Terra支援とディペッグの背景を語る
米大手暗号資産(仮想通貨)投資企業Galaxy Digitalを率いるマイク・ノボグラッツ氏は18日、投資家向けの書簡を発表した。ステーブルコインUSTのディペッグに端を発した、テラ・ブロックチェーンを巡る一連の騒動について自身の見解を述べた。
Galaxy Digitalは、Terraブロックチェーンの開発元Terraform Labsを初期から支援しており、2021年1月には約32億円(2,500万ドル)の資金調達ラウンドに参加していた経緯がある。
ノボグラッツ氏は、ルナとUSTの暴落は仮想通貨やDeFi(分散型金融)に対する信頼を損なったと指摘。「USTは、デジタルの世界でアルゴリズムによるステーブルコインを作ろうとしたもの」で「アイデアは大きかったが、失敗に終わった」と続けた。
ステーブルコインとは
ステーブルコインは暗号資産の一種で、BTCやETH、XRPなど変動性のある資産とは異なり、米ドルなどに裏付けられその価値($1)を保つことが目的だ。米ドルの裏付けによるステーブルコイン(USDT・USDC)のほか、DAIやUSTといったアルゴリズムを利用するステーブルコインもある。
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投資理由
さらにノボグラッツ氏は、Galaxyのチームが、Terraのプロジェクトに投資した理由を説明している。
まず、チームはTerraをベースに構築されたChaiアプリが180万人以上のユーザーを持つことを認識し、大きな成長の可能性を持っていると考えた。また、仮想通貨が実世界で使用される事例としても興味を持ったという。
基盤となるブロックチェーンTerraには、何百ものプロジェクトが構築されており、世界から投資を集めていたことにも注目していた。
ノボグラッツ氏は、今回Terraのエコシステムが崩壊した理由も論じた。主に、2022年初頭からの世界的な資産価格の下落、インフレ、さらに中央銀行が金融緩和による「大規模な流動性バブル」を解消しようとする動きを始めていることなどを挙げている。
こうしたマクロ経済環境の悪化を背景として、LUNAとUSTの裏付けとして保有されている準備金に圧力がかかったと主張している。
また、USTは、18%の利回りを提供するAnchorプロトコルによって爆発的に成長したもので、最終的にはこのプロトコルが、Terraブロックチェーンの他の用途を圧倒していたことにも触れた。
準備金の資産が減少する圧力に加えて、USTが急激に引き出されたことで、「銀行の取りつけ騒ぎ」のようなシナリオが引き起こされ、準備金はそれに耐えられるほど十分ではなかったとしている。
Delphi Digital「リスク計算を誤った」
Terraのエコシステムを支持してきたDelphi Digital(以下、Delphi)も、今回の出来事についての記事を発表した。
Delphiは2021年より、「実世界での採用に焦点を当てたスケーラブルで相互運用可能なブロックチェーンと、無担保型ステーブルコインの組み合わせ」であるTerraのエコシステムに関心を持ったという。
Terraのステーブルコインを利用した第三者による最初のプロジェクトMirrorが成功するなど、エコシステムやコミュニティが成長していることも評価していた。
Delphiは、Anchorプロトコルについては、LUNAの非営利組織「Luna Foundation Guard(LFG)」とビットコイン(BTC)による準備金が、今回のような破綻リスクを軽減するための大きな方法だと考えていた。
しかし結果的には、USTの供給量と比較して、この準備金が十分な速度で成長しなかったことで、BTC準備金の価値下落と相まって破綻を引き起こしたと論じている。
Delphiは、無担保型ステーブルコインのリスクを理解していたものの、リスク計算について誤っていたと認めた。その上で、仮想通貨に良い影響をもたらすことができるよう、可能な限りのことをしていきたいと結論している。