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金融庁主催のデジタル・分散型金融研究会、規制上の課題特定に向けて議論

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

デジタル・分散型金融への対応

日本の金融庁は4月21日、「デジタル・分散型金融への対応のあり方等に関する研究会」(第9回)を開催した。令和3年7月26日から開催されており、技術系を含めた学者や金融実務家が参加している。

事務局は出席者に対し、海外(特に米国)における暗号資産(仮想通貨)やDeFi(分散型金融)に関する執行事例を考慮し、伝統的な金融資産と異なる、これらの新興技術特有の課題について議論するよう要請した。

これには、違法行為抑止の実効的方法、オンチェーンおよびオフチェーン情報を含む総合的な市場監視と分析のあり方、デリバティブ取引や信用不安の拡大、DAO(分散型自律組織)における合意やガバナンス、規制されていない法域の存在などが含まれる。また、日本においてこれらの課題を検討する際の留意点についても言及するよう促した。

事務局はまた、DeFiサービスやスマートコントラクトを利用したサービスにおいて、違法行為の責任主体と捉えるべき者についての意見を求めた。

デジタル資産の不公正取引

デジタル資産の不公正取引の代表例として、事務局はCoinbase元社員によるインサイダー取引を例示した。Coinbaseは米国最大の暗号資産取引プラットフォームで、2021年6月から2022年4月にかけて、社員であるIshanがNikhilとSameerに非公開情報を伝達して約1.5億円(110万ドル)の利益を得た。2022年4月にTwitter上で不自然な取引が特定され、米証券取引委員会(SEC)と米司法省(DOJ)が3名を訴追した。

関連:米コインベースの元従業員ら3名、仮想通貨のインサイダー取引で逮捕

この件を受けて事務局は、不公正取引への捜査・執行の実効性確保、パブリックブックチェーン上の取引透明性の活用、オンチェーンとオフチェーン情報の組み合わた分析・追跡、暗号資産取引プラットフォームの社内体制構築などを課題として指摘している。

スマートコントラクト型サービスの責任主体

スマートコントラクト型サービスの違法行為の責任主体として、Tornado CashとOoki DAOという2つのDeFiプロジェクトの事例が示されている。

Tornado Cashはブロックチェーン上の取引履歴の追跡を困難にする仮想通貨ミキサーで、米OFACは北朝鮮が支援するハッキング組織のマネーロンダリングに使用されていたとして制裁措置を取った。また、オランダの捜査機関FIODはTornado Cashの開発者でガバナンストークン保有者のAlexey Pertsevを逮捕した。

関連:米議員、イエレン財務長官へTornado Cash制裁について質問状を送付

この件から浮かび上がる課題として、事務局は自律的に稼働するミキシングサービスが違法行為を助長した場合の責任主体の捉え方や、既存の規制執行アプローチの適切さを指摘した。さらに、ブロックチェーンバリデーターによる制裁対象アドレスの取引承認の可否が不明確であることから、匿名性を維持しながら犯罪行為を阻止するための効果的な執行方法の明確化が求められている。

なお、米商品先物取引委員会(CFTC)は、分散型デリバティブ取引所BZRXに関与するOoki DAOとOokiトークン保有者にも類似の違反で訴追を行っており、Ooki DAOを”unincorporated association(非法人組織)”と捉えてガバナンストークン保有者に責任を求めている。2022年12月に裁判所は、Ooki DAOが訴えられる能力があると判断したが、DAOが商品取引所法で責任を負うかどうかはまだ未決定である。

関連:米CFTC、OokiDAOに対する訴訟プロセスが覆る

海外の規制動向

海外では、DeFiや仮想通貨に対する規制整備が進行しており、業界に変化が起こっている。

米国財務省は4月に「分散型金融の不正金融リスク評価」を発表し、DeFiの分散化、犯罪利用の危険性・脆弱性を分析。対処方法を提言している。DeFiの不正金融リスクは、法令遵守を怠るサービスや仲介者不在スキーム、法域間の規制ギャップ、サイバー脆弱性などから利益を得ようとする犯罪者に利用される危険性があると指摘されている。

関連:米財務省、DeFiの不正金融リスクを評価=レポート

米連邦準備制度理事会(FRB)らは23年2月、仮想通貨業界の脆弱性が従来型銀行の流動性リスクに影響を与える可能性について声明を発表。仮想通貨企業と取引を行う銀行に対し、リスク管理を強化するよう呼びかけた。

顧客預金の安定性は、仮想通貨市場の出来事やメディア報道、市場ニュースへの仮想通貨保有者の反応により、急激な資金の流出や流入の影響を受ける可能性があるとの見解を示した。

関連:米FRBら、仮想通貨業界の資金を取り扱う銀行に注意喚起

欧州議会は4月20日、暗号資産市場(MiCA)法案を可決。MiCA規則は現行のEU法に規制されていない仮想資産の規制を統一化し、ユーザーや投資家の保護を目的とする。ステーブルコインやその他のデジタル資産取引の規制に重点を置き、ライセンス制度や消費者保護要件を定めている。

関連:欧州議会がMiCA規則を承認、仮想通貨に関するEU全域の規制統一へ

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