12月9日、株式会社techtec主催の「PoL(ポル)1周年記念イベント~The Future of Blockchain~」が、都内のLIFULLにて開催された。
PoLは昨年11月、仮想通貨・ブロックチェーンに特化したオンライン学習サービスとしてリリースされたものだ。
PoLトークンは、用意されたオンラインカリキュラムを学習するほど貯まっていく資産であり、獲得したトークンは、PoLの有料コースで使用することができる仕組みとなっている。
techtecの田上CEOはサービスを立ち上げた理由として、世界の大学トップ50の内、42%にあたる21校がブロックチェーンに関する講義を提供している状況にある中、日本のブロックチェーン教育が遅れていると感じたことが背景にあると言及した。
カリキュラムでは、学習後のキャリアを踏まえた「ビジネスコース」「ライターコース」「エンジニアコース」「英語コース」といった4つのコースを用意。ブロックチェーン業界特化の英語コーチンングサービスやライター育成サービスのほか、今年5月には専門家のサポートを元に仮想通貨の税金について学べる一風変わったカリキュラムを用意している。
今年6月には、テスト結果に応じてもらえる「PoLトークン」を満を持して実装。導入後は「登録ユーザーの継続率」を示すリテンションレートが約4倍まで跳ね上がったという。
今後の展望
techtecの田上CEOは、PoLに関する今後の展望について以下の4点を挙げた。DEXなどのDeFi(分散型金融)が現時点で普及しているとは言い難く、ブロックチェーン業界に関心を持つエンジニアの増加や業界全体のリテラシー向上に役立つことが期待される。
- 12/10 MakerDAOのDeFi(分散型金融)が学べるカリキュラムをリリース
- 今後、Braveに関するカリキュラムを作成予定
- エンタープライズ版カリキュラムを2020年2月公開予定(企業研修・福利厚生などのニーズ増加に対応)
- 12月中にアウトプットを評価する新サービスを公開予定
トークセッション
今回のイベントでは、techtecのビジネスパートナーとしてブロックチェーン業界で活躍する面々がゲストスピーカーとして招かれ、分散型金融(DeFi:Decentralized Finance platforms)の現状と課題やユーティリティトークンの存在意義についてトークセッションを行った。
分散型金融(DeFi)については、以下のテーマで有識者らが見解を述べた。
日本でDeFiは必要なのか?
まずビットコイン(BTC)にしろ、「選択肢」ができたことが大きい。
日本では銀行で利便性を享受している。安心感はあるが、金融危機や取り付け騒ぎなど万が一が起こる可能性もある。 信用コストのないものを使うという選択肢ができたことは大きい。
DeFiも同じで、自己責任のもと運用可能。個々のリスク志向によって、いろんなプロダクトが使用できるようになった。
ブルームバーグ時代に記者として取材していた経験から、日本全体の金融システムを見ると、日銀が緩和施策をいくら実施しても、大半の利用者は銀行にお金を預け続けている。
世界的な金融緩和政策で「マイナス金利」も珍しくなくなっているが、日本の場合は、個人資産の60%以上が銀行に預けられている現状がある。これは、金利が得られず、インフレが起こると資産価値が下がることを意味する。
そのため、資産運用が役立つより優れたシステムが必要=DeFiが必要だと考えている。
DeFiは、日本の国力を上げるポテンシャルというか、金融(の未来)を面白くすると考えている。
例えば、CompoundやDAIの発行は、金融というよりもゲーム感覚で楽しめる。現状の金融は、積立NISAとか言われても個人的にはあまり面白くない。
CompoundにDAIを預けると、30分後にすぐ利子が付くような。それこそ、ボタンをたった数回押すだけで資産運用できるという”新しい体験”の実感を得ることができる。
もし今後DeFiが普及してくれば、日本人の現金貯蓄の慣習から、アセットを回すような教育が出来るのではないか。
また、安氏は、ブロックチェーン業界に必要なことは何か?という質問に対し、以下のように述べた。
1つめは、「日本の取引所の関係者が、R&D(研究・開発)を仕掛ける」こと。
2つめは、「ファンド組成でお金が入ってくる」こと。
海外でブロックチェーン業界が発展しているところを見ると、仮想通貨取引所による支援か、仮想通貨系ファンドから支援されているという現状がある。 お金がちゃんと入る構造のある国が勝っているという印象がある。
しかし、今の日本市場は、金融庁への規制対応で手一杯で、ファンドの関係者の多くはブロックチェーン自体をよく認知していない状況にある。
上記2つを解決するために、有用なDeFi関連サービスを作るようなプレイヤー(エンジニア)をもっと増やす必要がある。
トークセッションの後には、ユーザー同士が横のつながりを作る場としてPoLコミュニティMeetupが行われ、ドリンクやピザがふるまわれるなか、盛況のうちに幕を閉じた。