はじめての仮想通貨
TOP 新着一覧 チャート 学習 WebX
CoinPostで今最も読まれています

J・ドーシー氏 × E・スノーデン氏「インターネットを再び偉大なツールに」|Nostrasiaレポート

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

インターネットの分散化へ

11月1日から3日に東京と香港、オンラインで開催されたイベント「Nostrasia」では、ツイッター(現X)を創設したジャック・ドーシー氏と、米中央情報局(CIA)の元職員エドワード・スノーデン氏のセッションが行われた。

関連分散型SNS基盤Nostrの会合、東京で開催へ

スノーデン氏は2013年、米政府の大量監視システムの存在を内部告発した人物。その後は米国からロシアに亡命しており、Nostrasiaにはオンラインで参加した。個人情報を自身が管理することができるなどの特徴を持つWeb3は「ポスト・スノーデン・ウェブ(スノーデン後のウェブ)」と呼ばれることがある。

ドーシー氏のようにWeb3メディアなどで動向が伝えられる機会は多くないが、スノーデン氏が行った内部告発は世界に衝撃を与え、Web3と関係も深い。本記事では両者のセッションのポイントを紹介していく。

関連亡命中スノーデン「ビットコインを買いたい」 仮想通貨市場に楽観視

ドーシー氏が目指すもの

イベント名になっているNostrasiaという言葉は、イベントのテーマである「Nostr」と、開催地の「Asia(アジア)」という2つの言葉を組み合わせている。Nostr自体はSNSではなく、分散型SNSを開発するための基盤となるプロトコルのこと。ドーシー氏は開発者に寄付を行うなど、Nostrを支持・支援している。

以前はツイッターのCEOを務めていたドーシー氏は今回のセッションで、もともとは企業のCEOになったり起業したりする計画は人生設計になかったと明かした。しかし、自身のアイデアを伝えるのに最も効率的な方法がたまたまツイッターの創設だったと語っている。

ツイッターを創設した後ドーシー氏は、ツイッターには単一障害点が複数あることに気づき、中でも自身が最も大きな単一障害点になっていることを認識したと話した。ドーシー氏が支持する暗号資産(仮想通貨)ビットコイン(BTC)やNostrの分散型のネットワークは、単一障害点がないことが特徴。当時ドーシー氏は多くのツイッターユーザーのために決断を主導したり、実際に意思決定を行ったりしていた。

関連ブロック社ドーシーCEO「ビットコインはインターネットのネイティブ通貨」

CEOを務めていたため意思決定を行うのは当然ではあるが、一方で、初期のツイッターのことは素晴らしかったと回想している。日本人を含めた多くの開発者がツイッターのAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)を活用し、実験的な試みが行われたことを高く評価した。

この頃のツイッターは、Nostrみたいにプロトコルのようだったとドーシー氏は表現。一方で、後に株式を上場するツイッターはベンチャーキャピタルから出資を受け、広告のようなビジネスモデルも作り、このことが新たな単一障害点を作ったとも回想している。ドーシー氏は以前「最も大きな後悔は、ツイッターを企業にしたことだ」と述べていた。

ドーシー氏は、ツイッターを創設する前にビットコインが存在していれば、より良い選択肢や道ができたと過去に発言したことがあると説明。ビットコインが存在していれば決済において少なくとも単一障害点を1つ減らすことができると述べ、この点がNostrに引かれる理由だと話している。

ビットコインは、開発やマーケティング、ポリシーといった面で誰でも発展に貢献することが可能で、それはNostrも同じだと考えているとドーシー氏は説明。自身にとって最も強固なアイデアはツイッターのようなアプリを再び作ったり、ソーシャルメディアのユースケースを扱ったりすることではなく、誰でも構築することができるオープンでパーミッションレス(自由参加型)なエコシステムを作れるようにすることだと語った。

