仮想通貨に関する政策を推進
米国通貨監督庁(OCC)ブライアン・ブルックス最高執行責任者(COO)が米国上院で、OCCの活動や金融分野の現況について証言。その中で暗号資産(仮想通貨)政策を積極的に進めていることを説明した。
ブルックス氏はまず、具体的な数字を挙げて、仮想通貨という決済メカニズムは現時点で金融の主流にしっかりと定着していると語った。約6000万人のアメリカ人が何らかの種類の仮想通貨を所有しており、時価総額は約4300億ドル(約45兆円)にも上ると指摘した。
また、「取引はリアルタイムで行われ、利便性とセキュリティも提供することから、仮想通貨は商品やサービスの決済を行うための人気メカニズムなった」として、仮想通貨の強みに言及している。
ブライアン・ブルックス氏は大手仮想通貨取引所コインベースの最高法務責任者であったが、2020年3月よりOCCの新最高執行責任者として任命されている。
デジタルドルをリリースすることにより、米国をデジタル通貨のリーダーにすることを公に唱えている人物でもあり、就任に際しては仮想通貨業界に前向きな影響をもたらすのではないかと期待されていた。
銀行の仮想通貨カストディを可能に
ブルックス氏の就任後、OCCは仮想通貨に関して重要な政策を二つ打ち出しており、同氏はこれについても今回上院で報告した。
まず、2020年7月22日に発行された、銀行が仮想通貨カストディを行うことを可能にする解釈文書だ。
ブルックス氏は、合衆国および州の銀行が物理的および電子的な資産の保管サービスを長年提供してきたことや、1998年以来OCCがデジタル資産やその保管の重要性を認識してきたことに触れつつ、仮想通貨保管サービスの提供は、従来の銀行活動の現代的な形式であると結論したと説明している。
米国の銀行が仮想通貨市場に参入する道を開いたこの文書が発行されてからすでに、大手仮想通貨カストディアンのコインベースやアンカレッジなどの企業が、様々な銀行からサードパーティのカストディ機関になる気はないかとアプローチされているとした。
10月にポッドキャスト番組に出演した際ブルックス氏は、銀行が直接にカストディ業務を開始するには複雑な手続きが必要となるため、銀行はむしろ既存のカストディアンと提携するか、買収する方向に動くのではないかと予測を披露している。
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もう一方が2020年9月21日に発行された、特定のステーブルコインを発行する顧客に代わって、銀行が準備金を保有できることを明確にする文書だ。
このガイダンスの対象となるのは、ステーブルコインと1:1の比率で結び付けられる単一の法定通貨に限られる。
銀行の義務としては、毎日裏付け資金の残高が流通するステーブルコインの数と同額もしくはそれより多いことを確認すること、資金洗浄対策、KYC(顧客身元確認)ルール、証券法を遵守することがある。
一部のステーブルコイン発行企業はすでに銀行を利用し、裏付け資金を預けているが、これまで全国規模では明確なガイダンスはなかった。
一方で、OCCの文書を受けて証券取引委員会(SEC)の「FinHub」部門は、一部のステーブルコインは有価証券に該当しない可能性はあるが、それを明確にするために発行者がSECと連携するよう非公式の声明を出している。
関連:米通貨監督庁ガイダンス、銀行がステーブルコインの準備資産を保管可能にブルックス氏は、これからもOCCは仮想通貨分野について引き続き取り組んでいくとの姿勢を明らかにして次のように締めくくった。