CoinPostで今最も読まれています

分散型IDに特化するオントロジー、EVM対応のL2ソリューション発表

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

Goshen Networkをローンチ

分散型アイデンティティ(DID)ソリューションおよびデータ特化型のオープンソースプラットフォームを開発するオントロジー(Ontology)は22日、レイヤー2ソリューション「Goshen Network」を発表した。このソリューションは、オントロジー・ファウンデーションが推進するインキュベーションプログラムを通じて開発されたものだ。

オントロジーは、個人や企業が安心してWeb3へアクセスする基板となる分散型IDとデータソリューション開発に特化したブロックチェーン。「信用の再定義」をミッションとして掲げており、 分散化され、プライバシーと透明性、信頼性を高めた安全性の高いインフラ構築に注力している。

オントロジーは22年3月に独自のイーサリアム仮想マシーン(EVM)を正式にローンチ。オントロジーEVMの稼働により、イーサリアム・ブロックチェーンとの互換性が確保されている。

EVM

イーサリアム仮想マシンの略。スマートコントラクトを実行するための「翻訳機」として機能する。EVMはイーサリアムクライアントのネットワークに保持されるステートマシン(入力条件と現在の状態によって次の状態が決まる論理回路)であり、ブロック生成の度にトランザクションやスマートコントラクトを実行してネットワークの状態を計算する役割を担う。

▶️仮想通貨用語集

Goshen Networkはイーサリアムと完全な互換性を持つトラストレスなL2ソリューションで、オプティミスティック・ロールアップに基づいている。

ロールアップ

メインのブロックチェーンのセキュリティを活用しながら、トランザクションの一部をオフチェーン(ブロックチェーン外)で処理することにより、ネットワークの混雑解消を図るスケーリングソリューションのこと。ロールアップ技術にはZKロールアップとオプティミスティック・ロールアップ(Optimistic Rollup)の2種類がある。

▶️仮想通貨用語集

Goshen Networkの誕生により、オントロジーとイーサリアムエコシステム間で相互運用性が高まることが期待されている。オントロジーEVMが両チェーン間の障壁を取り払い、Goshenが高レベルのセキュリティを維持しつつ、高速で安価なトランザクションの提供に貢献することを目指すとのことだ。

Goshen Networkの特徴

Goshen Networkは、普遍的かつイーサリアムと完全な互換性をもつL2ブロックチェーンで、オプティミスティック・ロールアップを実装。汎用EVM計算に最適化されたRISC-V不正防止システムを採用している。

Goshenは以下のような特徴と優位性を備えている。

  • 安いガス料金
  • 高速なトランザクション:数秒で実行
  • 高いセキュリティレベル
  • 開発者が使いやすい:イーサリアムツールチェーンやdAppsに完全対応
  • 堅牢な不正防止システム
  • 効率的な状態遷移
  • モジュール式のプロトコル設計:理解しやすいシンプルなレイヤーデザインを採用

Goshenは、イーサリアムと完全な互換性を持っているため、エコシステム内でツールチェーンの展開や再利用がしやすい。また、モジュール式の開発コンポーネントが用意されており、開発者に配慮された開発環境となっている。

4月にはGoshenのスマートコントラクトが、開発者向けに完全にオープンソース化される予定だという。

オントロジーの関連プロダクト

オントロジーは、分散型アイデンティティとデータのソリューションを通して、Web3に信頼できるアクセスを提供することを目指している。

オントロジーの活動の原点が、分散型アイデンティティ・フレームワーク ONT IDであり、OWN(Ontology Web3 Network)インフラの基盤の一つとなっている。

ONT IDは独自の分散型IDで、現在はオープンソース化されており、KYC(本人確認)、ウェブサイトへのログイン、P2P(ピアツーピア)通信機能などのオプションも追加されている。

分散型IDとは

分散型IDとは、中央集権的な身分証明証の発行機関や組織などに依存することなく、自分が誰であるか、また自分に関する情報や保有する資格などを証明・管理することのできる、新たなタイプのIDを指す。

▶️仮想通貨用語集

オントロジーはONT IDフレームワークを基盤に、ONT IDが搭載された「ONTO ウォレット」、ONT IDの信用スコアシステムOScoreを組み込んだ、DeFiレンディング・プロトコル「Wing ファイナンス」、さらに分散型データプロトコル「SAGA」を開発している。

また、オントロジーEVMのローンチにより、イーサリアムとの相互運用性を高め、開発者に魅力的な環境を提供することで、イーサリアム開発者をオントロジーへ誘致する努力を重ねている。

オントロジーは5年以上にわたり、L2に関する技術を蓄積するとともに綿密な研究を進めてきた結果、GoshenのL2フレームワークの設計、および技術的互換性の優位性を評価するに至ったという。高速かつ低コストのL2チェーンを取り入れることで、オントロジーの牽引力がさらに高まる、と期待する声もある。

関連:Web3時代のIDソリューション、ONT IDとは

関連:オントロジーによるマルチチェーン対応の分散型IDウォレット「ONTOウォレット」を解説

2023年のロードマップ

オントロジーは2月に、2023年のロードマップを公開。技術、分散型アイデンティティ、エコシステムの三つの領域において開発が計画されている。

技術面では、メインネットのパフォーマンスの最適化、ステーキング機能/UIの最適化、オントロジーEVMの開発効率アップ、技術文書の改善による開発者支援、レイヤー2プロジェクトとのシステム統合、セキュリティ強化、Web3インフラの変化への対応などが挙げられた。

