はじめての仮想通貨
TOP 新着一覧 チャート 学習-運用
CoinPostで今最も読まれています

ブロックチェーン・アプリケーションの開発方法|イーサリアムとNEM(ネム)の違い

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

NEMアプリケーションの開発
NEM JAPANとCOINAGE主催の「現役エンジニアが教える 0からNEMアプリケーションを開発する方法」と題したセミナーに参加。その一部内容をお届けします。ネムアプリ開発に興味のある方必見です。

修正とお詫び

本記事内において、内容の修正依頼を受け、ご指摘箇所の修正を行いました。

不確かな箇所を掲載、配信してしまい、大変申し訳ございませんでした。

NEMアプリケーションの開発方法

そもそも、NEM(ネム)とは何かご存知だろうか。

NEMは「新しい経済圏の創出」を目標に作られたプロジェクトであり、ブロックチェーン・プラットフォームだ。

NEMを利用することにより、ブロックチェーンを利用したアプリケーションを製作することが可能となる。ちなみに、NEMのプラットフォーム内などで利用される通貨はXEM(ゼム)と呼ばれる。

今回参加したセミナーでは、そのNEMアプリケーションの開発方法を、現役のNEMアプリケーション・ウェブアプリケーション開発者の岡田氏と中川氏が、わかりやすく解説している。

今回の記事では、お二方の登壇内容の一部をお届けする。

ネムとイーサリアムの違いとは

現在、ブロックチェーン・プラットフォームは数多く存在するが、その中で最も有名なのはイーサリアムだろう。

しかしイーサリアムではなく、ネムを使うメリットにはどういうものがあるだろうか。

このことを理解する為には、まずイーサリアムのコントラクト開発、分散型アプリケーションの特徴について知る必要がある。

分散型アプリケーション

イーサリアムのプラットフォームを使うことにより、分散型アプリケーション(dApps)を開発することができる。

この分散型アプリケーションのデータは、P2P方式で保存される。このP2P方式は、ネットワークに参加するノード全員が、あるデータを管理し、ソースやサービスを提供しあう方式のことを指す。

つまり、何か分散型アプリケーションをリリースした際、全てのノードが、そのソースコードなどを共有することになる。

この共有により、仮に脆弱性や改善点などが発見されたとしても、全てのデータはあらゆるノードに分散化されて一括で管理されていないため、アップデートや修正を加えることは極めて難しい

このように、リリース後の修正が厳しいためイーサリアムのプラットフォームで分散型アプリケーションをリリースする場合、脆弱性やバグがない完璧な状態でアプリケーションを立ち上げなければならない。

中川氏は、この様なイーサリアムを基としたアプリケーションの弱点をロケットの打ち上げに例えて説明した。

この点が、イーサリアムのコントラクト開発の一番の欠点となり、岡田氏は実際にイーサリアムに触れた際の感想を以下のように述べた。

特定の条件を揃えた時に、仮想通貨を自動で動かせるのは凄いなと感じました。

すごく未来を感じるなと思ったんですけれども、一方で、一度チェーン上にリリースしたソースを簡単に直せないというのは、結構しんどいなと思いました。

NEMの特徴

その一方、ネムの特徴では、以下のようなものが挙げられる。

・イーサリアムのようにコントラクトを書けないといった特徴。その分、堅牢性が優れている。

・ブロックチェーンの中に便利な機能がプロトコルレベルで備わっていること。

・備わっている便利な機能を、WebAPIを通して利用できること。

上述した便利な機能にどのような種類には以下のような種類がある。

1.ネームスペース(ドメイン機能)

2.モザイク(トークン)発行・送信機能

3.マルチシグアカウント

4.メッセージング(平文・暗号文)

1.ネームスペース

出典:「現役エンジニアが教える 0からNEMアプリケーションを開発する方法」セミナー資料

NEMのアドレスは、下の例のように複雑で覚えづらい。

例) NC5TU51AWL3DGPA7NXI4MHFOENW

そこで、この機能を使うことにより、仮想通貨アドレスを覚えやすいように、オリジナルの「ネームスペース」とよばれる独自ドメインのようなものに紐づけることができる

そうすることで、シンプルで覚えやすいものになる。

例) opening-line

2.モザイク発行・送信機能

出典:同セミナー資料

これは、独自のトークン・アセットを発行できる機能となる。

APIのパラメータを設定することで様々な性質のトークンを発行することが可能となっており、以下の項目などが設定可能となっている。

例) トークンの名称設定、

トークンの供給量の調整、

トークン供給量を途中で変更許可するか否か、など

3.マルチシグアカウント

出典:同セミナー資料

あらかじめ署名者を設定し、例えば、3人中2人の承認を得れば転送される、トークン転送に関する設定をできる機能を「マルチシグアカウント」は備えており、これにより、アカウントのセキュリティが高まる。

