
これまで日本では、暗号資産(仮想通貨)に関する規制環境から、海外の新興プロジェクトにアクセスする方法は限定的でした。
このたび、暗号資産取引所バイナンスの日本法人であるバイナンスジャパン(Binance Japan)が、「ローンチプール(Launchpool)」の提供を開始しました。
このサービスでは、暗号資産BNBのステーキングを通じて、海外の新規プロジェクトの価値に連動したBNB建ての報酬を受け取ることができる大きなメリットがあります。
そこで本記事では、バイナンスジャパンの日本版ローンチプールについて、特徴やサービスについて詳しく解説します。
1. バイナンス「ローンチプール」とは
ローンチプール(Launchpool)は、2020年にグローバル版バイナンスで開始されたサービスです。
暗号資産のステーキングを通じて、バイナンスが厳選した新規プロジェクトの価値に連動した報酬を得られるプラットフォームとして、世界中で利用されています。
ローンチプールを利用することで、投資家は以下のようなメリットを得られます。
- BNBのステーキングで、追加投資なしに報酬獲得が可能
- バイナンスが厳選した新規プロジェクトと連動した報酬体系
- 複数プロジェクトへの参加機会による報酬の分散化
保有資産の預け入れ、及びロックアップをおこなうことで新興プロジェクトのトークンを獲得できる仕組みであり、参加のためにトークンの追加購入は必要ありません。各プロジェクトで定められた期間のロックアップがあり、その期間中は解除できません。
世界最大手の暗号資産(仮想通貨)取引所であるバイナンス・グローバルは、ローンチプールを通じて、数多くのプロジェクトを成功に導いてきました。
2. 日本版ローンチプールが実現した背景

次に、バイナンスの日本法人、バイナンスジャパンが提供する日本市場向けのローンチプールについて解説します。
日本版ローンチプールは、グローバル版とは報酬体系の一部が異なるため注意が必要です。特に、グローバル版では参加した新興プロジェクトに関連するトークンを報酬として得られる一方で、日本版では報酬相当分のBNBを配布する仕様となっている点が大きな違いといえるでしょう。
これにより、日本の規制要件に準拠しつつ日本未上場トークンへの間接的な投資機会をもたらします。価格変動の激しい新興プロジェクトのトークンではなく、より価格が安定したBNBで報酬を受け取れる点も魅力です。
BNBとは、もともとはローンチプールを提供するバイナンスが発行する暗号資産として開始し、ローンチ当初は「バイナンスコイン」という名称で定着してきましたが、使用用途が大きく広がったことを受け、2022年にリプランディングされ、現在のBNB(ビルドアンドビルド)へと名称変更されました。バイナンスのプラットフォーム上での取引手数料が優遇されるなどのメリットがあります。
3. 「ローンチパッド」との違いから見る投資価値

バイナンスが提供しているサービスには、「ローンチパッド」というローンチプールと似た性質を持つサービスがあります。
3-1. ローンチパッドとローンチプールの比較
ローンチパッドとローンチプールでは、さまざまな点が異なります。ローンチプールの方が気軽に参加しやすく、相対的にリスクが抑制されている点はメリットと言えるでしょう。
3-2. ローンチパッドとの参加方式の違い
ローンチパッドと比較した場合、ローンチプールには以下の特徴があります。
※Binance Japanのユーザーは、ローンチパッドには参加できず、ローンチプールのみ国内において形式を変えて提供しているため、ローンチパッドは国内提供していません。
1.参加機会の確実性
2.参加金額の柔軟性
3.資産運用の継続性
このような特徴から、ローンチプールはローンチパッドと比較して、より参加しやすい仕組みとなっています。
4. 国内初のHODLer Airdropsとは

