はじめての仮想通貨
TOP 新着一覧 チャート 学習-運用
CoinPostで今最も読まれています

トランプ関税の影響で仮想通貨暴落、1500億円規模のロスカット ビットコイン一時91000ドル台に

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

仮想通貨市況

暗号資産(仮想通貨)市場では、ビットコイン(BTC)は前日比%高の1BTC=93,654ドルに。

BTC/USD日足

一時91,178ドルまで急落し、押し目を買われリバウンドしたが、予断を許さない状況だ。

主要な暗号資産取引所では、過去最大規模となる約10億ドル(約1,500億円)規模の強制清算が2日連続で発生した。

取引所別の清算額を見ると、バイナンスが最大で、ロング(買い)ポジションの清算額が約3.95億ドル、ショート(売り)ポジションの清算額が約3,114万ドルとなった。これに続いてOKX、Bybit、HTXなどの主要取引所でも大規模な清算が相次いだ。

特にアルトコイン市場では、先日まで高騰していたXRPやドージコイン(DOGE)などが一時前日比30%以上暴落。高値圏でのレバレッジ取引が一掃され、絶好の買い場として上値を軽くしたとの見方もある。

暗号資産(仮想通貨)デリバティブ市場では、昨年11月の米大統領選挙以降で最大級の現物プレミアムが発生している。この状況は主に先週金曜日から週末にかけての大規模な売り圧力によってもたらされた。

トランプ前大統領による関税政策の不確実性を受け、市場参加者の多くがヘッジポジションを取る動きを見せている。この不確実性が消化され、市況が落ち着きを取り戻すまでは、リスクオフの展開が続く可能性が高い。

現在の市場は、政策リスクに対する警戒感が強く、投資家がリスク回避的なポジションを取る傾向が続いている。

関連:ビットコイン土日に約140万円幅下落、迫る関税のインフレ懸念|仮想NISHI

貿易摩擦が顕在化

ドナルド・トランプ大統領は1日、カナダとメキシコからの全輸入品に25%、中国からの製品に10%の関税を課した。就任早々の強行措置により、国際情勢のさらなる混乱は避けられないとの見通しが強まった。

中国商務省は、世界貿易機関(WTO)に苦情を申し立て、「相応の対抗措置を講じる」と明らかにしており、報復関税による貿易摩擦に伴い、今後インフレが加速する可能性が懸念される。

トランプ前大統領は2017年から2021年の第1期政権時、“米国第一主義”の旗印の下で積極的な関税政策を展開し、特に中国との間で大規模な貿易摩擦を引き起こした。2018年〜2019年にかけて、米中貿易戦争は激化の一途をたどった。

このような強硬な関税政策は、米国株式市場の大幅な下落を招き、グローバルサプライチェーンの混乱やインフレ圧力の上昇を引き起こした経緯がある。

現在、市場はトランプ前大統領の新たな関税政策の発表を受け、第1期政権時の貿易摩擦の再来を警戒。この懸念が株式市場や暗号資産市場での売り圧力を強める要因となっている。

また、中国のAI企業が開発したDeepSeekも市場に影を落としている。ChatGPTが長年の研究と莫大な予算を投じて到達した性能水準に、10分の1以下のコストで匹敵する性能を実現したとされ、この報道を受けてエヌビディアなど、ナスダック株式指数を牽引してきた半導体関連銘柄の株価が急落した。

しかし、複数の専門家からDeepSeekがChatGPTの出力結果を盗用している可能性が指摘され、現在調査が進められているとの情報も出ている。

トランプ政権は、この事態を受けて、エヌビディアなど米国企業が開発した最先端半導体の対中輸出規制強化を検討する可能性がある。この不透明感が金融市場に新たな不確実性をもたらしている。

一方、暗号資産アナリストのJeff Park氏は、現在の米国の関税政策と通貨戦略が、1985年のプラザ合意に匹敵する歴史的な転換点となる可能性を指摘し、これがビットコイン価格の急騰につながるとの見方を示している。

Park氏の分析は、「トリフィン(流動性の)のジレンマ」と呼ばれる国際金融の構造的問題に始まる。

米ドルが基軸通貨としての地位を維持する限り、米国は構造的な通貨高と恒常的な貿易赤字という課題を抱え続ける。この状況下で、米国は他国よりも低金利での資金調達が可能な法外な特権を享受してきた。

