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「買う」ことで利益が出ていることも?|今の仮想通貨市場で注意が必要な税金の話

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

総平均法とは
仮想通貨を買うことで逆に利益が発生してしまう可能性のある総平均法とは何なのかを、仮想通貨の確定申告支援サービスを提供する株式会社Aerial Partnersが解説。
株式会社Aerial Partners(エアリアル・パートナーズ)とは
ブロックチェーン技術の社会実装を行う上で顕在化している仮想通貨税務という社会的な摩擦を解決すべく、四大会計事務であるKPMG出身の公認会計士・税理士が中心となり設立。2017年度の仮想通貨の確定申告サポート実績No.1の『Guardian(ガーディアン)』を提供し、個人・法人の仮想通貨の確定申告に関する総合的なサポートを行なっています。また、対応取引所数国内No.1の仮想通貨損益計算アプリ『Gtax(ジータックス)』を無料で提供し、仮想通貨投資家を支援しています。

公式ホームページ:株式会社Aerial Partners

Twitter:【公式】Aerial Partners (@aerialpartners)

「買う」ことで利益が出ていることも?今の仮想通貨市場で注意が必要な税金の話

仮想通貨取引で20万円以上の所得がある場合は確定申告をして納税をしなければいけません。

2018年の年初より大幅な下落が始まった仮想通貨の価格は、年末を迎えた今でも昨年末の半分以下という水準で推移していますので、「今年は利益が出ていないから確定申告は必要ないだろう」と考えている方も多くいらっしゃるでしょう。

しかし、実際には予期していない利益が出てしまっている可能性があります。また、気づかぬうちに申告漏れとなってしまった場合、加算税等の税務上のペナルティが発生する可能性があるので注意が必要です。

今回は、仮想通貨を買うことで逆に利益が発生してしまう可能性のある総平均法とは何なのかをAerial Partners(エアリアル・パートナーズ)が解説します。

仮想通貨の取得価格の計算方法である総平均法とは?

国税庁も間接的に推奨する総平均法

仮想通貨の利益の計算方法(利益計算のための取得価額の計算方法)は、原則としての「移動平均法」と、例外としての「総平均法」の2種類が認められています。

(※)移動平均法とは通貨ごとに購入の都度取得価額を計算する方法で、総平均法とは通貨ごとに購入金額の年間合計額を購入数量の年間合計数で割って取得価額を計算する方法です。

2018年11月に国税庁より公表された「仮想通貨に関する税務上の取扱いについて」では、仮想通貨の損益計算を簡略化する目的で「仮想通貨の計算書(総平均法用)」も同時に公開されました。

またこれに付随する形で、昨年度以前に移動平均法を使って申告した方は、翌年以降に継続適応を条件に総平均法に変更することが可能ということも明確化されました。

出典:国税庁HP

したがって、多くの仮想通貨投資家が総平均法で計算をし、確定申告をすることになることと思われますが、総平均法は移動平均法に比較して体感の損益から乖離した計算結果となる場合がある計算方法であるため、その採用にあたっては充分に注意が必要です。

総平均法は購入のタイミングを無視した計算方法

そもそも、仮想通貨取引によって生じた損益は「(仮想通貨の時価 – 仮想通貨の取得価額)×数量」をもって計算します。この算式内、仮想通貨の取得価額について、計算期間における購入金額の合計額を購入数量の合計数で割って計算する方法が総平均法です。

総平均法の計算上は、取得価額の計算において、仮想通貨ごとに期中の購入額の合計を購入数量の合計で割って計算するため、取得価額の計算において仮想通貨をどのタイミングで購入したのかを考慮しません。

したがって、時系列でみたときに、仮想通貨を売却した後に購入をして、そのまま年度末を迎えたような場合であっても、最終購入時の仮想通貨の購入金額が年間の損益に影響を与えることになります。

なお、前述した原則的計算方法である移動平均法は購入の都度取得価額を計算する方法であるため、このような状況は引き起こしません。

“底”で買うと利益が発生する場合も

仮想通貨の取得価額の計算方法として総平均法を採用した場合、”底”と言われるような、価格が下がったタイミングで購入を行なった場合などに、平均取得単価が下がり、結果として利益が増加する場合があります。

