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ソラナバリデーター管理を簡単に  エルソウルラボ「solv Ver.3」リリース【独自取材】 ソラナEpics DAOが語るオープンソース開発の未来

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

日本語対応ソラナクライアント「solv」

エルソウルラボB.V.と分散型開発コミュニティ「Epics DAO」は、Solana(ソラナ)バリデーター向けの管理ツール「solv」の新バージョン、Ver.3を1月下旬に公開した。

このツールはSolanaバリデーターの設定、運営、監視、通知、及び更新作業を簡略化し、これらのプロセスをより効率的にすることを目指す。特に、Solanaのバリデーターになることに関心はあるが、高度なサーバー要件や複雑な設定作業の壁に阻まれてきたユーザーや、経験豊富な開発者でも、管理に多大な時間を要することが困難だった人々がターゲットである。

solvは、バリデーター業務の手間を削減し、より多くのユーザーがSolanaネットワークへの参加を容易にする設計になっている。これにより、Solanaの分散性の向上と、持続可能なオープンソース開発環境の構築が促進されることが期待される。

Ver.3においては、Solanaバリデーターが必要とするハードウェア要件を満たすことができるほとんど全てのクラウドサービスに対応。また、初心者でも簡単にバリデーターを立ち上げ、運用することができるようにする新しいダッシュボードが導入された。さらに、テスト・メインネットでのバリデーター業務に加え、RPCサーバーへの対応も強化され、より広範なユーザーがこのツールを利用できるようになった。

RPCノードは、迅速なトランザクション処理に寄与し、dAppsの性能向上や高速トレーディングに特に有用である。エルソウルラボのCo-founder. ソフトウェア研究者の岸氏は、「このような基盤技術に誰もが容易にアクセスできるようにすることが、さらなるイノベーションを促進すると信じている。」と述べた。

エルソウルラボに聞く、ソラナの今後の注目点は

昨年、暗号資産(仮想通貨)ソラナ(SOL)の時価総額は驚異の940%成長を記録し、そのネットワークの安定性、分散化の進展、製品開発の進化を通じて、コミュニティと開発力の確立が示された。CoinPostはELSOUL LABO B.V.(エルソウルラボ)の岸氏に独占取材を行った。

1.ソラナは欧州中心のコミュニティという印象があるが、日本やアジア地域でのプレゼンスは?solv Ver.3の目指すところは?

岸:solvは簡単にすぐSolanaバリデーターをセットアップできるので、このようなニーズとマッチしている。バリデーターは本業と言うよりも副業の位置づけになっていくかと思う。そのために大きな時間をなかなか投下しづらいところ、solvは時間を確保しながら運用を可能にするツールだ。

米国とカナダを合わせたアクティブ・ステークが34.3%である。ネットワークの地理的分布のスナップショットを各国の出資比率 ソース(最終更新9/7/23  出典:Solana Foundation

岸:現在、ソラナのプレゼンスはアジア地域でのサーバーのコストや言語の問題などにより、欧州やアメリカに比べてやや低いかもしれない。特に、アジアでのサーバーコストが高いことが課題。例えば、東京やシンガポールのサーバーコストが他地域に比べて高い傾向がある(災害が多く暑いため、維持費がかさむ)。

さらに、言語の問題もある。アップデートは週に2、3回あるが、日本語での解説が十分でないため、参加障壁が高い。ただし、solvが日本語対応していることもあり、日本のユーザーが増えている。ワン・コマンドでアップデート完了するため、乗り換えも多い。欧米からの参入も多い。

2.solvのSolana対応クライアントに関して、Solana Labs製のほかに、サードパーティ製Jito-solana、Firedance(開発中)に対応する予定は?

岸:現時点では、当社の製品はSolana Labs製のクライアントにのみ対応。ただ、Jito-Solanaに対応する予定があり、近々リリースされる見込み。また、Firedancerについては、非常に期待しており、Jito-Solanaに対応した後に対応する予定だ。

Rustは素晴らしい言語でSolanaの開発には最適で、モノを安全に作り進められる能力が高いと思っている。Solanaの仕様がある程度固まってきた段階からのC言語でのリプレースを行うプロセスは合理的だ。目的に一直線に作るソフトウェアの効率はとても高い。

C言語で度重なる仕様変更は開発スピードを遅くするので、最初からC言語でSolanaのようなイノベーションは狙えなかった。しかし、このステージでの新たに行うチューニングとしてはとてもいい選択。テスト環境とはいえ、すごい数字を叩き出しているので、とても期待している。

Firedancerとは

現行のクライアントコードベースをC言語で完全に再構築プロジェクト、ボトルネックの削減、ハードウェア(CPUのコア数)次第で性能を向上できる利点が期待される。2024年上半期には「Franken Dancer」としてメインネットに導入される予定。初期のデモテストにおいて、Firedancerは1秒あたり100万トランザクション以上の処理能力を示した。

3.モジュラーチェーンが台頭し、イーサリアムのようなクライアントの多様化が開発遅延につながるデメリットがあるという意見も聞く。ソラナはクライアントの分散化を進めているが、この状況をどう評価しているか?

