米FRB会議「中銀デジタル通貨(CBDC)の脅威は限定的」

「ドルの国際的役割」を議論する

米連邦準備制度理事会(FRB)は5日、6月中旬に開催された「米ドルの国際的役割に関する初会合」に関する記事を公開。暗号資産(仮想通貨)や中央銀行デジタル通貨(CBDC)についても言及された。

この研究会議は「進化する米ドルの役割と連邦準備銀行の使命に及ぼす影響、また将来の見通しについて、研究者や市場の専門家、政策立案者の見識を得る」ことを目的に、ニューヨーク連邦準備銀行と共同で開催された。

ジェローム・パウエルFRB議長は議会の開幕にあたり、米国におけるCBDC(デジタルドル)は、米ドルの国際的地位の維持にも役立つ可能性があると主張。FRBが「仮想通貨やステーブルコインの驚異的な成長を踏まえ」既にCBDCの導入について調査していること、また世界の金融システムの今後5年から10年の進化の可能性を考慮し、CBDCに関する議論を促した。

CBDCとは

各国・地域の中央銀行が発行するデジタル化された通貨を指す。「Central Bank Digital Currency」の略である。仮想通貨との大きな違いは、CBDCは法定通貨であること。通貨の管理や決済等においてコスト削減や効率性向上が期待できる一方で、個人情報やプライバシーの保護、セキュリティ対策、金融システムへの影響など考慮すべき課題は多い。

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デジタル資産に関する議論

会議では4人のパネリストが、CBDCを含むデジタル資産の技術的側面が、米ドルの優位性を変えるのか、それとも米ドルの様々な役割を強化するのかについて議論した。

パネリストは、技術そのものは、世界の通貨エコシステムの劇的な変化につながるものではないという点で概ね合意した。その理由は、(1)法の支配、(2)安定性、(3)ネットワーク効果、(4)市場の深さなどの他の要因が、基軸通貨が持つ優位性にとって重要であるためだという。

また、現在の仮想通貨市場は「投機目的の個人」が中心であり、規制の枠組みが欠けるため、機関投資家の動きが制約を受ける傾向にあると指摘された。

CBDCは脅威ではない

CBDCの進展については、各国でCBDCが国内の消費者向けに集中する傾向があり、クロスボーダーで用いられるCBDCの範囲は「かなり限定的」だとの認識を示した。そのため、CBDCは米ドルの国際的地位を脅かす存在にはなっていないとまとめた。

また、パネリストらは、短期的に見ると、ドルの国際的役割に対し仮想通貨が脅威となることは考えていないようだ。さらに中期的にも、新たなサービスがドルとリンクした仮想通貨周辺に構築された場合、かえって現在のドルの役割が強化される可能性があると、示唆した。

ビットコインと中国

二人の研究者は、ビットコインのような仮想通貨に対する需要の一部は、「資本規制回避への願望」からもたらされると主張している。中国の情報を用いた研究で、取引所間でビットコイン価格に「持続的かつ統計的に優位な差」があること、また中国の取引所ではプレミアム付きで取引されていることを示した。

CBDCを推すFRB

この会合では、パウエル議長が期待したほど、CBDCに関する議論は盛り上がりを見せなかったようだ。長らくCBDCに関して慎重な態度をとってきたパウエル氏だが、直近では、米下院金融委員会で行ったスピーチで「CBDCは非常に重要な金融技術イノベーションだ」と語っている。

FRBは今後数年間で、政策面と技術面の両方からCBDCについて検討し、議会に推奨事項を提示する計画だという。

関連:FRB、米議会にCBDCについての勧告を行う計画

一方、米議会では、プライバシーの懸念から個人向けのCBDCに反対する法案も、複数提出されている。

関連:米上院議員、個人向けのCBDC反対法案を提出

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