- 余ったコンピュータリソースを共有するプロジェクト
- 使っていないコンピュータの計算能力を別の人に使ってもらい、使われた計算能力に対して使用料が支払われます。
- プロジェクトが実現すると世界中のビジネスに影響が出る
- 個人でハイスペックなパソコンを持つ必要がなくなり、誰でも高価なスーパーコンピュータと同じ計算力を利用出来るようになります。
- 技術的ハードルが高い
- 複雑なプロジェクトのため実現可能性において解決すべき課題や技術的な問題が多く存在します。
概要
通貨コード | GNT |
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取引開始日 | 2016年11月17日 |
承認アルゴリズム | – |
発行上限 | 10億GNT |
ブロック生成サイクル | – |
公式ページ | Golem公式サイト |
ブロックチェーンURL | ブロックチェーンサイト |
White paper | White paperページ |
ゴーレム(Golem)は、コンピュータリソースをP2P(個人対個人)で取引する「分散型スーパーコンピュータネットワーク」を目指して作られました。厳密に述べるとゴーレムはイーサリアムプラットフォーム上に構築されたプラットフォームの名前であり、そこで支払われるトークンの単位がGNTと呼ばれています。
歴史
ゴーレム(Golem)はICO前である2015年に、中国大手自動車部品メーカーのWanxiang Blockchain Labsのスポンサーシッププログラムによる資金援助を受けた事を発表しました。
We are happy to announce that Golem Project got a grant from The #Wanxiang #Blockchain Labs Sponsorship Program! https://t.co/1qBnMFBSfK
— golem (@golemproject) 2015年12月17日
そして2016年11月のクラウドファンディング(ICO)において販売された10億GNTが30分程度で完売し、当時のレートで約860万ドルもの資金調達に成功しました。
ICO後は1〜2円の間を推移していました。仮想通貨元年とも言われる2017年に入り、仮想通貨全体が値上がりした結果ゴーレムも6月には最高値80円台にまで値上がりしています。
しかし、ゴーレム(Golem)はロードマップ(行程表と呼ばれる目標とその達成までの過程の計画)4年間と長い期間を設定していることから分かるように、非常に複雑なプロジェクトであるため、実現可能性について疑問を呈される事が多いため価格は下がり続け、現在(2017年7月)では20円台後半で安定しています。時価総額は仮想通貨全体の26位で、これは同じイーサリアムプラットフォームのAugurと同程度の時価総額です。
特徴
ゴーレム(Golem)の目指す世界中のコンピュータリソースの共有とは、つまり使っていないコンピュータの計算能力を別の人に使ってもらい、使われた計算能力に対して使用料が支払われる仕組みです。コンピュータの計算能力は最大まで利用している時間がそこまで多くありません。シェアリングエコノミーと呼ばれる考え方が応用されていて、同様の計算リソース共有プロジェクトとしてMadesafe、MITのEnigmaがあります。
ブロックチェーンを使用することで、各コンピュータが必要とするハードウェアのリソースを提供し、ここに支払いシステムが搭載されます。ゴーレム(Golem)はイーサリアムプラットフォームを利用しているので、送金手数料が安いイーサリアムを少額決済に用いて、小規模からでも柔軟にコンピュータリソースを提供することができます。
ゴーレム(Golem)においてはプロバイダーとリクエスターの二種類のユーザーが存在します。
プロバイダーとは使っていないコンピュータリソースを提供するユーザーのことです。リソースを提供した見返りにGNTを通じて報酬を受け取ります。
リクエスターとはコンピュータリソースを購入するユーザーのことです。リクエスターはプロバイダーから提供されたコンピュータリソースを購入することで、分散型スーパーコンピュータを利用できます。
プロジェクト実現後の将来図
ゴーレム(Golem)のプロジェクトが実現した場合、世界中のビジネスが大きく変わることになるでしょう。個人でハイスペックなパソコンを持つ必要がなくなり、世界中のコンピューターが有効活用され、何千万円以上もするようなスーパーコンピュータと同レベルの計算能力で複雑な計算を実行することが出来ます。
例えば株式市場の予測から大規模なデータ分析、整数分解のような暗号化作業、AIによる壮大な量の情報取得や学習など、ビジネスの幅は広がっていきます。これらはゴーレムの潜在的な使用事例における氷山の一角に過ぎません。
そしてパソコンの寿命は約4年と言われています。いくら高価なパソコンを購入しても、何年か経てばそれよりも良いパソコンが増えていきます。しかしゴーレム(Golem)プロジェクトが実現した場合は、分散型スーパーコンピュータを使用料金を払うだけでいつでも使うことが出来るのですから、そのような心配をする頻度も大きく減るでしょう。
ロードマップでは将来の展望、システムの拡張について多く触れています。
- P2P(個人対個人)の経路制御と取引に基づく決済システム。例:イーサリアムのRaiden Networkなど。
- 外部の分散化された身元確認サービス。例:イーサリアムのuPortなど。
- タスクの検証や信頼性評価の外部システム。例:イーサリアムのTrueBitなど。
技術的ハードルの高さ
このようにゴーレム(Golem)は非常に先進的なプロジェクトではありますが、上記で述べたように実現可能性においてまだ解決すべき課題がいくつも残っています。
- 決済が多くなった場合
- マイクロトランザクション(仮想世界の商品やサービスを少額で購入できるシステム)で大量に処理する必要があります。
- レピュテーションシステムの構築
- つまりはコンピュータ端末の評価をするシステムを構築する必要があります。
- スケーラビリティ問題
- P2Pネットで大量のデータや処理をするためのスケーラビリティ(コンピュータの持つ拡張性、柔軟性)問題を解決する必要があります。
- リソース割当の問題
- 空いているコンピュータ端末を探したり、効率の良いタスク割当などによる計算効率向上方法の模索する必要があります。
ロードマップ4年間の要因は様々な所に存在し、プロジェクトの実現可能性に疑問が呈される一因となっています。
取引所
2017年7月現在、国内の取引所では取り扱っていないため、海外取引所にビットコインを送金してビットコイン建て、もしくはイーサリアム建てで購入することしか出来ません。日本円やテザー(USDT)建てで購入することは不可能です。
取り扱い取引所 | CoinPost記事(リンク張る) |
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Poloniex(ポロニエックス)とは? | |
Bittrex(ビットトレックス)とは? | |
Cryptopia | 調査中 |
ウォレット
使いやすさで言えばスマートフォンでも扱えるjaxxがおすすめです。2017年6月にハッキング被害に遭ったウォレットでもあるので、不安な方はExodusかEthereum Wallet and Mistを使いましょう。しかしどちらも日本語の情報が少ないので注意が必要です。Ethereum Wallet and Mistでゴーレム(Golem)を扱うためには設定が必要です。
公式ページ(英語)に設定方法が書いてあります。
jaxx公式:https://jaxx.io/Exodus公式:https://www.exodus.io/
Ethereum Wallet and Mist公式:https://github.com/ethereum/mist/releases
マイニング
ゴーレム(Golem)は計算力を提供しブロック認証作業の報酬を受け取るビットコインのマイニングとは違い、CPUやメモリのレンタル料で報酬が支払われる仕組みです。よって所謂マイニングというものではありません。
まとめ
ゴーレム(Golem)は技術的に壮大なプロジェクトであるため、実現可能性が最も注目されています。実現すると世界中のビジネスを大きく変えることは間違いないため、注目すべきプロジェクトではあります。よってGNT価格は開発の進捗状況で大きく変化していくでしょう。