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日本企業も続々参入:dAppsゲーム市場の成長と可能性(寄稿:dAppsMarket)

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

dApps市場の歴史
1日6,600ETH動くこともあるdAppsゲーム。市場拡大に伴い大手企業も参入し始めており、ゲームを通してデジタル資産に投資できる新しい可能性が話題になっています。当記事は「dAppsMarket」さんから寄稿頂きました。
dAppsとは
分散型アプリケーション(dApps)は、Decentralized Applicationsの略。 従来のアプリケーションをオープンソースの「ブロックチェーンベース」で構築していく仕組みのこと。

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dApps市場の歴史

みなさん、はじめまして。「dAppsMarket(国内最大規模のdAppsメディア)」を運営しています。

今回は、先日提携した「CoinPost」さんを通して、dApps市場における様々な情報を発信させていただきます。

テーマは主に、

■dAppsゲーム市場の成長と市場分析について

■dAppsが及ぼす市場への影響|ICOからプロダクトへ

あまり見えてこない「dAppsの市場の動き」などをまとめていますので、最後までお読みいただけると幸いです。

dAppsゲームの誕生

2017年11月23日、「クリプトキティ(Cryptokitties)」というブロックチェーンを利用したゲームが世の中にリリースされました。

しかし、ビットコイン(BTC)価格はすでに大幅に上昇しており、今後も上がり続けるという過度な期待がある最中であったため、世界中の多くの人々はこのdAppsの存在を知ることはありませんでした。

12月4日、イーサリアム創始者であるヴィタリック氏がクリプトキティへのメンションを行いました。これをきっかけに世間に認知されることになり、世界初となるブロックチェーンを使ったゲーム・アプリケーションに注目が集まりました。

NFT(non fungible token)で生成されたキャラクターは、製造番号もブロックチェーンへ記録されています。収集家の間では製造番号(シリアルナンバーのようなもの)が若いほどに高い価値が付き、特に100番以内のキャラクターには、100ETH以上の価値がつくものも珍しくありませんでした。

提供:dAppsMarket

提供:dAppsMarket

その後、ビットコインを始めとした仮想通貨の市場下落と共にクリプトキティの盛り上がりは衰えますが、その後2018年2月にdAppsゲームの市場が盛り上がるファーストピリオドを迎えます。

dAppsゲームのファーストピリオド

クリプトキティの成功を見て、数多くのデベロッパーがdApps市場へ参入します。

具体的に時期でみると1月-3月ごろまでの3カ月間をファーストピリオドと考えており、この時期に出た数多くのゲームは市場に良くも悪くも少なからず影響を与えました。

具体的な数は分かりませんが、当時リストにしていた分だけでも200前後ぐらいのタイトルはありました。そのうちリリースまで開発が進んだのは2018年9月までに10%程度です。まだ開発中のものも多くあります。

現在話題になっている、Etheremon(イーサエモン)、ETH.TOWN(イーサタウン)、Axie(アクシー)などは、この時期に発表・リリースされたものです。

ICOと比較してみるdAppsゲームの特徴は、「ICOで集金を行わない点」です。

中にはICOを行うプロジェクトもありましたが、既に仮想通貨の市場は下火になっていたこともあり、プロダクトを触って資金を入れるかどうか、という点に魅力を感じていたユーザーが多く、ICOは一般的にはなりませんでした。

各ゲームプロジェクトは、ICOの代わりにゲーム内コンテンツをプレセールする形で集金すること流行ります。通常よりも安くコンテンツが利用できる・ゲームアイテムの割引などです。

2月から9月現在まで一定のユーザー数を獲得しているEtheremonがゲームコンテンツのプレセールを行いました。その時の数字を例に見ていきましょう。

内容としては、ゲーム内のコンテンツ利用料を一部獲得できる版権(土地)の販売です。

オークション式になっており、上位10名が権利を取得でき、最低入札額は0.5ETHからです。

土地の販売数は54ありましたので、合計540名が土地を持つ権利を得られます。また一人が複数所持することも可能でしたので、実際の数字は以下の通りとなりました。

  • 1,036トランザクション
  • 511ウォレット
  • 607ETHが集まる
  • 292ETHが上位10名に入らず、返金された分
  • 残った資金315ETH

