗲𝗴𝗲𝗻𝘁𝗿𝗼𝗽𝗶𝗰 (@Negentropic_) February 24, 2022
The strong correlation between the $SPY and #Bitcoin shows that they'll recover together if things escalate. pic.twitter.com/AeX8yvsTvj
イーサリアムのオンチェーン・データ
イーサリアム(ETH)関連の注目のオンチェーンデータは以下の通り。
ETH2.0 ステーキング額
ステーキング額:960万ETH(前週比+12万ETH)
関連:仮想通貨ステーキングとは|初心者でもわかる「報酬」の仕組み
バーン
イーサリアムネットワークの週間バーン(焼却)量は前週比で44,178ETH増加。通算バーン量は192万ETHに達した。
バーンとは
株式の「自社株買い」に近い形で仮想通貨の供給量を減らす仕組み。自社株買いをする企業は、発行している株式を自分たちのお金で買い戻す。買い戻されると市場に流通する株数が減少することで一株あたりの価値が向上し、株主に対してプラスの影響を与える。
▶️仮想通貨用語集
BTC/ETHと株式市場の相関性
ブロックチェーン分析プラットフォームのIntoTheBlockは、ウクライナ情勢を巡る緊迫感が続く中、仮想通貨市場と金融市場の相関性が高まっていると指摘。対照的に、ビットコインとゴールドの連動はなくなっているとした。
1/ Despite the correction, $BTC and $ETH remain better investment than most large tech equities. This is shown by IntoTheBlock’s Sharpe and Sortino ratio analysis.https://t.co/dQmlvWKNMc pic.twitter.com/vJDND59L8g
— IntoTheBlock (@intotheblock) February 24, 2022
また、ロシアから欧州市場に供給されている石油パイプラインが遮断される可能性が高まったことを受け、エネルギー株がビットコインやイーサリアムの騰落率を上回っている。
一方、過去30日間では投資リスクに対する収益性を可視化するシャープレシオ(比率)では、イーサリアムが上位になっている。
DeFi(分散型金融)
DeFiプラットフォームのTVLは28日時点で1,963億ドル(22.6兆円)だった。
TVL(Total Value Locked)は、DeFiプロトコルへ預入れされた仮想通貨資産の総ロック額を指す。
クリプト指標
日程 | 指標 |
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スイスの都市ルガーノ、ビットコイン・イベント開催 |
前回の週次レポートはこちら:軟調相場もビットコインハッシュレートと難易度は過去最高値に、大口アドレスの傾向は
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