仮想通貨で寄せられた寄付を軍備に活用
ウクライナ政府は、これまでに受け取った暗号資産(仮想通貨)による寄付金のうち、1,500万ドル(約17億円)分を軍需品に活用した模様だ。ウクライナのデジタル変革担当副大臣Alex Bornyakov氏がブルームバーグに話した。
副大臣によると、ウクライナ政府は、これまでに仮想通貨で5,000万ドル(約57億円)の寄付金を受け取っており、今後数日で1億ドル(約115億円)に達する見込みだという。このうち1,500万ドルは、軍需品を購入するために使用し、4日に防弾チョッキなどが届けられたとしている。
副大臣は、ウクライナ政府が、軍需品から食料まで、様々な物資のサプライヤーを見つけることができたと話す。これら欧州や米国の事業者の約4割は、仮想通貨での支払いを希望しているという。
仮想通貨寄付は、主にビットコイン(BTC)とイーサリアム(ETH)で行われているが、テザー(USDT)、ポルカドット(DOT)、ソラナ(SOL)、及びCryptoPunks等の人気NFTの形でも受け取っていると明かした。
ウクライナ政府は、2月27日より仮想通貨による寄付を受け付け開始。政府の他に、「ウクライナDAO」などの民間組織も寄付金を集めるキャンペーンを行っている。ロシア国内でも、仮想通貨を利用してウクライナ市民を支援する動きが進んでいるところだ。
一方、寄付の際には、送金先プロジェクトの信頼性などを確認してから行う必要があると注意喚起する声もある。
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また、副大臣はNFT販売による資金調達の計画にも言及した。
副大臣は3日、本来予定していた仮想通貨のエアドロップ(無料配布)計画を中止し、ウクライナ軍を支援するためにNFTを販売する計画に変更することを発表した。NFTの計画について今回取材では、「戦争は1週間前に始まったため、ミリタリー系NFTを発行する準備は誰にもできていなかった。現在2つの企業と連携し、デザインを進めてもらっているが、2週間以内に出来上がりそうだ」と説明。リリース計画については限定発行かどうかまだ決まっていないとした。
仮にNFTを販売し軍需金を調達すれば、Web3.0における初めての国境を超えた「戦時債券」になりうるとする見方が散見されている。
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仮想通貨による寄付の利便性
ブロックチェーンのバリデーターサービスLavender.Fiveを運営するDylan Schultz氏も、民間でウクライナへの寄付金を集める人々の一人である。ガーディアンによると、仮想通貨で寄付を行うことの長所について、Dylan Schultz氏は次のように話した。
従来の通貨を使って寄付するには、しばしば仲介者が必要となる。例えば、米ドルを直接寄付することはできず、まず何らかの方法で変換するか、仲介者を探す必要がある。
仮想通貨はこの問題を解決している。手続きはより容易になり、チャリティーのアドレスがわかっていれば、そのアドレスと、寄付する金額を入力して、送信ボタンを押すだけで資金を送れる。
仮想通貨に先進的なウクライナ
今回、迅速に仮想通貨での寄付金を募集開始したウクライナは、以前より仮想通貨に先進的な国として知られていた。
ウクライナのデジタル変革省は2021年7月、仮想通貨についての分析や将来方針をまとめた報告書を発表。3年間のロードマップも掲載している。
ロードマップの中では、実物資産のトークン化や、トークンによる日常的な買い物の方法開発、仮想通貨のエコシステムを使ったプロジェクトの促進、国民への仮想通貨教育などが盛り込まれていた。
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ウクライナデジタル変革省とは
ウクライナの行政デジタル化に関する政府機関。公共サービスのオンライン化、高速インターネットの整備、デジタル技術教育、GDPに占めるIT分野のシェア拡大などを目指している。
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