ビットコイン採掘を活用
欧州通信大手のドイツテレコムの子会社Telekom MMSは4日、余剰エネルギーを活用して暗号資産(仮想通貨)ビットコイン(BTC)のマイニングのインフラを運営する試験的なプロジェクトを行うことを発表した。
このプロジェクトでは、本来であれば余ってしまって使われることのない、再生可能エネルギーから生まれた電力を使用する。試験的にインフラを運営し、今後のエネルギープロジェクトのためにデータや情報を提供することが目的だ。
マイニング(採掘)とは
コンセンサスの仕組みに「プルーフ・オブ・ワーク(PoW)」を採用する仮想通貨において、取引を検証・承認する作業のこと。コンピューターで膨大な計算を行って電力を消費するため、地球環境への影響を懸念する声も上がっている。
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再生可能エネルギーとは、太陽光や風力、水力などを指す。温室効果ガスを排出せず、自国で生産でき、枯渇しないという特徴があり、仮想通貨に限らず近年では特に関心を集めている。
今回のプロジェクトは、具体的にはMMSと金融企業Bankhaus Metzlerが行う。ドイツテレコムは以前からマイニングに関心を持っており、MMSについては今年6月、2023年からビットコインノードおよびビットコインライトニングノードを運用していたことが明かされていた。
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今回の発表では、再生可能エネルギーから生成される電力は生産量が増加すると、エネルギー供給網を安定させる必要性が高まると課題を指摘。これはドイツテレコムに限らず指摘している課題であり、再生可能エネルギーが天候などに影響を受けることに由来する。
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同社は、すでに米国やフィンランドなどでマイニングを活用してエネルギー供給網を安定させる仕組みが成功しているとし、今回の試験的なプロジェクトで、ドイツのためにプロセスを検証すると説明した。
ドイツテレコムは、ビットコインマイニングは負荷が柔軟であり、将来的にエネルギー供給網の需給バランスの維持に重要な役割を果たす可能性があるとの見方を示している。
MMSのデジタルトラスト・Web3インフラ部門のトップは、以下のようにコメントした。
我々には、電力の需給の変動を即座に吸収できるメカニズムが必要だ。
マイナーによって、余剰なエネルギーをデジタル上の価値へ変換することができる可能性がある。
また、Bankhaus Metzlerのデジタル資産オフィスのトップは以下のコメントを寄せた。
我々は、ドイツでブロックチェーンの革新的な技術を発展させるために様々な経験を得ようと努めており、今回のプロジェクトに参加できることを嬉しく思っている。
ブロックチェーン技術は、金融以外の事業で重要性が増してきている。
各社の取り組み
MMSは2020年以降、チェーンリンクやポリゴン、Fetch.aiなどWeb3領域の様々な分散型プロトコルにインフラを提供してきた。今回の発表でも、2023年以降ビットコインのノードを運営していると説明しており、プルーフ・オブ・ワーク(PoW)のネットワークに事業を拡大していると述べている。
また、Bankhaus Metzlerについては2022年にデジタル資産オフィスを創設したと説明。この部門は、ブロックチェーンやデジタル資産のエコシステムに関する事業に特化しているという。
Bankhaus Metzlerはブロックチェーン技術を将来的な戦略テーマの1つと考えており、長期的には顧客のためにブロックチェーンソリューションを実装することを計画しているとした。
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