30兆円規模の資金洗浄
デンマーク最大の銀行であるダンスケ銀行(Danske Bank)は13日、巨額の資金洗浄に関与していた事実を認め、司法当局と総額約2,830億円(20.6億ドル)の支払いに合意したと発表。2018年に明るみに出た「史上最大級のマネロンスキャンダル」に対する捜査に終止符が打たれた。
私たちは過去の容認できない失敗と不正行為について、無条件に謝罪し、その全責任を取る。今日のダンスケ銀行にはこのような不正はない。私たちは過ちから学んだ。そして、このような失敗が再度起きるのを防ぐため、考えうる全ての強固な対策を導入するよう必要な措置を講じた。
米国およびデンマーク当局との合意を受け、ダンスケ銀行のマーティン・ブレッシング取締役会長はこのように述べた。
ダンスケ銀行は罰金その他として、米司法省に1,660億円(12億ドル)、米証券取引委員会(SEC)に245億円(1億7,860万ドル)、デンマーク特別犯罪課に933億円(47億4,900万デンマーク・クローネ)を支払う。さらに本件と並行して、SECに対し民事賠償金や遺棄金など、567億円(4億1,300万ドル)を別途支払うことで合意した。
同行は、2008年から2016年にかけて、エストニアにある支店を通じて、高リスクな顧客が米国の金融システムを利用することを可能にしたとして、米国における銀行詐欺の共謀罪に問われていた。
事件の経緯
2018年、ダンスケ銀行はエストニア支店を通じてロシアや旧ソ連諸国から、31.5兆円(2,300億ドル )以上のキャッシュフローがあったことを公表。同行は、その取引の大部分が不正取引である可能性が高いと明らかにし、マネーロンダリングの捜査が開始された。
この問題は、2008年から2016年にかけて発生したが、その間、エストニア支店では「ほとんど監視がない」状態で、多額の資金の送金を可能にするサービスを非居住者である顧客に提供。多くの外国人顧客を惹きつけたとされる。
米裁判所に提出された文書では、同行はマネーロンダリング対策について、関連する他の銀行に対して保証することが求められていたが、保護措置の堅牢さについて虚偽の報告をしたことが明らかにされた。また、資金の出所を曖昧にするためにダミー会社を利用するなど、取引の性質を隠蔽するために顧客と協力したという。
米検察当局によると、最終的にエストニア支店は、米国の銀行を通じて約22兆円(1,600億ドル)を処理したとされる。
銀行によるマネロンの例
各国政府や規制当局は、仮想通貨を利用したマネーロンダリングを常に問題視し、規制強化に結びつけようとする動きが多々見られる。直近では、大手暗号資産(仮想通貨)取引所バイナンスに対するマネロン告訴の可能性が報道された。またFTX破綻を受け、米議会でも仮想通貨のマネロン利用防止のための法案が新たに提出された。
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しかし、最も規制が整備されているはずの既存の金融システムにも、大規模なマネロン事件は相次いで起きている。以下はその数例だ。
- 米シティグループ: 顧客の不正資金のメキシコへの送金を見逃す。2.4億ドルの罰金(2007~2012)
- 米JPモルガンチェース:15年間、ウォール街の大物実業家、バーナード・L・マドフによる同行の口座を使った650億ドルの詐欺行為に目をつむる。20.5億ドルの罰金
- 英HSBC: メキシコからの6,700億ドルの送金や94億ドルの米ドル購入の動きに対する監督不行き届きで、20億ドルの罰金(2012年)
ウォール・ストリートジャーナルによると、ダンスケ銀行の捜査の影響はスウェーデンのSwedbankやSkandinaviska Enskilda Bankenにも波及し、現在、両行では米当局による捜査が進行中だ。
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