関連ジャック・ドーシー氏、アップルペイのビットコイン対応をティム・クックCEOに要求

スノーデン氏のNostrに対する評価

スノーデン氏は上記の内容に関連して、ドーシー氏の公の発言で印象的だったのは「ツイッターに関する基本的な間違いは、プロトコルにしなかったことだ」という言葉だったと話した。

実際にツイッターをプロトコルにすることは実現していないが、誰の所有物でもないNostrがドーシー氏にはあるとスノーデン氏は指摘。そして「政府や規制機関に影響を受けない独立した言論や決済が行えることは、本当にゲームチェーンジャーだと思う」と語った。NostrはSNSにビットコイン(SAT)の投げ銭機能を導入することもできる。

スノーデン氏はNostrについて、大きなメディア以上の存在であると感じているが、特にそれは誰のものでもないプロトコルだからであると説明。この点に魅力を感じ、成功を望んでいると話した。

アプリの未来

ドーシー氏は今後について、様々な機能を持つアプリ「Everything App」が主流になるとの見方を示した。Everything Appは「スーパーアプリ」とも呼ばれ、例えばイーロン・マスク氏はX(旧ツイッター)に決済機能などをつけ、XをEverything Appにしようとしている。

関連ツイッターが米国3州で送金業者ライセンス取得、オールインワンアプリへの一歩か

一方でドーシー氏は、ユーザーの選択肢としてNostrやビットコインを使えるようにしておくべきだと主張。そして、それらのアプリをユーザーが切り替え方法を気にせずシームレスに使うことができることが理想だと話した。

Everything Appもオープンなプロトコルで開発すべきであるとドーシー氏は主張。ドーシー氏がNostrに出会った時に最も驚いたことの1つが、自分の秘密鍵で別のアプリを利用できることだったと語っている。

スノーデン氏が指摘する問題点

スノーデン氏も今回のセッションでEverything Appに言及。例えば中国のWechatがEverything Appの例で、決済やSNS、チャット、旅行などで幅広く利用できるものをEverything Appと表現した。

Everything Appついてスノーデン氏は、まだ中央集権的であると課題を指摘。中国のアプリであればアカウントをアクティベートするために中国政府がIDの入力を要請したり、Xであっても支払いを行う場合などに自分のIDを紐づけることが必要になったりすると話した。

