仮想通貨取引の課税
金融庁は30日、令和7(2025)年度の税制改正要望を公開した。
今回は「資産所得倍増プラン及び資産運用立国の実現」の節で暗号資産(仮想通貨)に言及。「金融所得課税の一体化」の項目の「現状及び課題」の欄に「仮想通貨取引に係る課税上の取り扱いについては、投資対象となるべき金融資産として取り扱うかなどの観点を踏まえ検討を行っていく必要がある」と記載した。
税制改正要望は各府省庁から提出されるもので、提出後に与党税制調査会や国会による審議などが行われる仕組み。今週末に改正要望が出そろったことが報じられているが、まだ改正が決定しているわけではない。
仮想通貨については過去2年間、法人税制に関する改正が要望されていた。今回は具体的な改正内容までは書かれていないが、初めて仮想通貨の取引に言及している。
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公開された文書によれば、金融所得課税の一体化とは「損益通算範囲の拡大」を指しているようだ。2016年から損益通算の範囲は上場株式等に加え、特定公社債等にまで拡大されたが、デリバティブ取引などが未だ損益通算が認められていないため、投資家が多様な金融商品に投資しやすい環境の整備が十分ではないと課題を指摘している。
この点に関する実際の要望は「投資家が多様な金融商品に投資しやすい環境の整備を図り、家計による成長資金の供給拡大等を促進する観点から、金融商品に係る損益通算範囲をデリバティブ取引・預貯金等にまで拡大すること」である。
税率が変わるか
仮想通貨取引の税制を巡っては、業界団体らが以前から改正を要望している。特に、雑所得として最大55%の税率が適用されるルールを一律20%の申告分離課税に変更することについては、投資家からの要望も非常に多い。しかし、これまで仮想通貨取引に係る課税方式は変更されてこなかった。
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一方、金融庁は今回、取引に係る課税上の取り扱いを検討していく必要があると記載した。金融所得課税の一体化については、農林水産省と経済産業省の共同要望だとしている。今回の検討が、実際に税率の変更などにまでつながるかは注目度が高い。
自民党の小倉將信副幹事長は今週開催されたWeb3カンファレンス「WebX」で、申告分離課税への移行などを実現するためのポイントを以下の通り3つ挙げた。
- 理論的根拠:改革の必要性を論理的に説明できること
- 税収予測:改革による税収上のメリットを示すこと
- 国民の理解:仮想通貨投資が一般国民の資産形成に貢献することを示すこと
小倉議員は他にも、「国が推奨する投資に適合するものが分離課税の対象となる」と指摘。その上で、仮想通貨投資も資産形成に資するものとして認められる必要があると強調している。
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ETFの解禁について
金融庁が今回記載した「仮想通貨を投資対象となるべき金融資産として取り扱うか」どうかは、日本で仮想通貨ETFが解禁されるかにも関係してくる可能性がある。
金融庁の井藤英樹長官は、「ブルームバーグ」が今月7日に公開したインタビューで、仮想通貨ETFを日本が承認するかどうかは、慎重に検討する必要があるとの考えを示した。
井藤氏はこの時、投資信託は国民が長期的かつ安定的な資産形成を行うために作られた制度であると説明。その上で、その制度の趣旨に仮想通貨が沿うかについて「必ずしもそうではないという見方もまだ多いのではないか」と語っている。
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