約4,100億円が資金洗浄される
ブラジルの軍警察が7日、暗号資産(仮想通貨)によるマネーロンダリングが行われていた金(ゴールド)の違法採掘事業を摘発。5人を逮捕したことが地元メディアFolha de S.Pauloなどの報道で明らかになった。
マネーロンダリング(資金洗浄)とは、違法行為などによって得た資金について、出所を分からないようにする行為のこと。
金の違法採掘は、ブラジル北部のロンドニア地方で行われていた。採掘に携わっていたのは、複数のヘルスケア企業が所有するペーパーカンパニーが保有する採掘会社で、採掘の際には不正な環境許可証を利用していたとされる。
今回の事件では、当局が事前調査で航空機内での麻薬密売を発見したことが摘発に繋がった。違法採掘は10年以上前から行われており、19年から21年にかけて、総額約4,100億円(160億レアル)が仮想通貨によってマネーロンダリングされた形だ。
軍警察は、ある企業に注入された不正資金が、少なくとも12年以降、犯罪組織による違法な採掘行為からもたらされたことを確認。その後、MMGoldと呼ばれる企業の財務データを入手し、活動を追跡した。
発表によると「金の違法採掘から生じる金額を正当化する(中略)あたかも配当を受け取ることに関心のある第三者の投資であるかのように」みせかけるために、仮想通貨が使用されたという。
3月には米国がリスク評価レポートを公開
仮想通貨を使用したマネーロンダリングについては、ブロックチェーン領域の発展に並行する形で、常に議論の対象となってきた。
最近では、大手暗号資産(仮想通貨)取引所のバイナンスが5年間に「計3,000億円の資金洗浄に利用された」とする報道がおこなわれた。これはオランダを拠点にする分析企業Crystal Blockchainらと大手メディア「ロイター」による独自調査で、麻薬や武器などが売買されるダークネットにおけるバイナンスの顧客の取引等を詳細に調べたというもの。
バイナンス側は、「我々は世界で最も高度な技術を持ったサイバー犯罪対策チームを作り、違法取引を発見する能力を向上させてきた」として、ロイターの報道を否定している。
米財務省も3月に、仮想通貨によるマネーロンダリングののリスク評価レポートを公開。このレポートでは、仮想通貨による資金洗浄は、法定通貨や、その他従来型資産を活用したものよりもはるかに少なかった一方で、麻薬密売、詐欺、ランサムウェア攻撃などの収益洗浄や、制裁回避などに使われる動きは増加傾向にあることが報告されていた。
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