景気悪化はリーマン・ショック超えが鮮明に
新型コロナ感染拡大に伴う経済の急速な悪化は、各国の経済指標にも如実に現れている。
政府は23日、4月の月例経済報告にて、国内景気判断について「急速に悪化しており、極めて厳しい状況」と表現。3月の「大幅に下押しされている」からさらに下方修正した。個人消費、輸出、生産、企業収益、業況判断、雇用情勢いずれも下方修正し、飲食などサービス業の厳しさが浮き彫りに。リーマン・ショック時を下回る過去最悪水準となっている。
日銀が追加金融緩和策へ
そのような状況にある中、日銀は、27日の金融政策決定会合で追加金融緩和策に関する最終調整に入った。
国債購入について「年80兆円」の上限を撤廃し、事実上の無限国債購入に。短期の資金繰りのために発行するコマーシャルペーパーや社債の購入上限を大幅に引き上げる方針だ。
日銀が13日に発表した3月のマネーストック(通貨供給量)によれば、現預金の平均残高は、前年同月比で2.7%増。コマーシャルペーパー(CP)発行残高は、前年比20%増の25兆円と過去最高となった。
CPは企業の信用力で金利が変動する社債の一種で、期間1年未満で発行するものだ。担保なしで資金調達が可能なことから、現在のCP購入枠3.2兆円では不十分との判断が働いた。
新型コロナの終息目処が立たない中、経済活動の停滞でサービス休止を余儀なくされたとしても人件費や賃貸料など固定費はかかり続けることから、企業の運転資金確保は不可欠だ。国内でもJR東日本や楽天などの大企業を含め、”不測の事態”に備えた手元資金の積み増しは加速している。
半減期を控えるビットコイン市場
仮想通貨ビットコイン(BTC)は、前日比5%高の81.1万円。
先日の原油先物騒動で市場に警戒感漂う中、7200ドルのレジスタンスラインとペナント上抜けで急騰したビットコイン(BTC)。BitMEXでは9200BTCのロスカットを伴う大きめのショートカバーが発生した。
直近では25日移動平均線に支えられるようにして上昇しており、200日移動平均線の8,000ドル付近を超えることができるかどうかが焦点の一つとなるだろう。 昨年4月のトレンド転換では、2019年4月2日の大陽線で200MAを超えて以来大きなトレンドが発生した。
経済・金融危機とビットコイン
3月は、世界中の株式市場が暴落するコロナ・ショックの影響が仮想通貨市場にも波及。BTCは、最高値9250ドルから最安値3500ドル台まで歴史的な暴落を見せた。しかし、4年に1度の「半減期」を5月上旬に控えて順調に価格を回復しており、4月24日時点ではコロナショック前の高値比較で81%の回復を見せている。
かつての金融危機を機に誕生した、ビットコイン(BTC)の真価が試されている。
最初に生成されたジェネシスブロックには、『Chancellor on brink of second bailout for bank』の文字が刻まれており、伝統金融のアンチテーゼでもあるからだ。インフレ局面では、希少性の高い金やプラチナなどの「貴金属」は、値下がりしにくい資産だとされる。大規模量的緩和に伴う法定通貨のインフレーションで物価が上昇すれば、相対的に現金(預貯金)の価値が目減りする懸念も生じるため、デジタル・ゴールドの性質を有するビットコイン(BTC)市場にとって追い風となり得る。
Google Trendsのデータからは、「(BTC半減期)」というワードの検索数が4月以降急増し、2016年の半減期前と似たような状況となっていることが確認できる。
すでに「半減期」という材料は価格に織り込まれているという見方もあるなか、Grayscale投信の年間の純資産増加額の推移を対数表示したデータから、Grayscale投信の純資産増加ペースは過去の半減期と似たような傾向を示しており、「新型コロナ」という史上最大の不確実性を抱えながらも同様の推移をたどるのかどうか、他金融市場の関心を集めることになりそうだ。
「Grayscale仮想通貨投信の特徴や過去の半減期との投資環境の違い」に関する考察は、下記のCoinPostの関連記事で詳しく解説している。