- モルガン・スタンレーが仮想通貨に関するレポートを公開
- 最大手の金融企業モルガン・スタンレーがビットコインおよび仮想通貨に関する調査結果を公開した。ビットコインを機関投資家向けの新しい資産クラスと位置付けしたほか、機関投資家参入への課題やステーブルコインについても触れている。
モルガン・スタンレー、仮想通貨に関する報告書を公開
モルガン・スタンレーの調査部門がビットコイン、仮想通貨とブロックチェーンに関する独自の調査結果を発表した。
特筆すべきはモルガン・スタンレーが唱えるビットコインの「急速に変化する主張」という項目でビットコインと仮想通貨を新たな機関投資家向け資産クラスと位置付けしたことだ。
調査報告書内でビットコインの時間とともに変化している主な利用方法を以下の通りまとめた。
- 2009~2016:デジタルな紙幣:追跡不可能だが信頼できる
- 2010~2017:現在の金融システムに対する解毒剤
- 2015~2018:新たな資金調達メカニズム
- 2017~2018:価値の保存
- 2018春〜夏:崩壊するアルトコイン相場からの逃げ場
- 2017〜現在:新たな機関投資家向け資産クラス
注目は今後ビットコインの主なテーマが新たな機関投資家向け資産クラスと称された事だ。
2018年の1月以降から下落相場が続く仮想通貨市場で最も期待が集まるのが機関投資家からの資金流入による市場拡大だ。
今回の報告書内でモルガン・スタンレーがビットコインを新たな資産クラスと位置付けた事は、ウォール街を代表する企業がビットコインの将来性に少なからず興味を示していることが見られる。
モルガン・スタンレーは9月にブルームバーグにデリバティブ契約の一種であるビットコインスワップ取引の提供を計画中であることを明らかにしていたが、その時点ではビットコインの現物や先物取引は検討していないと述べていた。
機関投資家参入への課題も掲載
また、モルガン・スタンレーは同社のクライアントとの対話を重ねていく中で、仮想通貨市場への機関投資家参入の障壁と考えられる要因として以下の3つを例に挙げた。
- 不十分な規制とそれに伴う風評被害のリスク
- 仮想通貨とプライベートキーの管理を請け負うカストディーサービスの欠如
- 大きな機関投資家が仮想通貨市場に参入していない事実
ステーブルコイン
そのほかにも仮想通貨界隈の注目トレンドであるステーブルコインについても触れた。
仮想通貨の54%の時価総額を占めるビットコインの取引に利用される過去のトレンドの流れとして、米ドル、中国の人民元、日本円と来ていたが、現在ではステーブルコイン(USDTなど) が最も大きく取引されていることがチャートからわかる。
また10月25日時点ではビットコイン取引の半数以上(52%)が仮想通貨との取引で行われていおり、その半分が最近話題となっているテザー(USDT)建てで行われている。
モルガン・スタンレーはステーブルコインを「ボラティリティを低く抑えるために価値を安定することを目的に一般的に法定通貨やコモディティにペッグされた仮想通貨・デジタルコイン」と定義。
上記の図からわかる通り、ステーブルコインは仮想通貨市場が停滞し始めた18年1月頃から取引量が増加し始めたことがわかる。
背景には多くの仮想通貨取引所は法定通貨から仮想通貨の取引ペアは扱っているものの、仮想通貨から法定通貨の取引ペアが少ないことがあるとモルガン・スタンレー社は言及している。
仮想通貨を法定通貨に換金するには取引料が伴うため、ビットコイン価格の下降に応じて、投資家がビットコインから価値が安定しているUSDT等のステーブルコインに資金移動を試みた結果だと述べた。
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