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共有型のAI経済を目指す、分散型AIブロックチェーンの可能性 Sahara AI CEOインタビュー|WebX2024

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

Sahara AI誕生の背景

株式会社CoinPostが企画・運営を担当するアジア最大級のグローバルWeb3カンファレンス「WebX」で、「Web3とAIが交差するところ」のセッションのパネリストとして登壇した「Sahara AI」のショーン・レン(Sean Ren)最高経営責任者がインタビューに応じ、日本ではまだ馴染みの薄いSahara AIについてその背景やビジョンについて語った。

長年AI研究に取り組んできたレン氏が、AIの飛躍的な進歩に気づいたのは2022年後半、GPT-3で「遊び始めた」時だったという。

同氏はこのモデルが1年半前のものに比べ、はるかに汎用的で、翻訳や要約、テキストや画像生成など、人間の平均的なパフォーマンスに近づいていると感じた。

このようなAIモデルは“おもちゃ”の域を脱し、人間と競合するものになってきており、人々の雇用機会やお金を稼ぐ方法に影響を与えることから、長期的には人間の仕事を奪い、経済的な懸念を引き起こす可能性があるとの認識に至った。

バランス、経済的分配、リソースの割り当て、偏見や透明性などの倫理的問題に対する懸念が高まっていることから、私はこの事態を真剣に危惧している。

さらに、ユーザーデータの管理や、今後そのデータがどのように使用されるかなどの懸念と相まって、Sahara AIを立ち上げる動機となったと、レン氏は語った。

AI向けの著作権システム

Sahara AIは、AI開発プロセスの分散化に挑戦し、ブロックチェーンを使用して AI開発に貢献した人々に公平に収益を分配するシステムの構築を目指している。

現在クリエイター経済に著作権システムがあるように、私たちはAI用の著作権システムを構築しようとしている。

例えばソフトウェアのコードやデータセットなどのアップロード活動がブロックチェーンに記録され、これらが収益化できるAIモデルの構築に使用された場合、Sahara AIでは収益が貢献者に自動的に分配されるシステムを構築する。

このシステムは「起源(Provenance)インフラ」と呼ばれており、現在Sahara AIが構築に取り組んでいるものだ。また、Saharaブロックチェーン上に、一般の開発者によるAIアプリの構築を奨励するエコシステムも構築しているという。

その一例が、誰でもデータセットやモデルなどを閲覧したり、料金を払って使用することを可能にするAIマーケットプレイスだ。

Sahara AI では、個人のプライバシーや主権、公平性を損なうことなく、AIの可能性を最大限に活用するため、「共有型AI経済」という新しい経済モデルを提案している。

二つの方向性

レン氏は、AIとブロックチェーンの統合には二つの方向性があり、よく混同されるという。

一つは、取引の自動化やセキュリティ監査など、ブロックチェーンにAI技術を応用したもので、もう一つは、AI向けにブロックチェーン技術を適用するものだ。

前者は取引所などですでに応用されているが、AIの構築方法に革新をもたらすものではない。一方後者は、暗号資産(仮想通貨)とブロックチェーン技術を用いて、AIを革新する方法で注目されており、さまざまなプロジェクトが開発されている。

現在成功しているAI開発プロジェクトは、大規模なGPUクラスターや集中型クラウドサービス、人材の集中投下など、非常に効率的だが中央集権的であり、AWSやGoogle Cloudなどの大手企業に集中している。

そんな中、AI開発にWeb3の分散型のアプローチを適用しても現時点では機能しないとレン氏は指摘した。そこでSaharaAIでは、AI開発プロセスにおける貢献者の所有権と関係性を変更することに注力している。

AI開発のライフサイクルでは、データ収集とラベリング、モデル開発と反復的な改善が行われ、最終的にアプリケーションが展開可能なモデルが完成する。ブロックチェーンを用いることで、このプロセスの各段階で貢献者の所有権を記録し、のちに収益を分配可能なシステムを構築するのがSahara AIだ。

分配の割合はスマートコントラクトによって自律的に決定され、ユーザーは、AI開発プロセスの起源に基づき貢献に応じた報酬を受けることが可能になる。

開発の進展

Sahara AIの基本レイヤーはSaharaブロックチェーン(L1)で、EVM互換性のあるCosmos CDKを基盤としている。AI開発のプロセスであるデータセットの作成、モデルの更新、エージェントの生成などのアクセスは、すべてチェーン上に記録され、トークン化される。

実行レイヤーでは、AIインフラがSaharaブロックチェーンとどのように統合されるかプロトコル群を指定する。個人データを安全に保存して暗号化するデータ保管室などがここに属する。このレイヤーでは、再利用可能な技術も多く、技術パートナー企業と共にGPU統合などの技術統合が行われている。

レン氏はSahara AIのアーキテクチャについて説明する中で、実際にユーザーと開発者とのやり取りが行われるアプリケーションレイヤーの進展について言及した。

例えば、コンテンツクリエーターが、AIモデルやデータセット、エージェントなどを公開、宣伝できるプラットフォームは、昨年10月から構築しており、マイクロソフトやアマゾン、スナップチャットなどの大手企業を含む35社にコンセプトを披露し、支持されている。

Saharaプラットフォームについての知識を深めてもらうため、近日中にエコシステムプログラムをリリースする予定だとレン氏は付け加えた。

日本市場の可能性

レン氏は、日本市場は、サブスクリプションの料金を支払う意欲のあるユーザーが多く存在するため、Sahara AIにとっては魅力的な市場だと見ている。

また、アニメのキャラクターAIの生成など、その開発に携わるすべての人が、それぞれの所有権を保有し、AIが収益化された際には全員がそのシェアを獲得できるSahara AIは、日本で優れたビジネスモデルになると指摘。このような動きは、日本市場で大きな牽引力となり、この分野で継続的な成長を促す良いチャンスになるだろうと結んだ。

Sahara AIについて

Sahara AIはオープンで公平な AI エコシステムの構築に特化した分散型AIブロックチェーンプラットフォームで、2023年4月、米国南カリフォルニア大学のショーン・レン(Sean Ren)教授と、元バイナンス・ラボの投資ディレクター、タイラー・ゾウ(Tyler Zhou)氏によって設立された。

Sahara AIは、すべての参加者のデータ主権、セキュリティ、公平性、アクセシビリティを重視した共同 AI エコノミーの構築を目指しており、レン氏が最高経営責任者を務めるブロックチェーンインフラ企業Sahara Labsが開発を担う。

今年8月には、パンテラ・キャピタル、バイナンス・ラボ、ポリチェーン・キャピタルが主導し、4,300万ドル(63億円)の資金調達に成功した。

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