現在の関税政策は、この構造を変革するための一時的な交渉材料に過ぎないと Park氏は指摘する。真の目標は、ドル安と金利低下を同時に実現する新たな国際合意「Plaza Accord 2.0(プラザ合意2.0)」の達成にあるという。

特に注目すべきは、政策決定者の不動産市場への関心が、10年物金利の引き下げ圧力となり得るという分析だ。これは、リスク資産全般の上昇要因となるが、とりわけビットコインにとって強力な追い風になると予想される。

さらにPark氏は、この政策転換が米国と貿易相手国の双方にビットコインを求める動機を与えると分析する。米国による金利低下と通貨安の追求は、世界経済に波及効果をもたらし、その過程でビットコインの価値が急激な上昇を示す展開が予想されるという。

Park氏の分析は、単なる相場観を超えて、グローバルな通貨政策の転換点において、ビットコインが果たしうる役割を示唆する重要な指摘として、市場関係者の注目を集めている。

マイナー動向は

また、2025年1月に米国を襲った記録的な寒波の影響で、ビットコインのマイニング(採掘)業界が打撃を受けている。The Blockが報じた

暗号資産マイニング企業ルクソールの調査によると、寒波による天然ガス需要の急増と再生可能エネルギーの効率低下により、電力コストが急騰。この結果、ビットコインのマイニング難易度は2024年9月下旬以来、初めての下方調整を余儀なくされた。

世界のビットコインマイニングにおいて、米国は全体の36%という最大のシェアを占めており、そのうちテキサス州だけで約17%を担っているとされる。テキサス州に大規模なマイニング施設を構える企業が多い背景には、これまでの比較的安価な電力コストが大きな要因とされていた。

しかし、今回の寒波により、採掘事業の収益性は大きく低下。The Blockのデータによると、マイナーの1テラハッシュ当たりの収益は2024年12月と比較して1月に顕著な減少を示している。

この状況を受け、テキサス州ロックデールで国内最大のマイニング施設を運営するライオット・プラットフォームズをはじめとする米国の主要マイニング企業は、事業リスクの分散を図るため、処理能力の一部をAI処理や高性能コンピューティング分野へ振り向ける計画を発表している。

ビットコインのマイニング難易度は、ネットワークの安定性を保つため2週間ごとに自動調整される仕組みとなっている。過去6ヶ月間、この難易度は概ね上昇基調を維持してきたが、2024年9月と2025年1月の2度の下方調整は、業界が直面する課題を浮き彫りにしている。

ただし、ルクソールのアナリストチームは、この影響は一時的なものとの見方を示している。「北極からの寒波による混乱は一過性のものであり、気温が平年値に戻れば、ハッシュレートも安定を取り戻すことが期待される」と分析している。

この事態は、気候変動がデジタル資産産業に及ぼす影響の一例として、また再生可能エネルギーへの依存度が高まる暗号資産業界の脆弱性を示す事例として、今後の業界の在り方に一石を投じている。

