CBDC間のクロスボーダー取引を実験
銀行間メッセージングサービスのSWIFT(スイフト)は9日、中央銀行デジタル通貨(CBDC)間取引の実験における進展を発表。参加した18の中央銀行および商業銀行が、スイフトが提供する、CBDC接続ソリューションに「明確な価値」があると認めたと報告している。
スイフトは、12週間にわたるCBDCの共同テストを実施。フランス銀行、ソシエテジェネラル、BNPパリバ、シンガポール通貨庁、HSBC、ドイツ連邦銀行を始め、世界の18以上の金融機関が参加した。
SWIFT(スイフト)とは
「Society for Worldwide Interbank Financial Telecommunication(国際銀行間通信協会)」の略で、銀行間の国際送金を可能にする通信ネットワークを提供する非営利法人のこと。このネットワークには、世界200カ国超の11,000以上の金融機関が接続している。
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実験は、2つの異なるCBDCのブロックチェーン間、およびCBDCと法定通貨による決済システムの間で、約5,000件の取引をシミュレーションするものだった。銀行の参加者は、異なるプラットフォームで構築されたCBDCであっても円滑に取引できるとして、このソリューションの開発継続を支持している。
スイフトは、今後数か月の間に、決済ソリューションのベータ版を開発し、銀行が参加するテストをさらに行うことも念頭に置いている。その他に、証券決済、貿易金融、条件付決済などのユースケースに焦点を当てたCBDC決済ソリューションのテストも実施する計画だ。
スイフトは、CBDCの相互運用システム開発の背景も説明した。現在、110か国以上がCBDCを検討している状況だが、その多くは主に各国内での利用に重点を置いていることから、それぞれのCBDCシステムが孤立してしまう可能性があると指摘している。これに対応するソリューションが必要だとする格好だ。
今回の実験に参加したHSBCのグローバル決済ソリューション責任者Lewis Sun氏は、次のようにコメントした。
現在CBDCでは、さまざまな技術や規格が試行錯誤されているため、それぞれのシステムが孤立化するリスクも高まっている。
スイフトと、中央銀行や商業銀行が継続的に協力して、より速く、より安く、より安全なクロスボーダー決済を実現するプラットフォームを生み出せるだろう。
また、インテーザ・サンパオロ銀行のStefano Favale取締役は、CBDCにおいて「相互運用性は、流動性の罠を回避し、ネットワーク効果を生み出すための重要な要素だ」と述べた。
スイフトは、分散型オラクルネットワークを提供するChainlink Labsとも、クロスチェーンの相互運用性に関する実証実験を行っている。この実験の背景としてスイフトは2021年、今後10年の間に、トークン化資産と従来の資産が共存するようになると予想しており、仲介者としてマーケットをサポートできないか探りたいとしていた。
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CBDC相互運用性の実験続く
ここ数年、様々な機関が、CBDCの相互運用性に関わる実験を行っているところだ。
国際決済銀行(BIS)は3月6日、複数の中央銀行と共同で行った、CBDCクロスボーダー取引についての実験結果を報告。BISがイスラエル銀行、ノルウェー銀行、スウェーデン国立銀行と協力して実施したものであり、利点や各CBDCシステムに必要な要件、今後の検討課題を説明している。
また、2022年11月に米ニューヨーク連邦準備銀行は、CBDCの相互運用を検証する実験プロジェクトへの参加を表明。実験は、決済大手マスターカードや、シティ(Citi)、HSBC、BNYメロンやその他の大手金融機関も共同で行われるものだ。
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