フィスコがバイナンスを提訴
日本の仮想通貨(暗号資産)取引所Zaifを運営するフィスコは、大手取引所バイナンスを訴える訴状をカリフォルニア北地区裁判所に提出した。
訴えの基となる、取引所Zaifの18年のハッキング事件では、カリフォルニア州のZaifユーザーも被害に遭っている。
訴状によると、フィスコは、18年に取引所Zaif Exchangeで起きたハッキング事件に関し、暗号資産(仮想通貨)バイナンスのマネーロンダリング対策の甘さが原因で犯行に利用されたと主張。
ハッキング事件を認識していながらも、バイナンスでの資金洗浄阻止に失敗したと指摘した。フィスコはバイナンスに対し、損失分の支払いを求めている。
2年前のZaifハッキング事件では、BTCを含めた複数の仮想通貨が不正流出被害に遭った。そのうち、盗難されたビットコインの一部である1451,7BTC(当時価格10億円相当)がバイナンスに送金され、資金洗浄されたという。
バイナンスに対しては、「マネロン基準が極めて緩く、業界基準に及ばない」KYC/アンチマネーロンダリングの仕組みが取られていたと指摘。結果的に、ハッキング犯によるバイナンス上での資金洗浄を助長したと糾弾した。
バイナンスでは、1日当たり2BTC以下の利用であれば、本人確認情報の必要なく口座を開設し取引所を利用することが可能だったことから、犯人はその仕組みを悪用し、盗み出したビットコインをおよそ数千の口座に分け、全て2BTC以下にすることで本人確認義務を回避したとしている。
フィスコによれば、Zaifの通知によりバイナンス側はハッキングについて認識していたにも関わらず、故意、あるいは過失により、取ることのできた対策(関連する口座の凍結など)に失敗したとしている。
18年に発生したZaifハッキング事件
仮想通貨取引所Zaifは、18年にハッキング被害を受け、ビットコインやビットコインキャッシュ、モナコインなど計3種類の仮想通貨が盗み出された。被害額は約67億円に上った。
この事件を受け、Zaifを運営するテックビューロ社は経営支援を要請。要請に応じたフィスコとの資本提携が行われ、盗まれた顧客資産を補填するための金融支援等が行われた。その後、フィスコの下でフィスコ仮想通貨取引所との統合が発表され、今年3月には新規口座受付を再開させている。
また、今月4日には株式会社フィスコ仮想通貨取引所が社名を株式会社 Zaifに変更することが取締役会で決議された。