世界情勢と仮想通貨市況
ウクライナ情勢を受け、原油価格の高騰が続いている。
米ニューヨーク原油先物(WTI)相場は7日までに急上昇し、一時1バレル=130ドル台を記録。2008年7月以来、14年ぶりの高値となった。
Brent crude rips through the ceiling out of the gates. Prices near $140 early Monday in Asia pic.twitter.com/cy7QiLpfdQ
— David Ingles (@DavidInglesTV) March 6, 2022
ブリンケン米国務長官が、ロシア産原油輸入禁止措置について協議していることを明かし、供給逼迫不安が高まったことが背景にある。禁輸によりロシア経済を一段と締め付け、莫大な戦費を賄うための調達手段を絞る狙いがある。
これまでは、欧米経済への影響の大きさを鑑みて、制裁対象からエネルギー産業については外してきた。世界各国のインフレ(物価上昇)リスクが取り沙汰される中、極めて難しい判断を迫られている。
原油先物価格は2020年3月以降、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大(パンデミック)の影響による需要減少で大幅下落していたが、その後ワクチン接種の普及や経済正常化に伴い、需要が急回復した。コロナ禍で推し進めていたOPECと非OPEC産油国による協調減産も供給減の背景にある。
ロシア軍によるウクライナへの軍事侵攻が始まってからは、経済制裁などの影響で需要が逼迫するとの見方が強まり、一段と急騰した。
有事の暗号資産市場は
週明け7日の暗号資産(仮想通貨)市場。ビットコイン価格は、前日比4.1%安の435万円(37,770ドル)と続落した。
ウクライナや欧米軍事同盟である北大西洋条約機構(NATO)への威嚇で「核戦力の行使も辞さない」とするロシア側の強硬姿勢や、好転の兆しを見せないウクライナ情勢を巡る先行き不透明感などから買いが続かず。
原油高に伴うエネルギー需給逼迫懸念も相場の重石となり、株式市場などリスク資産全般で投資家のリスク回避姿勢が強まった。原油価格の急上昇は、企業のコスト増や家計の圧迫要因となり得る。東京株式市場では、日経平均株価が前週末比819円(3.15%)安と大幅下落している。
16日には、利上げが見込まれる米連邦公開市場委員会(FOMC)発表を控えることもあり、様子見基調となりやすい。
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ウクライナのデジタル変革担当副大臣は4日、ビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)をはじめとする17億円分の仮想通貨寄付金で、軍需品や食料を調達したことを明かした。
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ウクライナ政府は、4日時点で5,000万ドル(約57億円)相当の仮想通貨寄付金を受け取っており、今後数日で1億ドル(約115億円)に達する見込みだという。バイナンスなど大手暗号資産取引所も、いち早く寄付に動いていた。
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今後は、戦争に伴って発生する巨額の財政支出の財源に充てるため、NFT(非代替性トークン)発行による事実上の「戦時債券」で資金調達する可能性もあるとされる。ウクライナ財務省は1日、戦時国債の発行で約81億フリブナ(約310億円)を調達しており、外貨建ての国債発行を含めた資金調達手段を模索していた。
一方、欧米諸国はロシアへの経済制裁をめぐり、ビットコインなど暗号資産(仮想通貨)取引も制裁対象に加える検討に乗り出しており、制裁回避目的で買われるとの思惑が剥離する可能性もある。
ロシア政府関係者の資産凍結やSWIFT(国際銀行間通信協会)からのロシア主要銀行排除といった経済制裁の効力最大化に伴い、ロシアが暗号資産を用いた外貨獲得や資金決済手段を代替する可能性が懸念され、「制裁回避になりかねない」との指摘がある。
ただし、ロシアの法定通貨ルーブル価格が暴落する中、ロシア居住者への一律規制は一般市民の生活への影響も甚大であり、同国への暗号資産規制は容易ではない。
アルトコイン市場の動向
ファントム(FTM)価格が前日比-20%下落した。YFIも前日比-10.3%下落した。
DeFiのアグリゲーターYearn.Finance(YFI)とFantom(FTM)の創設者であり、DeFi(分散型金融)の有力開発者であるAndre Cronje氏が、携わっている全プロジェクトから撤退する意向を発表したことを受け、売り優勢となった。
一方、Fantom財団側は、Andre氏は現在のコア開発者ではなく、プロジェクトをサポートするリソースは十分足りているとして、影響は軽微で将来性に問題はないとしている。
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