こういった中央集権的な管理は、消費者にとって不安要素だと語っている。

関連「真に分散されたSNSの構築へ」——11月東京開催「Nostrasia」の実行委員が語る

CoinPost App DL
厳選・注目記事
注目・速報 市況・解説 動画解説 新着一覧
12/15 月曜日
19:10
CoinDesk JAPAN運営のN.Avenue、独自ブランド「NADA NEWS」へのリブランディングを発表
N.Avenue運営のWeb3メディア「CoinDesk JAPAN」が2026年より独自ブランド「NADA NEWS」へリブランディング。メディア・コミュニティ・暗号資産インデックスを統合し、日本のデジタル資産市場向け情報基盤を構築する。12月下旬グランドオープン予定。
17:41
分散型AIトークンのFET、 Binance Japanで取扱い開始【国内初】
Binance Japanが国内初となるFET(Artificial Superintelligence Alliance)の取扱いを開始。本記事ではASIアライアンスの概要、FETの用途、将来性、想定されるリスクを解説する。
16:45
なぜSBI新生銀行は投資家に選ばれる? 圧倒的優位性を持つ「SBI証券」との連携メリットを解説
SBI新生銀行が投資家に選ばれる理由は、SBI証券との圧倒的な連携メリットにあります。預り金自動スィープサービスで入金操作不要、年4.2%の高金利預金で待機資金を運用。IPO投資、NISA口座、資産一元管理まで、他の銀行では実現できない理想的な投資環境を徹底解説。
14:36
リップル決済、欧州初の銀行採用 スイスのAMINA銀行と提携
リップルがスイスのAMINA銀行と提携し、欧州初のリップル決済導入を実現。ブロックチェーンと従来の銀行システムを統合し、ほぼ即時の国際送金サービスを提供。両社の協力関係はステーブルコイン保管から決済へと拡大。
13:44
イーサリアム「フサカ」実装直後にPrysm障害、1.8億円の報酬損失が判明
イーサリアムの大型アップグレード「フサカ」実装直後、Prysmクライアントでバグが発生し382ETH(約1.8億円)の報酬機会が失われたことが判明し、ネットワークの堅牢性においてクライアント多様性の重要性が再確認された。
13:22
英国、2027年に仮想通貨規制を本格導入へ 政治献金も禁止方針
英国財務省が2027年施行予定の仮想通貨規制案を策定中。英国金融行動監視機構の監督下で取引所やウォレット企業に透明性基準を義務付け、消費者保護を強化。仮想通貨による政治献金も禁止へ。
10:50
ストラテジー、ナスダック100指数への残留決定 ビットコイン買い増しの意欲示す
世界最大のビットコイン保有企業ストラテジーのナスダック100指数への残留が決定した。セイラー会長はビットコイン追加購入への意欲を示唆している。
10:41
日銀30年ぶりの0.75%利上げ見込み 仮想通貨市場への影響は?
日本銀行が12月19日の金融政策決定会合で政策金利を0.75%に引き上げる方針。30年ぶりの高水準となる利上げが、円キャリートレード巻き戻しを通じてビットコインなど仮想通貨市場に与える影響を分析。米FRBのQT終了による影響緩和の可能性も解説。
10:10
2025年末までに済ませておきたい仮想通貨に関する税金と確定申告への準備|Gtax寄稿
仮想通貨の税金の仕組みと、年末までにできる節税対策を解説。損益圧縮やふるさと納税・iDeCoの活用法、確定申告に向けた取引履歴・経費の整理ポイントをまとめています。
08:50
米SEC、個人投資家向けの仮想通貨保管ガイドラインを提示 姿勢転換示すか
米証券取引委員会が個人投資家向けにビットコインなど仮想通貨を保管する方法に関して推奨事項を提示した。ウォレットの選び方やカストディアン選定の注意点を解説している。
12/14 日曜日
14:00
今週の主要仮想通貨材料まとめ、トム・リーのイーサリアム相場分析やXRP現物ETFの連続純流入など
前週比で振り返る仮想通貨市場の最新動向。ビットコインやイーサリアム、XRP、ソラナといった主要銘柄の騰落率や注目材料を一挙紹介。市場トレンドと関連ニュースを詳しく解説する。
11:30
来週の米雇用統計に注目、労働市場減速ならビットコイン相場に追い風か|bitbankアナリスト寄稿
BTC相場は1450万円周辺で推移。FOMCで利下げ決定、流動性供給再開で中期的な下支え期待。来週の米雇用統計で労働市場減速が示されれば、追加利下げ観測強まりBTCの追い風となるか。
11:00
週刊仮想通貨ニュース|仮想通貨税制に関する国会質疑に高い関心
今週は、ストラテジーによるビットコイン押し目買い、仮想通貨税制に関する国会質疑、仮想通貨マーケットメーカー大手Wintermuteの市場分析レポートに関する記事が関心を集めた。
12/13 土曜日
14:05
米インタラクティブ・ブローカーズ、ステーブルコインでの口座入金を開始
ステーブルコイン入金を導入 ブルームバーグが報じたところによると、オンライン証券大手インタラクティブ・ブローカーズ・グループが、個人証券口座へのステーブルコインによる入金を可能…
13:35
仮想通貨業界団体ら、シタデルに反論 「DeFiは仲介事業者ではない」
DeFi教育基金など仮想通貨業界団体らが米SECに書簡を提出した。シタデル・セキュリティーズによるDeFi規制要求に反論し、自律的ソフトウェアは仲介者に該当しないと主張している。
通貨データ
グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
重要指標
一覧
新着指標
一覧