以降、時価が下がったタイミングで仮想通貨を購入したことで、結果として利益が出る例を見てみましょう。なお、今回の例でとりあげる仮想通貨の時価情報は、実際のものとは無関係な点にご留意ください。

<計算例>

【①→②における利益計算】

②の時点では、仮想通貨の購入と売却がそれぞれ1回ずつ行われており、売却時の時価は120万円で、その取得価額は150万円です。この時点での損益は(120万円-150万円)×1BTC※となり、損益はマイナス30万円になります。

ここまでは移動平均法・総平均法いずれを採用した場合でも損益が同一となり、直感的にも理解するのは容易かと思います。

※売却した数量 【①→②→③全体における利益計算】

50万円まで下がった時点で新たに購入を行なった場合、上記の例において、総平均法を採用した場合は損益はどのように変化するのでしょうか。

図中②における売却金額は120万円のままですが、③で購入を行なったため、取得価額が変化します。

取得価額は(150万円+50万円)÷2BTC※ですので100万円になり、先ほどの150万円から下がりました。したがって損益も(120万円-100万円)×1BTCとなり、20万円の利益が出ているという計算結果になります。

なお、この時移動平均法の損益はマイナス30万円で変化しません。

※①及び③で購入したBTCの数量合計

実現損益を把握して賢く取引をすることが大事

このように、仮想通貨の取得価額の算出方法として総平均法を採用している場合、体感では損をしていると思っていたのに、実際には利益が出てしまっている、というケースが起こりえます。

計算も比較的簡易な総平均法で申告をする場合は、こまめに損益を確認しながらトレードを行うのが賢明でしょう。

Aerial Partnersが提供する対応取引所数国内No.1の仮想通貨損益計算アプリ『Gtax(ジータックス)』では、ユーザーの仮想通貨損益に合わせて損益を0に近づけるための売買を簡易的に検証できる「節税シミュレーション」機能を提供しています。

『Gtax(ジータックス) 』で提案を参考に、実現損益をなるべくおさえる取引を行うことで、仮想通貨取引による所得水準を下げることができます。

また、仮想通貨取引における損失(= マイナスの所得)は雑所得に分類され、翌年以降に繰り延べることができないため、年間を通じて利益が出ているような方でも、含み損を実現させることにより損益を0に近づけて、翌年以降の所得を相対的に低くすることも可能です。

仮想通貨損益計算アプリ『Gtax』

「節税シミュレーション」機能の利用方法は簡単です。まずは『Gtax(ジータックス)』にログインして、これまでの全ての仮想通貨の取引履歴を「ファイル読込」からアップロードします。

対応取引所数は国内No.1で、対応外の取引所でも「手動作成ファイル」を利用すれば計算をすることが可能です。全ての履歴をアップロードしたら「計算実行」ボタンを押します。ボタンの左側に出る数値が現時点での実現損益となります。

仮想通貨損益計算アプリ『Gtax』

次に、画面上部の「今年の税額をお得にするには?」を押します。すると損益を0に近づけるための売買の提案を見ることができます。表示されている提案は、損益結果の上部で現在選択されている計算方法(移動平均法または総平均法)に基づいたものとなります。

なお、提案通りの取引をしたら、必ずGtaxで再度計算を実行して実現損益の確認をするようにしましょう。

仮想通貨損益計算アプリ『Gtax』

「仮想通貨元年」とも呼ばれていた2017年の環境から一転、2018年は年間を通じて右肩下がりの相場となっており、仮想通貨の投資家・利用者にとっては難しい局面であったかと思います。

今後、仮想通貨をはじめとする暗号資産、そして、それを支えるブロックチェーン技術が社会実装される未来に投資をする上でも、こまめな損益計算を通じて市場とうまく向き合っていく心構えが必要になるでしょう。

無料で使える損益計算アプリ『Gtax(ジータックス)』を利用して、実現損益を意識した賢い取引を行ってみてください。

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