分散型アイデンティティ(DID)領域では、DID、データ、レピュテーション管理機能を統合して、ユーザーのプライバシーや情報の保護をさらに強化することを目指す。

エコシステムに関しては、昨年、オントロジーEVMのローンチと同時に設立された1,000万ドル(約13億円)相当の開発者向けファンドで、参加プロセスをより簡素化し、オントロジーEVM上での開発を後押しする。このファンドは、技術、マーケティング、ビジネス開発などの面で、オントロジーが参加プロジェクトに対し手厚いサポートを提供するものだ。

関連:分散型ID開発のオントロジー、2023年のロードマップを発表

CoinPost App DL
注目・速報 相場分析 動画解説 新着一覧
07/27 土曜日
08:10
マスク氏のX(旧ツイッター)、ビットコインなどの仮想通貨絵文字表示を削除か
イーロン・マスク氏がオーナーのX(旧ツイッター)は、ビットコインなどの仮想通貨絵文字表示を削除した。ドージコイン擁護のためか。
07:35
BitwiseのETH現物ETFの横断幕、NYSEに掲揚
仮想通貨運用企業Bitwiseのイーサリアム現物ETFの横断幕が、ニューヨーク証券取引所に掲げられた。同社は、取引終了のベルを鳴らすことも報告している。
07:05
野村傘下のレーザーデジタル、利回り提供のイーサリアムファンド販売予定か
野村ホールディングスの仮想通貨資産子会社であるLaser Digital(レーザーデジタル)は、イーサリアム現物ETFの代替商品の導入を計画しているようだ。
06:40
米SEC、グレースケールのミニ版ビットコインETFを承認
仮想通貨投資企業グレースケールが提供するGBTCは手数料(1.5%)が最も高く資金流出は続いていたが、新商品を導入し0.15%という業界最安の手数料設定で競争力を高める狙いだ。
06:20
ビットコイン価格が21年後に最大で75億円に到達か、マイケル・セイラー氏の強気予想
ビットコインを最も保有する米上場企業マイクロストラテジーのマイケル・セイラー氏はカンファレンス「ビットコイン2024」で、BTCの今後の強気予想のプレゼンテーションを行った。
07/26 金曜日
17:10
「米大統領選で価格変動 トランプやハリス由来のミームコインの買い方
トランプトークンの概要 ドナルド・トランプ前米大統領とその「Make America Great Again」(アメリカを再び偉大に)というスローガンからインスピレーションを得…
17:10
ヤマハ発動機が初のVTuberコラボNFTを発行、Yamaha E-Ride Baseを訪れて進化可能
ヤマハ発動機が初のNFTデジタルステッカーを発行。横浜のYamaha E-Ride Baseで進化するダイナミックNFTを体験し、限定グッズをゲットできる。
15:13
ビットフライヤーがFTX Japan買収完了、カストディ事業展開へ
株式会社bitFlyer HoldingsはFTX Japanの株式100%を取得し、完全子会社化を発表。8月26日までに社名を変更し、クリプトカストディ事業を展開予定。法制度整備後の暗号資産現物ETF関連サービス提供も視野に入れている。
14:43
Neo Xメインネットが正式稼働 EVM互換でネオのエコシステムを拡張
Neoは高性能EVMベースのサイドチェーン「Neo X」のメインネット正式稼働を発表。クロスチェーンブリッジで流動性と互換性が向上し、エコシステムの可能性が広がる。
14:15
カマラ・ハリス氏のミームコインが過去最高値を記録、大統領候補指名の期待受け
PolitiFiと呼ばれる政治パロディのミームコインが、仮想通貨領域で独自のジャンルを形成しており、カマラ・ハリス副大統領のパロディコイン「 Kamala Horris(KAMA)」が急騰し話題となっている。
12:55
アルトコインETFの未来、ブラックロックが語る現実と可能性
ブラックロックのデジタル資産責任者は、イーサリアム現物ETFが承認されていても他のアルトコインETF誕生には困難があると話した。
12:14
仮想通貨相場反発、ビットコイン・カンファレンスのトランプ登壇に関心集まる
昨日までの大幅下落とは打って変わり暗号資産(仮想通貨)相場は反発した。強気シグナルのハッシュリボンが点灯しているほか、今週末にはビットコインカンファレンスに米国のトランプ前大統領が登壇予定であり、投資家の関心が集まる。
11:00
トランプ前大統領の陣営、4〜6月期で仮想通貨で6億円の寄付金調達
トランプ前大統領は、ビットコインなど仮想通貨で6億円以上の選挙資金を調達。「ビットコイン2024」でもさらに資金を集める予定だ。
10:30
BTCが290万ドルに到達するシナリオ、VanEckが公開
仮想通貨ビットコインが2050年までに290万ドルに到達するシナリオをVanEckのアナリストが公開。このシナリオを実現するための条件を説明している。
10:00
ソラナ初事例、パラオ共和国がデジタルID発行
主権国家が仮想通貨・ブロックチェーンであるソラナ上で、法的アイデンティティを発行する初めての事例となった。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア