2月の仮想通貨動向
2月第3週の暗号資産(仮想通貨)市場。先週に続き、緊迫した状況が続くウクライナ情勢に影響される形で金融市場全体の乱高下に揺さぶられた。前週末にかけて心理的節目の4万ドルを下回り、厳しい情勢が続いている。
イーサリアム(ETH)も同様に大幅下落した。17日には、有料会員向けにツイッターのETH投げ銭機能の追加を発表。BTCに続いて2銘柄目。
時価総額TOP20の騰落率
時価総額上位銘柄の週間騰落率は以下の通り。(20日時点:ステーブルコイン除く)
- アバランチ(AVAX)-1.16%
- ソラナ(SOL)-2.51%
- リップル(XRP)-3.95%
- バイナンスコイン(BNB)-4.53%
- テラ(LUNA)-4.69%
関連:2015〜2020年、仮想通貨「時価総額TOP20」の顔ぶれと変化
ビットコインのオンチェーン・データ
ビットコイン(BTC)関連の注目のオンチェーンデータは以下の通り。
ディフィカルティ
ビットコインネットワークは17日、難易度調整を完了。+4.78%のプラス調整となり、ディフィカルティは過去最高値を更新した。
関連:マイニングにおけるDifficulty(採掘難易度)とは|ハッシュレートとの相関性について解説
ハッシュレート
また、ビットコインネットワークのハッシュレート(採掘速度)も過去最高水準を更新。30日間の平均値は21年5月のピークから16.8%の増加を記録した。
Glassnodeは、「ハッシュレートは日毎の数値の変動が激しいため、30日間の平均値を算出することで長期動向を見やすくしている」と説明している。
#Bitcoin hash-rate has continued to climb in 2022, pushing to a new ATH of 194EH/s on a 30-day moving average basis.
— glassnode (@glassnode) February 15, 2022
Application of a longer term moving average helps smooth out the natural variability in day-to-day block production times.
Live Chart: https://t.co/JWaxeptPma pic.twitter.com/W5kghZiHNV
オンチェーンアナリストのWill Clemente氏は21年5月に中国政府が仮想通貨禁止令を発令してから、順調に回復していると分析。ビットコインネットワークの堅牢性はこれまでに無いほど安全だとコメントした。
Can we just take a moment to appreciate the recovery of Bitcoin hash rate?
— Will Clemente (@WClementeIII) February 18, 2022
After China banned mining, machines were migrated across the world & replugged in a completely decentralized way. The Bitcoin network continues to prove its resiliency & is more secure than ever before. pic.twitter.com/7HMCSN1Fvh
大口投資家のHODL状況
ブロックチェーン分析サイトSantimentによれば、10万BTC以上を保有する超大型アドレスの保有するビットコイン量は昨年2月から40万BTC増加した。同供給量は21年6月のピーク時には69万BTCに到達していた。
🐳 #Bitcoin's top addresses with 100k+ coins currently hold 664k $BTC after sitting at just 260k $BTC in Feb, 2021. There are currently 3 addresses of at least this size. They held an #AllTimeHigh of 693k $BTC in late June, just prior to prices surging. https://t.co/VRMD1itWCL pic.twitter.com/V9bqIOrB6j
— Santiment (@santimentfeed) February 16, 2022
また、オンチェーンアナリストのAli Martinez氏は、100BTCから10万BTCを保有するアドレスが2月以降、横ばいの推移を続けていると指摘。大口投資家は現在の価格帯での購入を避けている模様であるとして、さらなる下落を想定している可能性があると考察した。
The number of whales on the network with 100 to 100,000 $BTC has remained flat since Feb 1. These wealthy market participants do not appear interested in buying #BTC at the current price levels and could be expecting to buy #Bitcoin at a discount. pic.twitter.com/HqGTzD9guP
— Ali Martinez (@ali_charts) February 20, 2022
なお、Glassnodeが提供するHODL Waveマップによれば、1年以上HODLされているビットコインの供給量は全体の60%に達したことが確認された。
仮想通貨投資ファンドAtlana Digital Currency FundのAlistair Milne CIOは19日、過去に2度(2016年前半と2020年中旬)、同数値は60%を超えたことがあると指摘。いずれも下落傾向が継続した時期だったという。
There have only been two occasions where 1yr+ HODL'ing of #Bitcoin has been higher (currently 61%).
— Alistair Milne (@alistairmilne) February 18, 2022
Early 2016, price $380-450 range
Mid-2020, price ~$9000
Both times were during a prolonged consolidation before a huge bull move
HODL Waveとは
ビットコインの未使用取引アウトプット(UTXO)データを基に、ビットコインのHODL(長期保有)状況を数値化した指標。ビットコイン供給量の内、どれほどのBTCがどれほどの期間HODLされているかを異なる色で表す。
▶️仮想通貨用語集
カナダのビットコインETF
オンチェーンアナリストのJan Wüstenfeld氏はカナダのPurpose Bitcoin ETFは18日、昨年2月の取引初日以来、最多となる資金流入を記録したと指摘。1日で1,20BTC分のETFが購入されたという。
The Canadian Purpose #Bitcoin spot ETF just saw one of its biggest inflows ever on Friday! 🇨🇦Adding almost 1.2k $BTC in one day. Only surpassed by inflows on one of its first trading days on Feb 22, 2021. AUM now at a new ATH with 32.26k bitcoin! 🚀 pic.twitter.com/DOO3OtocQ3
— Jan Wüstenfeld (@JanWues) February 19, 2022
Glassnodeによれば、カナダのビットコインETFは62,628BTC保有しており、これはビットコインの流通量の0.3%に匹敵する。
カナダでは、トラック運転手らが政府のコロナ政策を批判する為に、米国との国境を封鎖するデモが続いており、先週カナダ政府は緊急事態法を発令したばかり。これにより、政府側はデモ参加者への銀行送金の差し押さえも可能となっており、政府の検閲を避ける手段としてビットコインに注目が集まっている。
関連:カナダデモ鎮圧、警察が特定の仮想通貨ウォレットの取引停止を要請
日間アクティブアドレス低水準
ビットコインネットワークの日間アクティブエンティティー(ボット含む)は27万を記録。これまでBTC市場が高騰していた時期と比べると、新規利用者の需要は低下している反面、長期的なネットワーク効果は引き続き増加しているとGlassnodeは分析した。
There are currently ~275k daily active entities on the #Bitcoin network.
— glassnode (@glassnode) February 17, 2022
This level of activity is far below bull market highs, indicative of tepid demand from new users.
However, the activity floor continues to climb in bearish markets, reflecting longer-term network effects. pic.twitter.com/qm9wx7Jesk
イーサリアムのオンチェーン・データ
イーサリアム(ETH)関連の注目のオンチェーンデータは以下の通り。
ETH2.0 ステーキング額
ステーキング額:948万ETH(前週比+9万ETH)
関連:仮想通貨ステーキングとは|初心者でもわかる「報酬」の仕組み
ガス代
IntoTheBlockは17日、イーサリアムのガス代は過去3週間で低水準に達していると指摘。ガス代の低下が続く。
#Ethereum gas fees have been particularly low over the past 3 weeks.
— IntoTheBlock (@intotheblock) February 17, 2022
To monitor the best time and day to perform a transaction with the lower gas prices, you can use our Gas Cost Heatmap.
This tool is free and available on the link below 👇
https://t.co/eLEQLAUUMf pic.twitter.com/z3WCz9tLqn
週間バーン量
イーサリアムネットワークの週間バーン(焼却)量は前週比で46,885ETH増加。通算バーン量は187万ETHに達した。
参照:Watchtheburn
大口ETHアドレスの保有状況
また、Santimentによれば、10万ETH以上を保有する大口アドレス群は昨年10月以降、累計154万ETHを買い増ししていると指摘。ETH価格が下落する中、一部の大口投資家は買い増しを続けていることが確認されている。
🐳 Whale #Ethereum addresses kept hold of their bags during the Dec. & Jan. price dump, and their patience has been rewarded well during the rebound to $3,120. Since Oct. 1, in fact, 100k+ $ETH addresses collectively added 1.54M $ETH, a gain of $4.8B. 📈https://t.co/Q8FaDDpUoy pic.twitter.com/g4NhC6DoOV
— Santiment (@santimentfeed) February 15, 2022
デベロッパーの参加者数
仮想通貨分析企業Coin98 Analyticsによれば、イーサリアムネットワークの開発者はブロックチェーンプロジェクトで2位の開発者が携わっていると指摘。1位はソラナ(SOL)だった。
- ソラナ
- イーサリアム
- カルダノ
- ポルカドット
- コスモス
- テラ
- アバランチ
- ポリゴン
- ファントム
DeFi(分散型金融)
DeFiプラットフォームのTVLは21日時点で1,944億ドル(22.3兆円)だった。
TVL(Total Value Locked)は、DeFiプロトコルへ預入れされた仮想通貨資産の総ロック額を指す。
NFT
22年2月のNFT月間取引量は早くも40億円を突破。先月以前までは、過去最高だった21年8月の取引量を超えている。
前回の週次レポートはこちら:BTCのアクティブアドレス10週間ぶり高水準に、ETHガス代は21年7月以来の低水準
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関連:クリプト指標導入「CoinPostアプリ」の使い方をトレーダー目線で解説|寄稿:Bit仙人