仮想通貨の規制整備を強化
米証券取引委員会(SEC)のゲーリー・ゲンスラー委員長は、「ブルームバーグ」のインタビューで、暗号資産(仮想通貨)の規制について語った。
仮想通貨取引所やステーブルコインに懸念を示し、以前と同様に、多くのデジタル資産はSECの管轄下になると主張。そして、そのデジタル資産を扱う取引プラットフォームは、SECに登録すべきであると述べた。現在SECは規制整備を強化しているという。
関連:米イエレン財務長官「ステーブルコインの規制は22年末までに法制化すべき」
ブルームバーグのインタビューがいつ実施されたかは明記されていないが、ゲンスラー氏の今回の発言は11日に報じられている。
ゲンスラー氏は仮想通貨取引所について、取引サービスやカストディ、マーケットメイクなど複数の事業を提供しているプラットフォームがあることを問題視した。例えばマーケットメイクは、顧客に不利な取引サービスを提供することになりうると主張。そのため、複数のサービスで資産を共有することは、顧客にとって最善の利益にならないとの見方を示した。
マーケットメイクとは
マーケットメイクは、金融市場における取引方法の1つで、取引所から指定された値付け業者(マーケットメイカー)が、常時「売り」と「買い」の気配値(指値)を提示し、投資家の売買を成立させる方法。(SMBC日興証券参照)
▶️仮想通貨用語集
また、ステーブルコインの時価総額トップ3の銘柄が、個別の取引所に関連していることにも懸念を示している。ゲンスラー氏が例に挙げたのは以下の3銘柄。それぞれの発行体が関連する取引所も以下の通りである。
- USDT:Bitfinex
- USDC:コインベース
- Binance USD(BUSD):バイナンス
ゲンスラー氏は「これは偶然の一致とは思えない」と主張。ステーブルコインは取引を推進する役割を果たしており、潜在的にマネーロンダリング対策(AML)や本人確認手続き(KYC)を回避することにつながる可能性があると指摘した。
関連:「NFTを国の成長戦略に」自民党デジタル社会推進本部・平将明議員インタビュー
コインベースの顧客資産
今回のゲンスラー氏の発言と直接は関係ないが、米コインベースがSECに提出した書類が注目を集めている。
この書類は米上場企業が四半期ごとに提出する通常の報告書だが、コインベースが倒産した際の資産の取り扱い等について初めて説明を記載したことで、話題に上がった模様だ。
これを受けて同社のブライアン・アームストロング最高経営者(CEO)は、顧客の資産はこれまで通り安全であるとコメント。コインベースに倒産するリスクがあるわけではなく、SECの要求に基づいて、上場企業としてリスクを記載しただけだと説明した。
1/ There is some noise about a disclosure we made in our 10Q today about how we hold crypto assets. Tl;dr: Your funds are safe at Coinbase, just as they’ve always been.
— Brian Armstrong – barmstrong.eth (@brian_armstrong) May 11, 2022
コインベースは10日、2022年1Q(1月~3月)の決算報告書を公開。1Qは約560億円(4.3億ドル)の純損失を計上している。
関連:米コインベース業績に市況悪化が直撃、22年Q1決算で損失560億円を計上