関連:ビットコインは今後どうなる?2025年の価格予測と3つの注目材料

過去に掲載したマーケットレポート一覧はこちら

CoinPost App DL
注目・速報 市況・解説 動画解説 新着一覧
16:57
米国ユーザー、エアドロップで最大3900億円の機会損失か 規制不確実性によるジオブロックの影響
仮想通貨投資企業Dragonflyの最新レポートによると、ジオブロックにより、米国ユーザーは最大4,000億円のエアドロップ収益機会を逃している。米国の長年にわたる規制の不確実性によって、個人だけでなく政府の税収、ひいては経済全体へ悪影響が拡大していることが、データから明らかになった。
13:04
米コインベース、ミームコイン3銘柄の取引を一時停止へ
米コインベースが上場基準適合性の見直しにより仮想通貨FLOKI、TURBO、GIGAの取引を2025年4月に停止。これら上場直後のミームコインは価格が4分の1細に下落している。
12:21
ビットコイン反発で84000ドル台を回復、ETFから6週連続の資金流出続く中
トランプ大統領の関税政策による市場の不確実性が高まる中、ビットコインETFは7日連続で資金流出し、3月11日には3.7億ドルの純流出を記録。一方でビットコインは前日比+1.9%の83,832ドルに反発した。
10:01
韓国、第3四半期を目処に機関投資家の仮想通貨投資解禁へ
韓国の金融委員会が、機関投資家によるビットコインなど仮想通貨への投資を解禁する計画だ。2025年後半までに包括的ガイドラインを発行予定で、業界とも懇談会を行っている。
09:45
リップル社と米SECの裁判、近く終結か
リップル社と米SECの裁判が近く終結する可能性が指摘されている。現在は同社の法務チームが交渉を行なっているという。仮想通貨に肯定的なトランプ政権が誕生し、SECは最近新たな動きを見せている。
08:32
アブダビの政府系ファンドMGX、バイナンスに2970億円を出資
仮想通貨取引所バイナンスは、UAEのアブダビ拠点の投資企業MGXから約2,970億円の出資を受けることを発表。AIなどの先端技術に特化するMGXは政府系ファンドである。
03/12 水曜日
19:30
米国仮想通貨ETFの審査状況一覧 ソラナやXRP・ドージなど
ビットコインやイーサリアムに続き、ソラナやリップルなど多数のアルトコインETF申請が進行中。2025年の米国規制環境で加速するETF審査状況を整理しました
18:38
ソニー系Soneium Web3ゲームのLINEミニアプリ版展開へ
ソニーブロックソリューションズラボのSoneiumがLINEミニアプリの展開を発表。約2億人のユーザーに向け、米欧亜を代表するウェブ3ゲームの関連版4つをLINEミニアプリとして展開する。
17:30
DeFimans Fintech & web3 Nightイベントレポート
Japan Fintech Week 2025公式パートナーイベント『DeFimans Fintech & Web3 Night』で、トランプ米政権のWeb3戦略に対する日本の立ち位置、地方創生2.0におけるブロックチェーン技術活用の可能性について議論が展開された。山古志村の錦鯉NFTプロジェクトなど具体的成功事例も紹介された。
15:15
メタプラネット20億円分の追加購入でビットコイン保有量3,050BTCに
メタプラネットが暗号資産ビットコインを162BTC追加購入し、保有量3,050BTCに到達。EVO FUNDとの新株予約権発行やゼロクーポン社債を活用した資本戦略を通じ、さらに買い増しを進める方針を示している。
14:49
ビットコイン準備金戦略で米国経済を強化、「デジタルゴールドラッシュ」時代の到来に備える
ワシントンDCで開催された「Bitcoin for America」フォーラムで、米国のビットコイン戦略についての議論が交わされた。上下院でのビットコイン法案提出の発表や、ストラテジー社会長のマイケル・セイラー氏によるビットコイン準備金戦略のプレゼンなどにより、今後の具体的な方向性と指針が示された。
11:52
金融庁審議官らが語る日本の暗号資産規制とWeb3特有の課題|HashPort・WebX Round Table
HashPortとWebX実行委員会主催のイベントで金融庁の柳瀬護審議官が日本の暗号資産規制の今後を示唆した。決済手段から投資対象へと変化した暗号資産の実態に合わせた新たな規制枠組みを検討中。2025年の通常国会での法案提出を目指し、金商法への移行も選択肢の一つとしながら、過度な規制による利用低下を避ける実用性重視の姿勢を表明。
11:50
米国下院、超党派でステーブルコイン規制法案「STABLE」への支持広がる
米下院金融サービス委員会で、ステーブルコイン規制の公聴会が開催された。共和党・民主党議員の多くが支持を表明し成立への機運が高まっている。トランプ政権も法整備に前向きだ。
10:07
米下院、DeFiへの税務報告義務付けに反対する決議案を超党派で可決
米下院が米国税庁によるDeFiに税務報告義務を課す新ルールに反対する決議案を可決した。トランプ政権も支持を表明している。
09:40
イーサリアム財団、86億円相当のETH送金を否定
イーサリアム財団の広報担当者は、財団が清算回避目的で、86億円相当の仮想通貨ETHをDeFiプラットフォームMaker(現Sky)に入金した可能性があるとの指摘を否定した。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
重要指標
一覧
新着指標
一覧