バイナンスジャパンは2025年1月下旬、ローンチプールに属するサービスとして、新規プロジェクトの上場を記念してBNB保有者に報酬を付与する「HODLer Airdrops」サービスを国内で初めて開始しました。
ローンチプールは未来の一定期間に保有資産のロックアップを行うのに対し、「HODLer Airdrops」は、過去の一定期間にBNB保有者のBNB残高の履歴のスナップショット(権利確定の記録)に基づいて、報酬としてトークンエアドロップを提供するプログラムです。
ローンチプールと同様に、海外のバイナンスプラットフォームでは新規上場トークンがそのまま報酬として配布されるのに対し、日本国内向けサービスでは、これらのトークンを暗号資産(仮想通貨)「BNB」に変換して利用者に付与される点が特徴です。
第一弾として、NFTプロジェクト「Azuki」が発行するアニメコイン(ANIME)の上場を記念したエアドロップが実施されました。
本プロジェクトを例にとると、報酬を受け取るには、2025年1月17日から1月21日(日本時間)までの期間中に、バイナンスジャパンのSimple Earnを通じてBNBを寄託する必要があります。利用者のBNB保有残高は、約1時間ごとにスナップショットが取得され、時間平均ロック額に基づいて報酬が計算されます。配布された報酬は、バイナンスジャパンが定める市場レートでBNBに変換された後、対象となる利用者の現物ウォレットに直接付与されます。
今後の「HODler Airedrops」に参加を希望する場合は、バイナンスジャパンの運用メニューからSimple Earnを選択し、BNBのサブスクリプションを行う必要があります。
このサービス開始により、日本の暗号資産投資家も新規上場プロジェクトからの報酬を、より使いやすいBNBの形で受け取ることが可能になりました。
5. ローンチプールのリスク
5-1.リスク面について
BNB Simple Earnなのでロック解除はできますが、その場合ローンチプール報酬は全て貰えなくなります。
また日本版ローンチプールでは、どのプロジェクトに参加しても報酬はBNBで支払われます。BNBの価値が低下すると、その分受け取る報酬の価値も低下するリスクが存在します。
5-2.新規トークンは保有できない
グローバル版のローンチプールでは、新興プロジェクトの現物トークンを報酬として受け取りますが、日本版ではトークン価値相当額のBNBを受け取ります。この違いにより、新規トークンの値上がり益を直接期待することはできません。
6. ローンチプールのメリット
一方で、日本版ローンチプールを活用することによるメリットも多く存在します。
6-1. 海外の新規プロジェクトと連動したBNB報酬の獲得機会
日本版ローンチプールでは、報酬がBNBに固定化されているという特徴があります。この仕組みにより、これまで日本の投資家がアクセスしにくかった海外の新規プロジェクトの価値に連動した報酬をBNBで受け取ることができます。
そのため、グローバルで話題の新興プロジェクトの展開に、日本の規制環境に準拠した形で関与できる機会となるでしょう。
6-2. 複数プロジェクトへの参加機会にも
ローンチプールは、BNBのステーキングを通じて複数の新規プロジェクトに参加できる仕組みです。ステーキング金額に応じて報酬が得られ、少額から参加可能なため、複数のプロジェクトにわたって報酬獲得機会を分散させることができます。
7. 日本版ローンチプールの参加方法
日本版ローンチプールを利用するためには、まずはバイナンスジャパンで暗号資産(仮想通貨)取引所の口座開設をする必要があります。
以下の手順に沿って、バイナンスジャパンでの口座開設を進めましょう。

- バイナンスジャパンの公式サイトへアクセスする
- メールアドレスまたは電話番号を入力する
- 送信された「認証コード」を登録画面に入力する
- ログインパスワードを設定する(設定後は、セキュリティ対策の2段階認証推奨)
この4つのステップで、バイナンスジャパンの登録・口座開設が完了します。ただし、資金の入金やトークンの購入など、サービスを利用するためには、本人確認などの手続きが必要です。
8. ローンチプールの参加手順
次に、ローンチプールの参加方法の解説です。

手順1

手順2

手順3
ローンチプールの各プロジェクトへは、基本的にこの流れで参加が可能です。各プロジェクトのページでは、対象プロジェクトの説明文や利回りなどの詳細情報を確認できますので、詳細を確かめてから参加しましょう。
日本版ローンチプールでは、次の流れで報酬を獲得することができます。
報酬計算は、ローンチプールの対象となる新興プロジェクトのローンチ後、BNBの寄託残高に応じて計算されます。
その後、新興プロジェクトのトークンが、バイナンスジャパンが定める時点の市場価格をベースにBNBに変換され、自身のウォレットに直接振り込まれます。
9. まとめ
バイナンスジャパンのローンチプールは、暗号資産(仮想通貨)BNBをステーキングすることで、新規プロジェクトの価値に連動したBNB建ての報酬を得られるサービスです。
ステーキング期間中はBNBが固定されますが、すでに保有しているBNBをそのまま使用できるため、初期投資額の全額損失リスクを避けることができます。
日本版ローンチプールでは、海外の新規プロジェクトと連動した報酬をBNBで受け取ることができ、日本の規制に準拠した形で、海外注目プロジェクトの成長に関与できる貴重な機会を提供します。