世界の金融資産パフォーマンスを超えたビットコイン
Coinmetricsのデータによれば、米株式市場のS&P500と仮想通貨ビットコイン(BTC)の相関性は、3月に発生したコロナショック以降、過去最高を記録した。
米ダウ平均の大暴落を震源地にして全市場が全面安となった3月中旬、BTCとの相関係数は過去最大の0.5に達した。株式市場との連動性がここまで明確になったのは、仮想通貨史上でも類を見ない。
背景にあるのは、新型コロナ感染拡大に伴う極端なリスクオフ局面だ。
業績悪化と経済後退の長期化に備えて、可能な限りの手元資金を確保したい企業を中心に、米ドルなど現金化需要が急速に高まった。リスク資産であるビットコインも例外ではない。
有識者の見解
Coinmetricsの創設者Nic Carterは、3月中旬以降、相関性が再び弱まり始めたと指摘。「リスクオフ局面で投資家は、追証回避の必要証拠金や住宅ローンを賄うために短期アセットを売りさばく傾向が高まる。その点、ビットコインは流動性の低い資産であり、税金面でもメリットが薄いため、換金需要で売られやすい」とコメントした。
Blockchain CapitalのジェネラルパートナーであるSpencer Bogartは、経済. 金融機関の融資が縮小する「信用収縮」の際、すべての金融資産が同じ方向に動く傾向が高まるとし、3月のコロナショックはまさにその一例であると論じた。
金融市場の暴落局面では、投資行動で現金化が優先されるため、あらゆる資産が清算させることは免れない。極端な場面では、金や米国債など「安全資産」という概念そのものが意味を為さなくなる。
一方、ビットコインは年初来金と米国債を除いた金融資産のパフォーマンスを上回っており、ただの投機商品と一線を画し、「価値の保存」手段として焦点を当てる向きもある。
Delphi Digitalの創設者は、「金相場でさえ、リーマン・ショック(2008年3月〜10月)の期間で約30%も大幅下落した」と指摘。ビットコインの下落は一時的にすぎないとみている。
長期的な要素
ビットコインの発行上限やマイニングモデルから、中央集権の大規模金融緩和に対抗し得る「デジタル・ゴールド」と見る向きもあるビットコインはこれまで、軍事的な緊急事態や新興国のハイパーインフレに対して耐性があることが散見されたものの、未知の感染症のパンデミックに絶縁されるものではなかった。
Bogartは、ビットコインと他金融市場との相関性は過去一過性であったことから長期的に俯瞰する必要があると言及。
その上で、「これまでのビットコイン投資家は個人投資家や仮想通貨擁護者が中心だったが、大口の機関投資家にも普及するとすれば、金融的相関性はより強まることになる」と予測した。
米経済誌フォーブスの報道では、米国政府の巨額経済刺激策など各国政府の緊急措置は、半減期を控えたビットコインにとって追い風であり、関心度もより高まっていくと見込まれる。
「BTC半減期」の検索数はコンスタントに増加
ビットコイン半減期まで「残り30日」を切るなか、Google検索でも「Bitcoin halving(ビットコイン半減期)」の用語検索数が急速に伸びていることが観測された。
ブロックチェーンテクノロジー企業BlockstreamのZack Voellは、米国で「Bitcoin halving」の検索数が、歴史上最高水準に近づいていると指摘している。
"Bitcoin halving" search interest nearing all-time highs. $BTC pic.twitter.com/uIXT840au3
— Zack Voell (@zackvoell) April 13, 2020