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STEPNの「GMT(Green Metaverse Token)」とは|主な特徴と注目ポイントを解説

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

STEPNとは

STEPN(ステップン)は、Move to Earn(動いて稼ぐ)を採用するWeb3.0型のフィットネスアプリです。ウォーキングやランニングを通じて、暗号資産(仮想通貨)トークン(GST, GMT)を獲得できる特徴により、数百万人規模の一般ユーザーを暗号資産市場に引き込むことを目指しています。

STEPNは、高速送金かつ取引手数料が安価なレイヤー(L1)チェーンとして知られるソラナ(SOL)のブロックチェーン上に構築されており*1、独自のトークン(GST, GMT)を発行します。

*1 2022年4月、大手スポーツメーカー「ASICS(アシックス)」コラボをバイナンスIG0(イニシャルゲームオファリング)で行ったことを機に、BNBチェーンにも対応しました。

STEPNを開発するオーストラリアの「Find Satoshi Lab」は、2021年11月に開かれたソラナのハッカソンIgnitionで、500以上の参加チーム中、見事4位入賞を果たしました。

STEPNのガバナンストークン「GMT(Green Metaverse Token)」は2022年3月9日、大手取引所バイナンスのIEO(Initial Exchange Offering)ローンチパッドで1GMTあたり1.2円(0.01ドル)で販売されました。その後、バイナンスのイノベーションゾーンに上場されると、わずか1か月で31,000%の急成長を遂げて注目を集めました。

2021年12月にローンチされたSTEPNのデイリーアクティブユーザー数は、2022年5月時点で80万人規模まで拡大しています。

STEPNは、2022年5月12日時点にパブリックベータ版であり、利用にはアクティベーション(招待)コードが必要な状態です。ゲームを始めるには、アプリ内のNFT(非代替性トークン)マーケットプレイスでデジタルスニーカーNFTを購入する必要があります。

今後リリース予定のスニーカーレンタル機能により無料でもプレイできるようになると、STEPNのユーザーベースはさらに拡大すると予想されます。

関連:GMTの買い方|STEPNやGasHeroで使われる仮想通貨の将来性、GSTとの違いを解説

目次
  1. Move to Earnとは
  2. STEPNのファンダメンタルズ
  3. STEPNの暗号資産GMTとは
    3-1.2種類のトークン「GST」と「GMT」
    3-2.ガバナンストークンGMT
    3-3.GMTのトークン設計
    3-4.GMTのユーティリティ
    3-5.四半期毎のGMTトークンバーン

Move to Earnとは

ゲームをプレイすることでトークンを得ることが出来る「Play to Earn(P2E)」を採用するブロックチェーンゲームは2021年にかけて流行しました。中でもNFTゲーム「Axie Infinity(アクシーインフィニティ)」の1日のアクティブユーザー数は21年11月のピーク時に110万人に上るほどのムーブメントとなりました。

P2Eの特徴は、プレイ報酬として獲得したトークンはゲーム内で使用したり、換金したり、DeFi(分散型金融)で運用できることです。

そして「Move to Earn」は、P2EのメカニズムにモバイルデバイスやウェアラブルのGPSデータを組み合わせた新しいコンセプトとなります。ゲーム内のステータスがプレイヤーの実際の生活とリンクしているため、トークン報酬が人々に運動を促し、健康になることにインセンティブが生まれます。

Move to Earn(M2E)は、2022年最も注目されている暗号資産カテゴリーの一つとなっています。Move to Earnを採用する別のゲームには、VC大手アニモカブランズなどが出資した「Genopets(ジェノペッツ)」があります。2021年10月のシードラウンドで約10億円(830万ドル)を調達しました。

STEPNのファンダメンタルズ

GMTトークンの価格高騰の要因は、STEPNプロジェクトが短期間でファンダメンタルズを強化してきたことが大きいです。特にバイナンスを含む大手暗号資産企業とのコラボレーションは注目を集めました。

