
財務省と連携し準備金拡大へ
トランプ政権のデジタル資産大統領顧問会議のエグゼクティブディレクターを務めるボー・ハインズ氏は19日、ブロックワークス主催の「デジタルアセットサミット2025」のパネルディスカッションにおいて、米国政府が「納税者に影響を与えない予算中立的な方法」でビットコインを積極的に取得する計画を進めていることを明らかにした。(予算中立:新たに税金を徴収したり、国債を発行したりして資金を調達せず、ビットコインを取得すること。)
「大統領はSBR(戦略的ビットコイン準備金)の創設に断固としていました。私たちはビットコインのユニークさを評価し、デジタル資産の世界における革新性に信頼を与える正しい方法で実施することを確実にしたいと考えています」とハインズ氏は述べた。同氏は、トランプ大統領によって任命され、ホワイトハウスの仮想通貨・AI特命官デビッド・サックス氏と共に、米国内の仮想通貨セクターの革新と成長を促進する役割を担っている。
トランプ政権はビットコイン(BTC)を証券ではなく商品と位置づけており、その本質的な価値保存機能と独自の特性を強調している。「ビットコインは証券ではなく商品です。本質的な価値保存機能を持ち、伝統的に受け入れられています。サックス氏が説明するように、”原初的な誕生”を遂げたものであり、発行者は存在しません」とハインズ氏は強調した。
先週には非公開の円卓会議で、ハインズ氏が「政府は可能な限り多くのビットコインを取得したい」と発言したことがDecryptなどのメディアによって報じられている。同会議には、ストラテジー社のマイケル・セイラー会長、フレッド・ティール氏(Marathon Digital CEO)、ネイサン・マコーリー氏(Anchorage Digital CEO)など業界の重鎮や、シンシア・ルミス氏ら3名の仮想通貨支持派の共和党上院議員が参加した。
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米国政府の実際のビットコイン取得目標について質問された際、ハインズ氏は「それは国にどれだけの金が欲しいかと尋ねるようなものです。つまり、できるだけ多く」と返答し、政府の野心的な姿勢を示唆した。トランプ政権の仮想通貨評議会は現在、財務省や商務長官と協力して、実行可能な取得戦略を特定する作業を進めているという。
また、スコット・ベセント財務長官は今月初め、CNBCのスクワックボックスのインタビューで、ビットコイン取得計画が議論中であり、最初のステップとして政府が押収したビットコイン(約20万BTC)のさらなる清算を防止することが重要だと述べた。ベセント氏は、次のステップとして追加のビットコイン取得戦略を検討する意向を示し、ビットコインに焦点を当てつつも、より広範な仮想通貨準備金を目指す取り組みであることを強調した。
一方、民主党からは批判の声も上がっている。下院監視委員会のジェラルド・コノリー議員(民主党)は、納税者に影響を与える利益相反を理由に、トランプ大統領のビットコイン準備金計画の停止を財務省に求めている。コノリー議員は「この計画は利益相反の臭いがし、納税者のお金を危険にさらす」と批判し、トランプ大統領および仮想通貨に多額の投資をしている他の政権高官の利益相反に対処するための情報開示を求める書簡を送付した。政府計画がどのように進展するかは、今後の政策枠組みに重要な影響を与える可能性がある。
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