仮想通貨オントロジー、DeFiユーザー向けの身元認証ソリューションを開発

オントロジーのデジタルIDソリューション

ブロックチェーンを基盤とした「信用の再定義」をミッションに掲げるオントロジーが、分散型ネットワークにおける身元認証に関する新たなソリューションを開発した。プレスリリースによると、このソリューションが目指すのは、欧州連合が推進するオープンバンキング・イニシアチブの導入により、欧州域内の銀行サービス・ユーザーが享受している利便性を、仮想通貨のユーザーにもたらすことだという。

欧州オープンバンキングの仕組み

オントロジーの創設者Jun Li氏によると、分散型金融(DeFi)が既存の金融業界と同様に、規制対象となることは必至であると予想されるため、ユーザーの身元確認の信頼性を高める仕組みを構築することが不可欠だと述べている。

その意味で、欧州におけるオンライン決済とIDソリューションのための革新的なサービスを開発するイニシアチブ、欧州オープンバンキング(OBE=Open Banking Europe)が成し遂げてきたことが参考になるようだ。OBEはオープンバンキングに必要な規制要件対応へのガイダンスや規範、ツールの提供を通して、顧客の個人情報共有に関する様々な課題解決の場を提供している。

オントロジーは現在、データのプライバシー保護およびデータ主権についてEUの主要規制当局と密接なやりとりを行なっているとのことだ。

ONT ID

オントロジーの主要なソリューションの一つが、分散型IDフレームワークである「ONT ID」だ。エコシステム全体で使用できるデジタルIDの構築を通して、柔軟な個人のデータとアイデンティティ管理が可能だ。そして、ユーザーがアイデンティティを一元管理できるツールとして、公式ウォレット「ONTO」を提供している。

オントロジーのサイト経由、もしくはONTOを使用することで、ユーザーは異なるウォレットで所有しているデジタル資産すべてを、一つのダッシュボードで閲覧することが可能になるという。さらにオントロジーが提供する、ユーザーの信用スコアシステム「OScore」を見ることもできる。

OScoreは、保有するすべての資産リストを表示することなく、全資産の価値を確認したり、必要な財務履歴のみを閲覧したりすることが可能。仮想通貨を借りるケースでは、ユーザーは共有する必要のある情報のみを貸し手に提供し、データのプライバシーを保護することができるようになる。貸し手にとっても顧客情報確認のための信頼性と透明性が高まることで、リスクの軽減につながるという。

オントロジーでは、異なるブロックチェーンとの相互運用性を高めることを目的に、ビットコインやイーサリアムなど主要ブロックチェーンとの統合ソリューションにも既に着手しているとのことだ。

新たな提携も発表

オントロジーは多くのパートナー企業と連携することで、共にグローバルなエコシステムを作っていくという構想を持っているという。オントロジーが開発する「自律的なアイデンティティとデータに特化したブロックチェーン」に加え、分散型ネットワークの構築には様々な業界のモジュールを組み合わせることが必要だと、共同創業者のAndi Ji氏は述べている。

直近では、2つのブロックチェーンプロジェクト、WavesならびにNEARプロトコルとの提携を発表している。

Waves

Wavesは分散型アプリ(dApps)の開発を手助けするツールセットとエコシステムを提供するオープンプラットフォームで、オントロジーとの提携で両チェーンの統合を進めていく。オントロジーは、Wavesエコシステムでオラクルネットワーク「Gravity」のターゲットチェーンの一つとして機能し、Wavesにデータ提供を行うことになるという。

オントロジーのトークンであるONTおよびONGがWavesのトランザクションで利用可能になり、WavesベースのDEXに上場することも可能になる。一方、Wavesトークンはオントロジーチェーン上で使用したり、ステークすることが可能になるなど、両チェーンでの資産の互換性が高まる。

Wavesとオントロジーの提携は、DeFi開発者にクロスチェーン対応のDAppsを作成するための新しいインフラを提供することになる。

NEARプロトコル

dAppsに特化したNEARプロトコルとオントロジーは、分散型IDソリューション開発と普及促進で協力することになった。オントロジーはNEARに対して、規制の観点から必要と考えられる分散型識別子(DID)を実装するための技術的支援を提供するという。具体的には、スマートコントラクトの実装とW3Cへの登録の支援が中心になる見込みだ。

DIDとはDecentralized Identifiersの略称で、ユーザーが自分自身の属性情報などを記録するデジタルIDで利用される新しい識別子で、ワールド・ワイド・ウェブ・ コンソーシアム(W3C)の下で標準化が進められている。DIDの目的は、中央集権的に管理されることから起きるプライバシーリスクからユーザー情報を保護することだという。

NEARは安全性と高パフォーマンスを兼ね備えたdAppsプラットフォームとして、注目を集めており、アンドレセン・ホロウィッツ等が支援する2160万ドルの資金調達に成功、メインネットの立ち上げを完了している。

出典:Ontology


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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します