ビットコインの優位性を解説
米ツイッター社の共同創業者で、決済企業ブロック社のジャック・ドーシーCEOは1日、マイクロストラジー社のオンラインイベント「Bitcoin For Corporations」に参加。暗号資産(仮想通貨)ビットコイン(BTC)の優位性と企業がBTCを取り入れるメリットを語った。
イベントはマイクロストラテジー社が主催したもので、ビットコインを企業資産、または決済手段として取り入れる理由をテーマに行われている。同社は1日にも、28億円相当の660BTCを追加購入を表明したばかり。上場企業としては最多の125,051BTCを保有する。
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ドーシーCEOは21年11月末にツイッター社のCEO職を辞任しており、今回のインタビューは辞任表明後初の登壇となった。
ビットコインの優位性
以前からビットコインへの支持を公表しているドーシー氏は、マイクロストラテジー社のマイケル・セイラーCEOとのトークセッションに参加。セイラー氏が、なぜドーシー氏がビットコインを「インターネットのネイティブ通貨」として推進しているかについて尋ねると、ドーシー氏は以下のようにコメントした。
ビットコインへの関心が、やがて世界の仕組みについて考えるきっかけになる。また、通貨としての観点からもビットコインは素晴らしいソリューションだ。
米政府などの中央集権の判断に左右されない、インターネットならではのネイティブ(基軸)通貨として優れていると思う。
ドーシー氏は、ビットコインがオープンソースで透明性が高い点を評価。また、発案者のサトシ・ナカモトが早期にプロジェクトを離脱後もその理念が根付いている点や、開発モデルや実装、運用も透明性を維持したまま12年~13年経過してもなお存続している点を要因として挙げた。
さらに、既存金融や大手企業からは、このような世界中に分散化されてオープンな状態で開発が進むことはあり得ないとコメント。2008年の金融危機直後に決済企業のスクエア社(現ブロック社)や決済アプリCash Appで金融企業と関わったドーシー氏は、クレジットカードなど、従来の金融サービスはコストの仕組みがブラックボックスの部分が多い(不透明性が高い)と批判した。
そして、誰でも自由に参加できる透明性の高いネットワークであるビットコインは、テック企業や一般市民、また活動家などにとってインターネットの基軸通貨がある点は新たな可能性を生み出すことにつながると語った。
ビットコインは「究極的な自由市場」
さらにドーシー氏は、「ビットコインの崇高な理念は、生みの親のサトシ・ナカモト無しでも生存し続ける点である」と称賛。ビットコインついて学ぶことで、結果的に人々は世界金融の既得権益について考え、関心を持つきっかけになるとコメントした。
サトシがビットコインにもたらしたこの精神(エソス)は開発者やノード運用者、マイナーや保有者などに広まっていったとしている。
これに対しセイラー氏は、「ビットコインは究極の自由市場である」とコメント。ドーシー氏もこの見解に同意し、ブロックチェーン界隈で頻繁に利用されるフレーズである「don’t trust, verify」(信頼するな、検証せよ)という格言にこの思想が定着していると分析した。
さらに、ビットコインがここまで注目を集めた理由については、以下のようにコメントした。
お金のような重要な価値システムであるビットコインが、ここまで透明性を維持できている点は前代未聞だ。
特に通貨に関するシステムは世界中の人々が影響を受ける。一般的には、政府や企業によって不透明な壁(不可侵の領域)が構築されていることから印象は良くない。
その点、ビットコインはこのような既得権益に一石を投じるからこそ、ここまで注目を集めているのではないか。
企業にとってのビットコインの影響力
さらにドーシー氏は、もしツイッターのサービスが始まる前にビットコインがインターネットのネイティブ通貨となっていた場合、現在のように”広告に頼る”ビジネスモデルにはなっていなかっただろうと分析。ビットコインを利用すれば、複数の事業モデルに頼ることが可能になるため、一つのモデルに頼り過ぎることがなくなると述べた。
また、ドーシー氏が設立したスクエア社は、各地の銀行など金融機関と関係を構築して、各国の規制当局の基準にも対応する必要があると説明。アイルランドやスペインでは規制環境が全く異なるため、各国の規制に準拠するためには時間がかかり、オーストラリアでのサービス開始には2年、日本でのローンチにも1年半かかったとした。
対照的に、決済アプリでビットコインが利用できれば、世界中全てのマーケットに容易に参入できるとコメント。新たな事業形態も可能にすると語った。