2022年1月、STEPNは大手デリバティブ(金融派生商品)取引所FTXの親会社であるアラメダ・リサーチをはじめ、セコイアキャピタルやソラナ・ベンチャーズなどの大手投資企業から6億円相当の資金調達を完了したことを発表。同年3月6日にはバイナンスのVC部門であるバイナンス・ラボがSTEPNへの戦略的投資を発表しました。

2022年3月末には、STEPNはユーザーがアプリ内でアイテムを購入する際に、バイナンスのプラットフォームトークンBNB(ビルドアンドビルド)で決済できる機能を導入。ソラナに加えてBNBチェーンに対応することを発表しました。

2022年4月には、アプリ内取引・スワップ機能が開始されました。トークン報酬を簡単にソラナ(SOL)やステーブルコイン(USDC)に換金できるようになり、ユーザビリティが向上しています。

同月にSTEPNは大手スポーツブランド「アシックス」とのコラボ企画を発表。BNBのステーキングによってサブスクリプションへの参加チケットが配られる「IGO(イニシャル・ゲーム・オファリング)」を開催しました。アシックスとのコラボNFTは計1,000個、価格は0.5BNB(約2万円)で販売されました。

STEPNの共同設立者であるYawn Rong氏はプロジェクトの方針として、「今後のマルチチェーン対応とさらなるブランドとの提携を構想している」ことを公言しています。

STEPNの暗号資産GMTとは

2種類のトークン「GST」と「GMT」

出典:STEPN LITEPAPER

STEPNには、2種類のトークンが存在しています。 「GST(Green Satoshi Token)」は、ゲーム内ユーティリティトークンとして使用されます。

GSTに発行上限はありません。GSTは靴のレベルアップやリペア(修復)をはじめ、新しいスニーカーのmint(配合)、やミステリーボックス(宝箱)の開封など、多岐にわたって使用されます。

出典:STEPN LITEPAPER

一方の「GMT(Green Metaverse Token)」は、STEPNのガバナンストークンです。 レベル最大(Lv30)の靴でのみ獲得できるゲーム報酬でもあり、ゲームを有利に進めるためにアカウントステータスを強化するなどのユーティリティもあります。

GSTもGMTも、ステーブルコイン(USDC)やソラナ(SOL)などに交換してキャッシュアウトできます。一方で、ユーザーはトークンやNFTを保有し続けたり、各種ユーティリティにトークンを使用するよう動機付けされています。 STEPNは、NFTゲームとしての持続的価値を最大化するため、プレイ報酬がゲーム内経済に再投資されるよう非常に卓越した設計になっています。

ガバナンストークンGMT

STEPNでは、ゲームやマーケットプレイスで得た手数料などの利益はトレジャリー(財務)プールに預けられ、DAO(分散型自律組織)で管理されます。 そして、財務の運用はガバナンストークン「GMT」ホルダーによる投票で決定されます。投票にはGMTのステーキングが必要となり、より長くGMTをロックアップ(1ヶ月~3年間)することで、より高い投票力を得ることができます。

STEPNプロジェクトは、3つのミッションの一つに「カーボンニュートラルな社会に貢献すること」を掲げており、ゲーム利益の一部を使ってカーボンオフセットを購入することを約束しています。カーボンオフセットプログラムにどの程度予算を割くかは、GMTのステーキング参加者の投票によって決定されます。

カーボンニュートラルとは

二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガスの排出量から吸収量と除去量を差し引いた合計をゼロにする事で、排出量が実質的にゼロな状態を指す。日本政府は2050年までに「カーボンニュートラル」達成を目標にしている。

▶️仮想通貨用語集

関連:「STEPN」のビジョンとは|グリーンなWeb3.0が築くカーボンニュートラルな世界

GMTのトークン設計

GMTトークンは、トークン生成イベント(TGE)で60億GMTが作成され、徐々に市場にリリースされています。毎日一定数のGMTがリリースされますが、その放出ペースは3年ごとに半減するよう設計されています。 ビットコイン(BTC)の「半減期」のようなもので供給を絞り、希少価値を高める設計と言えるでしょう。

