マネックス証券インタビュー
マネックスグループの完全子会社で、証券業を営む「マネックス証券」は7月8日、新たな金融商品として暗号資産(仮想通貨)CFDの取り扱いを開始した。
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これを受け、CoinPostでは、マネックス証券の暗号資産(仮想通貨)CFD責任者である萬代 克樹氏にインタビューを実施した。
インタビュー内容
――マネックス証券として暗号資産(仮想通貨)デリバティブの提供を開始された経緯を教えていただけますか
投資家や世間からの関心が非常に大きくなった3年くらい前に参入したいと思ったのですが、法律上の整備がなかなか付かず、入りにくい環境がありました。ずっと準備はしていましたが、やっと今法整備が整って参入することが出来たということですね。
提供した背景は何かというと、お客様の「仮想通貨トレーディングをしたい」というニーズを受け、当社では為替が主流なのですが、株などの他にボラティリティを提供できる商品としては、仮想通貨は入れておくべきタイプの資産と位置付けて提供を開始しました。
――反響や取引の状況について、差し支えない範囲でお答えいただけますでしょうか
金融商品取引会社、オンライン証券として取り扱い始めたのは当社が初めてだったので、様々なメディアからインタビューがありました。
取引開始日は7月8日です。当社は仮想通貨取引がアプリ経由だけで、Android版はすんなりとローンチできるのですが、iOS版の方がApple社の審査などで時間がかかってしまいました。今まだ皆さんダウンロードされてアプリの状況を見ているところかと思っています。
当社アプリは、アカウントを持っていなくてもチャートなどを見ることが出来るように作られています。一番取引が多いのはビットコインだと思うのですが、値動きが小さいということもあり、まだ本格稼働はしていない様子見のような状況かなと思っています。
コインチェックとの連携について
――コインチェックとマネックス証券さんの暗号資産(仮想通貨)業界での戦略、相互のシナジーや連携の仕方について、どのような構想がお有りでしょうか
今のところ当社はCFD(差金決済取引)ということで、「現物」をお客様にデリバリーしない。要するに日本円と暗号資産(仮想通貨)4種類、それとの交換の率を取引されて、お客様が手にされるのは円です。証拠金を出して、証拠金の増減を円でまた貰うというパターンで行っています。なぜかというと、証券会社である当社のお客様は、自分で現物資産を持っている方というのはあまりいないのです。株ですと、証券保管振替機構などが現物を保持していて、お客様自体が現物管理するということは基本的にありません。
ご自身で現物暗号資産を持つことには当社のお客様はまだ慣れていらっしゃらないだろうというのがあって。我々としては、CFD、日本円を源泉とした取引をしています。
一方グループ会社であるコインチェックは、元々暗号資産(仮想通貨)の側から大きくなっていった会社で、お客様自体が、現物の(―現物の暗号資産と言っていいか分からないですが)暗号資産(仮想通貨)を配分するのに慣れてらっしゃる方が非常に多いです。
後は、レバレッジ取引をするには「金融証券取引会社」になる必要がありまして、それなりにコストがかかるんです。コンプライアンスとか、体制整備も多くを求められます。 グループ的には、コインチェックとは住み分けが出来るのではないかと。「現物」はコインチェックの方で扱っているという整理です。
お客様の送客というのは、法律やルール上難しいところもありますが紹介くらいはできまして、おかげさまで当社の参入については業界では「ついに入ったか」という反応があったので、コインチェックのお客様にも「マネックス証券でこうした事業を始めました」というお知らせは行っています。
海外との連携について
――海外のオプション等は日本では扱いませんか
海外のオプションや先物は、日本で取り扱うのが難しかったりする部分がありまして、100%ノーではないものの、今のところ構想にはありません。
もし出来るのであれば、今行っているCFDのようなものをOTC(店頭取引)で作ることも技術的には可能です。オプション取引などが可能となった場合でも、海外の先物取引を使うのか自分達でOTCを作っていくのは微妙なところです。ヘッジでそういうものを使うのはありだと思うのですが。
――マネックスグループには米国の「トレードステーション」がありますが、海外連携も考えていらっしゃるのでしょうか
BtoCの「C」の部分のお客様を直接紹介するのは、法律上難しいです。私たちは日本のレギュレーションで商売をしていて、あちらは米国のレギュレーション、違うレギュレーションで送客するのは難易度が高い。
お客様をマネックス証券として送客するということはないのですが、米国市場は流動性がありますので、今後カバー取引(顧客の反対売買を行って残高を調整する取引)とかでシナジーを出していけるかもしれないと思っているところです。もちろん米国側も、暗号資産(仮想通貨)とのトレーディングビジネスを持っていますので、BtoBであれば国境は関係なくなってきますね。
――現在4銘柄のCFDを取扱いされていますが、他の暗号資産(仮想通貨)を加えたりオプション取引を開始するなど拡充予定はありますか
取引量や今後の伸び次第ですけれども、それも前向きに考えています。今すぐにというわけではないですが、有力な暗号資産(仮想通貨)が出てきた場合は取扱いしていきたいとは思っています。
JVCEA(日本暗号資産取引業協会)の審査もしっかりしていて厳しいですが、必要な手続きは踏んで、良い通貨があれば増やしていきたいですね。
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