CZ氏の資産2兆円台に減少か
大手暗号資産(仮想通貨)取引所バイナンスのチャンポン・ジャオ(CZ)CEOの資産が昨年からおよそ約1.8兆円(119億ドル)程度減少したとみられる。ブルームバーグが27日に「Billionaires Index(億万長者指数)」に関して報じた。
これはバイナンスの仮想通貨取引高が38%減少し、低迷していることに起因すると考えられている。
CZ氏の資産は、2022年1月に約14兆円(960億ドル)のピークに達したが、今回の見積もりでは約2.6兆円(172億ドル)にまで減少した格好だ。
ブルームバーグのBillionaires IndexはCoinGeckoなどのデータサイトからスポット市場の取引データを分析し、これに基づいてバイナンスの収益を計算している。
米SECによる提訴の影響
バイナンスの苦境は、仮想通貨市場の停滞に加えて、米証券取引委員会(SEC)が6月にバイナンスを提訴したことにも関わっている。
SECが訴訟を起こした後、バイナンス関連のBinance.USは米ドル(USD)の預金と出金を一時停止すると発表。Binance.USにおいて米ドル建て取引市場の廃止と、仮想通貨のみを対象としたプラットフォームへ移行する方針を示した。
今後はUSDペアを上場廃止とし、一方で、BTC-USDTといったステーブルコインペアをサポートし続ける姿勢だ。このことで、Binance.USの取引高は急落しており、ブルームバーグは6月に同社の発表する資産指数で、Binance.USの評価を大幅に引き下げている。
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ステーブルコインとは
価格が常に安定している(stable)仮想通貨を指す。ステーブルコインは暗号資産の一種で、BTCやETH、XRPなど変動性のある資産とは異なり、米ドルなどに裏付けられその価値を保つことが目的だ。米ドルの裏付けによるステーブルコイン(USDT・USDC)のほか、アルゴリズムを利用するステーブルコインもある。
▶️仮想通貨用語集
仮想通貨市場の停滞については、バイナンスも2023年第3四半期(7月〜9月期)の市場動向レポートで、時価総額が前期比で8.6%減少したことを指摘。業界は依然として「厳しい市場環境」に置かれていると述べていた。
関連:時価総額8.6%減で「厳しい市場環境」=バイナンスQ3レポート
また、規制関連では米国のシンシア・ルミス上院議員らが今月、イスラエルとイスラム系組織ハマスの紛争を背景にして、ハマスがバイナンスのアカウントを資金調達に使っていたとしてバイナンスを批判した。
バイナンスは、すでにイスラエルの要請を受けて問題となったアカウントを凍結しているものの、議員らはバイナンスはテロ組織による取引所の使用を知りながら許可していたと主張している。責任を追及すべきとの書簡を米司法省に提出したところだ。
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依然として最大規模のプレイヤー
一方で、グローバル版バイナンスが仮想通貨市場の最大プレイヤーの一つである状況は続いている。CCDataによると、バイナンスは2023年第1四半期(1~3月)に取引所における仮想通貨取引総額の62%のシェアを占めていた。
また、CoinGeckoによると、現在最も大きな仮想通貨取引所はバイナンス、OKX、Bybitである。月間訪問者数についてOKXは約2,200万人、Bybitは約1,500万人のところ、バイナンスは約4,400万人だという。