Gensyn AI、60億円を調達
米大手VCアンドリーセン・ホロウィッツ(a16z)の暗号資産(仮想通貨)投資部門a16z cryptoは11日、英国に本拠を置くGensyn AIによる約60億円(4,300万ドル)のシリーズA資金調達ラウンドを主導したと発表した。
a16zの他には、CoinFund、Canonical Crypto、Protocol Labs、Eden Block、および数人のエンジェル投資家が出資している。
調達した資金は、Gensyn AIの人員拡大と、今年後半に予定されるテストネットワークの立ち上げなどにかかる開発費用などに充てられる計画だ。
Gensyn AIのベン・フィールディング共同創設者によると、Gensynは「分散型の機械学習コンピューティング・プロトコル」だと定義できる。機械学習モデルをトレーニングできる開発者と、機械学習モデルをトレーニングしてほしい人をつなぐ、ブロックチェーンを土台としたマーケットプレイスである。
スマートコントラクトを使って、機械学習トレーニングのタスクが実施されたことを検証し、タスクを行った開発者にすぐに報酬を与える仕組みだ。
Gensyn AIのハリー・グリーブ共同創設者によると、GensynはSubstripeプロトコルに基づく、レイヤー1のプルーフオブステーク(PoS)ブロックチェーンである。規模が拡張可能で、データ検証する上でのリソースについても、非常に低コストであるとされる。
スマートコントラクトとは
あらかじめプログラムされた条件に応じて、自動的に契約を執行する仕組みを指す。スマートコントラクトの機能が実装されているブロックチェーンで代表的なのはイーサリアム。契約を締結する際には、仲介者や契約書作成などの事務作業が必要になる場合が多いため、自動的に契約を執行できるようにすることで、効率性向上やコスト削減などが期待できる。
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「AI開発の場を公平に」
Gensynは、世界中の、使われていない状態にある機械学習対応のコンピューティングリソース(小規模なデータセンターから、個人用のコンピューター、スマートフォンまで)を機械学習に利用することで、入手できる計算能力を10~100倍にするものとしても構想されている。
a16zは、こうしたGensynのサービスにより、AI(人工知能)について、スタートアップ企業にも公平な競争の場が生まれると述べた。
a16zは、AIシステムを構築するためには、大規模なコンピューティング(計算)能力へのアクセスとデータセンターが必要であると述べている。このために、大手テクノロジー企業が、AIから価値を生み出す場面で、スタートアップ企業よりも有利であると指摘した。
その上で、Gensynは、大規模なコンピューティング能力に手頃な価格でアクセスすることを可能にして、スタートアップ企業の助けになると説明する形だ。
a16z cryptoゼネラルパートナーのアリ・ヤヒヤ氏は、次のようにコメントした。
当社は、新しい機械学習モデルをトレーニングする必要がある才能ある起業家に、生産性を大幅に上げられるソリューションを提供したいという思いを、Gensynと共有しており、彼らと協力することができて嬉しい。
Character AIにも出資
a16zは3月にも、AI分野への投資を行っている。チャットボット開発会社Character AIの約209億円(1億5,000万ドル)のシリーズA資金調達ラウンドを主導した形だ。
Character AIは、元 Googleのソフトウェアエンジニアらにより創設された企業。テスラのイーロン・マスクCEOなど実在の人物に基づいたキャラクターや、ウィリアム・シェイクスピアなど歴史上の人物、架空の人物に基づいたキャラクターとチャットできるサービスだ。