540全ての土地は販売されましたので、315ETHで土地単価を出したところ、「0.58ETH」となります。

運営が予想しているソフトキャップは超えており、更に18%乗りました。これはEtheremon運営が考える成功ラインに届いたと考えて良いでしょう。

また、ゲームタイトルは出しませんが、このようにプレセールを行ってソフトキャップに届かず、返金を行ったタイトルもありました。

このように、ゲームを実際に触ってから確かめられる集金方法は、ICOと比べてプレイヤーのリスクが軽減されるので、ICOに慣れたプレイヤーには人気を博したと言えるでしょう。

日本のdApps市場

日本企業が、dAppsゲーム市場の反応を見て動き出したのが、同じく2018年1〜3月頃からです。

特に動きの早かった株式会社グッドラックスリー(福岡のゲーム開発会社)は、クリプトキティの影響・データを直ぐにリサーチして、日本向けのコレクティブルゲーム「くりぷ豚」の開発に着手・発表をしました。

2018年6月18日に「くりぷ豚」はリリースされ、日本国内で初めてdAppsゲームが誕生することになります。また、同ゲームはdAppsでは世界初となる3Dによるフルモデリングされたゲームでしたので、海外で開発しているデベロッパーの間でも話題になりました。

提供:dAppsMarket

7月25日のDappradarでは、コレクティブルの部門で世界1位を獲得しています。

同時に日本国内で多くのゲーム会社が制作する旨のプレスを発表します。その多くは現在開発中ですが、年内リリースに向けて各社開発に向かって動いています。

この影響を見て、個人デベロッパーもブロックチェーンを学ぶ上でゲームを作ってみる動きなどを見せており、個人同士で集まるハッカソンやコミュニティなど、活動領域も広がっています。

日本人プレイヤーの活動と世界から見た日本市場

ファーストピリオド後より、Twitterを中心に一部のユーザー・ブロガーが、dAppsゲームに注目します。

彼らはゲームを通して、dAppsはこれまでのゲームと異なり、ゲームを通してお金を稼ぐことができる新しい可能性に注目し、それらを世間に広めようと精力的にTwitterやブログなどで活動しています。

また、当記事を書いているdAppsMarketも、2018年2月からリサーチを開始して、3月にメディアを立ち上げています。

最初はTwitterメインのアクセスでしたが、現在は1日のアクセスの40%ほどはGoogle/Yahooより検索されているため、認知も広がりつつあると感じています。

また、dAppsMarketをスタートして2カ月後の5月頃より多くの海外企業より、掲載してほしい旨の連絡をもらうようになりました。9月までの企業問い合わせなどは数を数えていませんが、最低でも50社以上からは連絡を貰っていると思います。

世界で見てもdApps専門のメディアの数は少なく、日本人の市場は世界的に見ても魅力的に見えることから、dAppsMarketへ連絡して市場を広げようとする動きが見えます。

dApps市場のポテンシャル

提供:dAppsMarket

dApps市場のうち、ゲームは特にまだ大きな盛り上がりを見せていません。人気ゲームのDAU(1日のアクティブユーザー数)を見ても、400前後、瞬間的に見ても600程度です。

しかし、成功するゲームの1日の売上高は、1億円以上を達成することもあり、1人あたりの利用金額(単価)が凄く高いことが分かります。画像は、シミュレーション系の不動産投資ゲーム「ETH.TWON」のものですが、一日6,600ETHも動いています。

また、各メディアは軽視しがちですが、dAppsの場合、ゲームを遊ぶユーザーの課金率は100%です。

日本で流行している一般的なソーシャルゲームの課金率が5%前後・単価3,000〜5,000円ほどと考えると、dAppsゲームの課金率が100%・単価数万円を記録していることを、ただのプレイヤー数だけで比較するのは意味がありません。

単純に課金プレイヤー数でみれば20倍、単価でみると約10倍前後の結果がデータで証明されています。

日本のゲーム会社も、このデータに気づいている企業は少なくなく、どのようにdAppsゲームを認知させていくか、各社で戦略を考えており、私もまた打ち合わせなどに参加する時は、意見交換を行っています。

トレード投機からプロダクト投資へ

先にも述べたとおり、2017年はICOを中心に資金を集めていくプロジェクトが多く、それらが取引所へリスト(上場)することで、トレード収益を上げているプレイヤーが中心でした。現在もその流れはありますが、昨年ほどではありません。

ERC20規格のトークンがICOの中心であったため、特に人が集中していた2017年10月から2018年1月頃までのマイイーサウォレットの登録数は凄まじく、当時SEOで1位と2位を取っていたメディアからの情報では、日々の検索数とアクセスがデイリーで10,000ほど、最大時は17,000ほどだったようです。(こちらは証明するアナリティクスのキャプチャなどはありませんが、直接見せてもらいました。)

その後、SNSを中心に当時盛り上がっていた仮想通貨の市場は下火となりましたが、dAppsが出てきたことにより、当時ICOへ参加されていた方々の一部がプロダクト化への意識が芽生え始めました。

ホワイトペーパーから予想するプロジェクトの信頼性・未来よりも既に出来上がろうとしているプロジェクトを実際に触ってみて、投資・投機する方に魅力を感じたためです。

現在dAppsゲームへ資金を入れているプレイヤーがなぜ出来上がってもいないゲームに資金を入れるのか、そこにはゲームというよりもプロダクトへの投機・投資目的である意識のほうが強いためだと考えられます。

また、ブロックチェーンでデータが記録されているdAppsはデータを隠すことが出来ないので、ファンダメンタル要素が強いゲームの要素などよりも、ブロックチェーン上に記録されている取引高・売上・DAUなどを中心に投資を考えることが出来ます。

これはICOでは出来なかったプレイヤーにとって、よりフェアな判断が出来るようになっているところも、今後広がる要素として見られていくでしょう。

dAppsの今後について考えられる可能性と市場の広がり方

ファーストピリオドで得られたデータにより、様々な問題点が浮上、より明確化しました。特にプレイヤーにとって不都合であったのは、ゲームスピード(快適度)に影響するスケーラビリティ問題と、実質手数料となるガス(Gas)価格問題でした。

現在のイーサリアムを始めとするブロックチェーン処理の問題と重なる点ですが、ゲームにおけるデータの認証を早くするため、様々なプロジェクトがその問題に取り組んでいます。

処理速度の解決については、プロジェクトの開発が待たれますが、決してそれらは止まっているわけではなく、開発が進んでいますので、より現実的に、実践で活用できるようになると考えられます。

また、セカンドピリオドになりえるdAppsゲームは、よりクオリティが高い、MMORPGのようなフルモデリングされたものがリリースされていくと考えられます。プラットフォームの多様化も、またそれらに合わせて対応・準備が行われます。

制作期間は、既存dAppsゲームと比べても長い工数を必要とするでしょうが、既に多くのゲーム会社が発表していますので、より多くの新規ユーザーが参入するきっかけとなるでしょう。

これまでの既存dAppsと比べて、現在セカンドピリオドへ向けて開発を行っている企業は「大手企業も多く含まれている」ため、資金難になることが考えにくいです。

これはプロモーション費用にも余裕があると考えられるため、これまでテストを繰り返していた既存dAppsベンチャー企業とは異なる点というところもプレイヤーにとっては魅力的でしょう。

dApps市場のまとめ

現在は、一般的にはあまり知られていないdAppsですが、国内のトークンエコノミーを利用した企業の発表に加え、認知の中心となっているゲーム市場の拡大化に伴い、大手企業の参入も目立ち始めています。

仮想通貨メディアの国内最大級のCoinPostさんがdAppsMarketとメディアパートナーシップを結んだ理由も、dApps市場が今後広がる可能性があることを見越したからだと考えられます。

今後はICOよりもdAppsへ

その認知が、一人でも多くのプレイヤー・トレーダー・投資家へ伝わってほしいと考えているので、少しでも興味を持った方は、ぜひ少額からで構いませんのでdAppsを触ってみて下さい。

Contributor:

dapps market 公式サイト

dAppsMarket(ダップスマーケット)は、国内最大のDAPPS専門のメディアです。

情報発信については、リサーチしているものが中心ですが、各プロジェクト・企業と協力して一次情報なども発信しています。「日本からの情報を世界の中心へ」今後は世界展開も視野に入れて活動中です。

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