4.メッセージング

出典:同セミナー資料

トークンを転送する時に、メッセージを添付することが可能になる機能

このメッセージは、パブリックチェーンであれば、誰でも閲覧できることから、個人情報を載せないなどの注意が必要となる。

以上4つの機能を組み合わせ、NEMアプリケーション開発を行う。

NEMはコントラクトを書けないが、プロトコルレベルで備わった機能を使うことで、比較的容易で安全にブロックチェーンを利用したアプリを開発することができる。

主流のウェブ・アプリ開発手法

現在主流となっているウェブアプリケーションの開発方法は、アジャイル方式となっている。

アジャイル開発について、独立情報機構は以下のように説明している。

アジャイル開発では、ソフトウェアを提供するため、タイムボックスを使用した反復型のアプローチをとります。顧客が評価できるソフトウェアを提示し、顧客からのフィードバックを短いサイクルで得ながら、提供したものに価値があるかどうかを確認します。

つまり、まずソフトウェアを作り、すぐにリリースをする。その後、顧客などのフィードバックを元に改善し、リリースした後に再度顧客の評価を確認。

フィードバックがあれば改善する、といったようなサイクルを繰り返す手法のことをいう。

流行の移り変わりが早い現在、この手法がビジネス価値を最大化させるための手段として有効なのだそうだ。

このことを頭に入れた上で、もう一度ウェブアプリケーション開発とコントラクト開発の違いを比較してみよう。

Web開発

・開発、動作検証を終えリリース

・リリース後に、機能追加/修正を随時行う

コントラクト開発

・リリース前にコードの公開、監査、修正をしっかり行う

・最初から完璧なプロダクトをリリース

その次に、ネムとイーサリアムのプラットフォームを比較。

ネム

・プラットフォームは非中央集権。スマートコントラクトはないためコントラクトを実装する場合は別途中央集権サーバーが必要。

・リリース後の修正が可能

イーサリアム

・非中央集権

・リリース後の修正は困難

こういった観点から、ブロックチェーンを利用し、ウェブアプリを開発する際は、現状イーサリアムより修正が容易であると中川氏は述べた。

また、ネムでの開発に関して、プロトコルレイヤーで機能が提供されているため安心して利用できるというメリットも同氏は挙げている。

入門|NEMアプリケーション開発

最後に中川氏は、NEMアプリケーション開発を始めようとする初心者の方に、まずはNEMのウォレットアプリを作ることを勧めている。

その理由は、ネムの基本的な機能に触れることができるからだそうだ。

作り方に関しては、同氏がキータ(Qiita)にまとめている

もしブロックチェーン・アプリケーション、またはネム・アプリケーションに興味のある方は、これを参考に一歩踏み出してみてはいかがだろうか。

CoinPostのLINE@

スマートフォンへの「プッシュ通知」で、相場に影響を及ぼす重要ニュースをいち早く知らせてくれる「LINE@」の登録はこちら。大好評につき、登録者7,000名突破。

CoinPostの関連記事

リップル社やネム財団など4社が新団体設立|目的は仮想通貨など新技術の革新を促す規制構築
欧州における不明確な規制の現状を変えるべく、リップル社やネム財団などが「Blockchain for Europe」を設立。規制当局に業界側から正しい情報を提供することにより、新技術の革新を促す規制の構築を目的としている。
コインチェックの動きから一つの節目を迎える仮想通貨XEM|裏では相次ぐネム財団のパートナーシップ
GeensNPOとネム財団が、拡大するデジタルエコノミーへの安全なアクセスへ向けてパートナーシップを締結した。そのほかにも今月ネム財団から大きな提携が相次いでおり、ネム・ネットワークの発展に期待が集まっている。
厳選・注目記事
注目・速報 市況・解説 動画解説 新着一覧
03/31 月曜日
11:16
仮想通貨市場など全面安 命運を左右するトランプ関税発表が4月2日に迫る
4月2日に迫るトランプ米大統領の関税発表が株やビットコイン(BTC)市場に大きな不確実性をもたらしている。著名投資家は今年最大の市場イベントと位置づけ3つのシナリオを提示した。一方、ピーター・ブラントはビットコイン(BTC)の65,600ドルへの下落リスクを警告している。
09:51
