ETF承認で売り圧が生じる可能性
暗号資産(仮想通貨)分析企業K33リサーチのアナリストは2日、ビットコイン(BTC)現物ETFが承認された場合、一時的に売り圧が生じる可能性があると指摘した。
同社アナリストのヴェトル・ルンデ氏が、ETFの上場承認により売りが優勢となる確率は75%とした格好だ。反対に承認により、売り圧を相殺するほどの資産流入が起こり価格が上昇する可能性は20%と予測している。
なお、申請が却下される可能性もまだ5%あるとした。ルンデ氏は、次のように説明した。
過去3か月間はビットコインの価格上昇が続いている。短期市場参加者のかなりの割合が、利益を得る機会としてETF承認イベントに注目している状況だ。このため、彼らは承認のニュースでこの機会を捉えようとする可能性がある。
米証券取引委員会(SEC)が今月中に現物ETFを承認するかどうかについては、賛否両論がある。
例えば、Matrixportは3日、SECは今月すべてのビットコイン現物ETFを却下するだろうと意見した。
背景としては、ETF申請企業がまだ承認に必要な要件を満たせていないとの見方があり、SECのゲーリー・ゲンスラー委員長が12月に仮想通貨業界をコンプライアンス違反が多いと批判していたことも挙げている。
また、もし非承認となればビットコイン価格が最大20%下落する可能性もあるとした。
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一方で、米FOXビジネスは、ETFを申請している各社の関係筋の話から、1月の早い段階でSECが現物ETFを承認する可能性があると報道している。
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ビットコインETFとは
ビットコインを投資対象に含んだ上場投資信託(Exchange Traded Fund)のこと。投資信託とは、投資家から集めたお金を1つの資金としてまとめ、株式や債券などに投資して運用される金融商品。運用成果が投資家それぞれの投資額に応じて分配される仕組みになっている。投資信託の中でもETFは証券取引所に上場しているため、株式と同様に売買ができる。
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分析の背景
K33リサーチのヴェトル・ルンデ氏は、シカゴ・マーカンタイル取引所でビットコインの先物プレミアム(現物価格と先物価格の差)が年率50%の水準に急上昇しており、過熱感が高まっていることも指摘した。
先物の建玉は過去3カ月で5万BTC以上増加したが、これも主にビットコイン現物ETFの承認可能性が理由となっていると続けている。
その上で、現在のプレミアム(現物BTCより高い水準)で、CMEでのエクスポージャーを維持するには毎月1~2%のコストがかかり、これは中期的には許容範囲でも、長期的には、特に他の投資手段がある場合は、持続不可能だと述べた。
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