蘇州市でも「抽選方式」の大規模テスト
中国・上海西側にあり、水の都とされるの中国・蘇州市で、デジタル人民元(DCEP:Digital Currency Electronic Payment)の大規模テストが行われることが分かった。深セン市での同様の試みに続く第二弾となる。
現地メディアThe Paperの報告によると、中国では大セールが行われる日として知られる「12月12日(双12)」に消費者がDCEPをショッピングに用いる実験が行われる予定だ。
蘇州市の実験では、深セン市で使われていなかった新機能も有効になる。DCEPウォレットのオフライン支払い機能である。この機能は、近距離無線通信(NFC)を活用することによって、インターネットへの接続がなくても、スマートフォンなど2つの決済デバイスを相互にタッチするだけで取引を行うことを可能にするものだ。
蘇州市相城地区の多くの企業が、すでにDCEP決済を可能にするNFC機能とQRコード機能を備えたPOS技術をインストールしているという。
深セン市での実験と同様に、抽選で選ばれた住民にデジタル人民元が配布される形になるようだ。
デジタル人民元実験はすでに170億円超の規模
深セン市ではこの10月、1週間にわたりDCEPの大規模実験が行われ成功を収めた。抽選に当たった一般市民5万人に総額1000万人民元(1億5800万円相当)を配布し、3000以上の加盟店における利用を促した。選ばれた5万人の95%がDCEPを受け取り、配布総額の88%が消費されたと報告されている。
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また成都市でも、参加者を限定したデジタル人民元の試用運転が行われていることが判明。中国の4大国営商業銀行の1つである中国工商銀行(ICBC)が、モバイルアプリ内の「DCEPテストウォレット」機能を提供しており、現在は一部の優良ユーザーがウォレット機能をアクティブ化できる。
11月9日には、北京政府も貿易と金融のパイロットゾーンを開設する一環として、DCEPの試運転を行うと発表している。
中国人民銀行(PBC)のファン・イーフェイ副総裁によると、すでにDCEPのテストは、2020年8月下旬までに合計11億人民元(約174億円)に相当する規模で実施済みだという。
ゴールドマン・サックスの見解
米大手投資銀行ゴールドマン・サックスはデジタル人民元についての予測レポートを公開している。今後10年間で、DCEPのユーザーアドレスは10億人分に到達し、国内消費額の15%を占めるようになるだろうと見積もった。
中国ではAlipayやWechatpayなど民間のモバイル決済が台頭しており、2019年の実績値でこうしたフィンテック決済が国内消費額の68%を占めている。
しかしDCEPは商業銀行に仲介されるため、ゴールドマン・サックスによると、DCEPが導入されるにつれて銀行も決済分野でフィンテックに対して競争力を取り戻すことができるようになるという。さらにDCEPは、当初は国内のリテール取引に活用されるが将来は国際決済などにも適用されるだろうと予想した。
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