GMTトークンの供給量推移

出典:STEPN LITEPAPER

GMTトークンの配布分布は、以下の通りです。 エコシステムファンド(トレジャリー)に発行量の30%、プライベートセール参加者に16.3%、バイナンスLaunchpadセール参加者に7%、開発チームに14.2%、アドバイザーに2.5%が配布されます。

発行量の30%(18億GMT)は、Move to Earnとガバナンスへの参加報酬として配分されています。GMTのリリース量は3年毎に減少していくので、ゲームが普及してユーザーが増加するほど需給が引き締まることになります。

トークンの配布内訳

出典:STEPN LITEPAPER

初期投資家やアドバイザー、開発チームといった所謂インサイダーへの配分は計30%程に抑えられており、他の暗号資産関連プロジェクトと比べてもフェアなトークン分布となっています。 例えば、Genopetsのインサイダー(チーム、アドバイザー、プライベートセール)の配分は57.5%です。

GMTのトークン報酬開始目安

GMTの「Move to Earn」機能については今後実装予定となっており、2022年6月1日時点では、デジタルスニーカーを使ってGMTを直接獲得する機能はありません。

そのため、GMTの入手経路は、アプリ内ウォレット機能でソラナ(SOL)やGST、ステーブルコインのUSDCとスワップ(交換)するか、バイナンスや米コインベースなどの暗号資産取引所で直接購入するかの2択となっています。

GMTの「Move to Earn」機能が実装されると、レベル30以上のスニーカーを保有するユーザーが、GMTの報酬を獲得できるようになります。 獲得できるGMTの報酬量は、デジタルスニーカーのステータスに基づいて決まりますが、特に「Comfort」の値に依存します。

GMTのユーティリティ

出典:STEPN LITEPAPER

STEPNでは、バーン(焼却)メカニズムをゲーム内のユーティリティに取り入れることで、トークンのインフレを抑えるよう設計されています。 バーンは仮想通貨の一部を永久に使えないようにする行為のことで、トークンを流通市場から永久に取り除くことで価格安定性を高めます。

STEPNでは、デジタルスニーカーをレベルアップしたり修理するときに消費されたGSTやGMTはバーン(永久破壊)されます。

特にGMTは、デジタルスニーカーのアップグレード以外にも使用できます。GMTをバーンすることでアカウントのステータスを以下のように強化できることが予定されています。

  • 1日あたりのGST獲得上限を増加させる
  • ジェムのアップグレード成功率を上げる
  • シューズボックスを開けた際に、高品質なスニーカーの入手確率を高める
  • シューズの mint(配合)時に、成功確率を高める
  • 「シャーデンフロイデプール」のサブスクリプション登録により、他のプレイヤーの不運なイベント(アップグレード失敗など)から生じるGST還元を取得できるようになる

四半期毎のGMTトークンバーン

STEPNはまた、四半期ごとにNFTマーケットプレイスの取引およびロイヤルティで得た利益を使用して流通市場からGMTを買い戻し、バーンする仕組みを採用しています。

22年4月2日、STEPNはGMTトークンの四半期毎の買い戻し、及びバーンの初回実施について発表しました。 1Q(1月〜3月)の利益は198,635.62 SOL(約33億円)となり、STEPNはこの利益を使用して、1ヶ月かけてGMTを買い戻し、バーンしていく方針です。

STEPNによると、5月12日時点で流通量の10%以上にあたる6800万GMT以上がバーンされています。

22年7月12日、STEPNは22年第2四半期(4-6月)に約168億円(1億2,250万ドル)の利益を上げたことを報告。利益のうち5%(84億円)が、ガバナンストークンGMTの買い戻し(バイバック)と焼却(バーン)に使用されます。なお、収益規模は前四半期(22年1月〜3月)の約33億円に対して約5倍に拡大しました。

関連:運動系NFTゲーム「STEPN」の2Q利益が5倍に拡大、GMTバーン第2弾実施へ

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