金融庁、仮想通貨のインサイダー取引規制導入か 「金融商品」に分類する法改正案提出へ=報道
日本経済新聞の報道によれば、金融庁が2026年を目途にビットコインなど仮想通貨を金融商品とする金商法改正案を提出予定。暗号資産(仮想通貨)のインサイダー取引規制も新設する見込み。
03/30 日曜日
14:00
今週の主要仮想通貨材料まとめ、米州政府や企業のBTC投資動向やリップル社のSECへの追加上訴撤回など
前週比で振り返る仮想通貨市場の最新動向。ビットコインやイーサリアム、XRP、ソラナなど主要銘柄の騰落率や注目材料を一挙紹介。市場トレンドと関連ニュースを詳しく解説する。
11:30
ビットコイン週次市況:1300万円台で揉み合う展開と今後の見通し|bitbankアナリスト寄稿
bitbankアナリスト長谷川氏による週次分析。トランプ政権の相互関税懸念と米経済指標の動向を背景に、1300万円台で揉み合うビットコイン相場。現物ETFへの資金流入が続く中、今後の展望を詳細に解説
11:00
週刊仮想通貨ニュース|トランプ関税の影響分析に高い関心
今週はSBI VCトレードによるステーブルコインUSDCの取引開始、トランプ関税の影響分析、世界最大級のオンライン証券会社によるトランプ氏言及の仮想通貨4銘柄追加に関するニュースが最も関心を集めた。
03/29 土曜日
13:45
イーサリアム創設者ヴィタリック、L2セキュリティの進化と「2-of-3」証明システムを提案
ヴィタリック・ブテリン氏が新たなブログで、L2セキュリティの現状と将来展望を公開。ブロブスペース拡張、ZK・OP・TEEを組み合わせた「2-of-3」証明システム、証明集約レイヤーの必要性について詳細に解説。
12:55
南カロライナ州で新たにビットコイン準備金法案提出 対コインベース訴訟取り下げも
米国サウスカロライナ州が、コインベースへのステーキング関連訴訟を取り下げた。また同日には州がビットコインなど仮想通貨の準備金を持てるようにする法案が提出されている。
10:45
ブラックロックのビットコインETFを保有、トランプ大統領の息子が顧問の米上場企業
米ドミナリ・ホールディングス社がビットコイン保有戦略を開始し、ブラックロックのETFを購入。機関投資家の仮想通貨投資最新動向は。
10:00
欧州保険・年金機構(EIOPA)、保険会社が仮想通貨を100%裏付ける義務提案
EIOPAが保険会社の仮想通貨保有に100%の資本要件を提案。高リスクに対応するためとしている。欧州では特にルクセンブルクで保険会社の仮想通貨エクスポージャーが確認されている。 。
09:30
SEC、イーロン率いる政府効率化省(DOGE)と連携開始
米証券取引委員会(SEC)がイーロン・マスク氏の政府効率化省(DOGE)との連携を開始。トランプ政権下での規制機関改革と仮想通貨政策転換の最新動向を解説。
08:30
ビットコイン80万円下落、BTCメジャーSQ通過で需給悪化|仮想NISHI
仮想通貨ビットコインは前日比で一時80万円の下落となった。アルトコイン市場も、ビットコインの急落に連動するかたちでほぼ全面安の展開となった。
07:45
トランプ大統領、仮想通貨取引所BitMEXの共同創設者3名に恩赦
トランプ大統領は、アーサー・ヘイズ氏ら仮想通貨取引所BitMEXの3名の共同創設者に恩赦を与えたことがわかった。同氏らは、意図的にマネーロンダリング対策を導入せず銀行秘密法に違反したと告発されていた。
07:15
アバランチ現物ETF、米グレースケールも申請
VanEckの後に申請 米ナスダックは3月27日、グレースケールのアバランチ(AVAX)現物ETFに関する19b-4申請書を米証券取引委員会(SEC)に提出した。この申請は、既…
07:02
ブラジル政府高官「ビットコイン準備金は国の繁栄に不可欠」
ブラジル副大統領首席補佐官がビットコインを「デジタルゴールド」と評価し、国際準備金の5%をビットコインに投資する法案を支持する。
06:40
イーロン・マスク氏、人工知能開発のXAIがX社を買収と発表 企業価値16兆円超の巨大統合に
イーロン・マスク氏が率いるAI企業XAIが旧ツイッター社X社を全株式交換で買収。XAIを800億ドル、X社を330億ドルと評価する統合により、AIとソーシャルメディアの融合を目指す。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
重要指標
一覧
新着指標
一覧