マイナー税導入に反対してネットワークを占拠
11月15日にハードフォークが行われたビットコインキャッシュ(BCH)から分岐した新たなチェーンの一つ、ビットコインキャッシュABC(BCHA)に対して、51%攻撃が仕掛けられたことがわかった。マイナー税導入に反対するマイナーによる攻撃で、通常あり得ないコンセンサスルールへの変更を試みたことがわかった。
攻撃主体のグループは「Voluntarism.dev」と名乗っており、自分達はビットコインキャッシュコミュニティの「保守派マイナーとクジラ(大口投資家)」の集団であると説明しており、51%攻撃は、ブロック報酬を開発基金に配分するための「マイナー税」を導入することに反対しての攻撃だと主張している。
51%攻撃とは
51%攻撃とは、悪意のある特定のグループがハッシュレートの51%を支配することで、不当な取引を行うこと。攻撃対象となるのは「Proof of Work(PoW)」と呼ばれる、ビットコインも採用するアルゴリズムを採用する仮想通貨。
元々、ビットコインキャッシュがハードフォークしたのもマイナー税を巡るマイナー間の対立が要因だった。「マイニング報酬の8%を開発者資金に充当する」というプロトコルのアップグレードに対して意見の対立が起こり、BitcoinCashNode(BCHN)とBitcoinCashABC(BCHA)にチェーンが分裂した。
BCHAは8%のマイナー税を支持していたが、BCHNはこれに反対し、関連するソースコードを削除。現在、BCHNが多くのハッシュを獲得しており、多くの取引所などはBCHNを主要チェーン(ビットコインキャッシュチェーン)として対応を行っている。
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「ジョーク」のような攻撃?
攻撃を行う「Voluntarism.dev」グループはビットコインキャッシュABCが、マイニング報酬に8%の課税を行うルールを導入することに反対している。そして51%攻撃により、チェーンのハッシュレートの大部分を制御し、BCHAのコンセンサスルールを変更を試みた。
変更後のコンセンサスルールは、開発基金にブロック報酬の100%を送信するというもので、BCHAのマイニングをマイナーにとってまったく無価値にしてしまう仕様となっているという。
この抗議方法について、ビットコインキャッシュ開発者Chris Troutner氏は、マイナー報酬を無くすインセンティブは誰にもないため、「ジョーク」のようなものだとコメントしている。
BCHAのネットワークは小規模なため、51%攻撃にかかる費用は、1時間あたりわずか300ドルと見積もられている。
Troutner氏は、BCHA価格は現時点ですでに非常に低いために、ビットコインキャッシュABCの支持者には長く成り行きを見守る余裕があり、今回の攻撃によるBCHAへの長期的なダメージはほとんどないとの見解を述べている。
暗号資産(仮想通貨)ネットワークへの51%攻撃は、比較的小規模なプロジェクトに対してたびたび発生しており、2020年夏にはイーサリアムクラシック(ETC)が連続3回51%攻撃を受け、対策を講じている。
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