FTX情勢について
世界的な大手投資企業ブラックロックのラリー・フィンクCEOは30日、11月に破産申請した暗号資産(仮想通貨)取引所FTXで「大きな非行」があったとコメントした。ロイターが報道したところによれば、NYタイムズが主催したイベントに登壇した際、アラメダなどの破綻騒動に触れた。
ブラックロックは1980年代に設立された世界有数の資産運用会社。関連ファンドを介して、シンガポールの政府ファンド「テマセク」やソフトバンクのファンドとともにFTXの出資ラウンドに参加した経緯があり、一連の騒動でFTXへの出資額2,400万ドル(32億円相当)を損失計上している。
フィンク氏はFTXやアラメダの財政破綻について、以下のように説明した。
この情勢がどのように終息するか見極める必要がある。
さまざまな判断を下すことはできるが、私には大きな余波を伴う不正行為があったように見える。
また、多くの仮想通貨企業が今後淘汰されると冷静な見方を示しつつ、仮想通貨を支える技術的な基盤は今後も「非常に重要である」と評価。有価証券トークンの将来性については楽観視していると述べた。
一方で、全般的な金融経済については今後「さらなる不景気と呼べる期間に突入するだろう」と分析。高いインフレ率や金利の上昇などを要因に挙げた。
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他の投資企業も大規模損失
また、FTXに出資した投資企業の一覧には、ブラックロック以上の損失計上したファンドは少なくない。
米国の大手VCファンド「セコイア・キャピタル」は、11月中旬までにFTXとFTX USに総額290億円(2.13億ドル)を出資していたが、「完全な損失」として評価額をゼロとして計上したことを報告した。
Here is the note we sent to our LPs in GGFIII regarding FTX. pic.twitter.com/Cgp1Yxk1pz
— Sequoia Capital (@sequoia) November 10, 2022
さらに、シンガポールのソブリン・ウェルス・ファンドであるテマセクも、FTXへの出資額375億円(2.75億ドル)をゼロにしたと報告。2021年の2月と10月に実施した入念なデューデリジェンスでは大きな欠損は見当たらなかったとしたが、シンガポールの財務省はFTXへの投資について内部審査を開始している。
Our statement on FTX. https://t.co/pok0EfNEwq
— Temasek (@Temasek) November 17, 2022
また、国内発のグローバル企業ソフトバンクも傘下のビジョンファンド2を介して136億円(1億ドル)相当の出資を行なった点を開示。しかし13兆円にのぼる運用総額の同ファンドへの影響は微々たるほか、事態の発覚直後はマークダウンは行わない方針を表明していた。
その他には、仮想通貨業界では大手のVCファンド「パラダイム」も380億円(2.78億ドル)の損失を計上。カナダのオンタリオ州教員年金基金も約130億円(計9,500万米ドル)規模の出資の評価額をゼロにする方針を発表した。
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