岸:色々なアプローチを試し、理想を追求する姿勢はポジティブに見ているが、プロジェクトが分散化しすぎてしまうのもまた難しい状況だ。

モジュラーチェーンのアプローチでは、一見すべてが独立しているようで、しかしすべてが大枠の仕様に縛られているという点がある。ベースとなる部分の技術は勝手に変更することができないため、その制約がチームを横断して総合的なイノベーションというのは難しくなっていく場合もあると思う。

ソラナは現状、「分散化が進んでいない」との指摘もあるかもしれない。我々から見れば、今後分散化を進めていく上での準備を着々と進めている印象を受ける。クライアントの分散化の点においても、それが性能や安定性の向上につながるかどうかを中心としており、JitoやFiredancerは間違いなくSolanaの価値を高めるだろう。

イーサリアムは既に色々な分散化がなされている。早い段階から挑戦的に色々なことを実現した。私達はそれに感謝しつつ、ソラナはその後を追っているので、良い点を真似しながら、それ以上のものを作るために動いていると思う。

4.Solanaネットワークの今後の注目点について

岸氏:Firedancerがメインネット対応した際にはチェーンの性能は更に上がる見通しだ。そして、Solanaチェーンは更に大きくなり、さらなる分散化の必要にも迫られるだろう。私達はこのエコシステムが拡大していく中で、参入したい誰でもが参入できるインフラづくりをこれからも作り続けたい。

編集部注記:Solanaは1年前に導入された設計の改良を通じて、ネットワークの活動量が高い箇所(ホットスポット)を改善するローカルフィー市場を導入するなど、悪意のあるアクターによるスパム攻撃からネットワークを守ることに成功。以前は頻発していたネットワークのダウンが最近ではほとんど見られなくなった。こうした文脈で岸氏は、Solana 「mainnet-beta」から「betaが外れる時期も遠くないのでは」と語った。

5.Solanaコミュニティに関与する経緯、Epics DAOについて

岸:私たちは10年前に横浜でソフトウェア会社を起業した。宿泊業界のオフショアアプリ開発などを経て、2020年にカリフォルニアで開発合宿を行っている際に初めてSolanaチェーンに出会った。

Solanaを使って一瞬で送金を完了できることを知り、このスピードがあれば、部分的にデータベースを置き換えることが可能であると考えた。Solanaを使えば手数料は一切かからず、世界中どこへでも送金することができるという利点もあり、インターネットを使っての働き方と完全にマッチすると考えた。

Solanaをはじめイーサリアムやビットコインもオープンソースソフトウェアだが、このオープンソースソフトウェアは基本ボランティアでの開発がメインのため、97%の企業が利用しているプロジェクトでも資金難に苦しむ実情がある。しかし、今のソフトウェア開発現場はオープンソース無しに開発が進行しない。その課題をトークンインセンティブによって解決していくのがEpics DAOという取り組みだ。

ELSOUL LABO及びEpics DAOとは

ELSOUL LABO B.V.(エルソウルラボ)は、オランダ・アムステルダムを拠点とし、川崎文武氏がCEOを務める企業で、ユーザーにとって魅力的で価値のあるコミュニティを形成し、独自のブランドを構築することを目指している。

solvの開発は、元々開発チームとコミュニティの運用効率向上を目指して始まったが、後にSolanaバリデーターやオープンソース開発コミュニティ全体に貢献するためにオープンソース化された。

Epics プラットフォームの概要 出典:エルソウルラボ

エルソウルラボはEpics DAOを立ち上げており、新たな方法で開発、資金調達、PRなどのプロジェクトにとって重要な3つのリソースを統合し、コミュニティメンバー間のコラボレーションを促進。Epics DAOの目的は、オープンソースソフトウェア開発のサポートを強化し、インセンティブを提供して持続可能な開発とグローバルなソフトウェアセキュリティ、品質の向上を実現すること。

Epicsは、開発、投資、広報などの異なる貢献方法に基づいてユーザーに異なるコイン報酬を提供する新しい経済システムを実装している。Epics DAOは、Solanaチェーン上でWeb3カードゲームとバウンティプラットフォーム「Epics」を開発しており、2022年のSolana Summer Campハッカソンで5位に入賞。

今月31日にはIDO一周年を迎え、今後もオープンソースコミュニティ全体に貢献していく予定。

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