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ビットコインの利点と課題 シンガポール銀行レポート

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

シンガポール銀行、仮想通貨と金(ゴールド)の比較

シンガポール銀行・チーフエコノミストのMansoor Mohi―uddin氏が22日、暗号資産(仮想通貨)とゴールド(金)を比較する調査レポートを公開。

今月上旬に400万円に到達後、一時300万以下まで急落したビットコイン(BTC)の乱高下する値動きを「80年代の日本株のバブル、90年代のインターネット株、00年代の石油価格、10年代のIT企業株」などに喩えた。

レポート内でビットコインを筆頭とする仮想通貨を「デジタル・マネー」と表現したMohi―uddin氏は、仮想通貨が法定通貨に取って代わる可能性は低いものの、時間の経過とともに一部、電子的な価値の保存としてゴールドの代わりになるかもしれないとする持論を展開した。

デジタル通貨は発足当時「限られた供給量の下、法定通貨のように量的緩和などで増やせない仕組み」のビジョンを基に作られたと説明した同氏は仮想通貨が「お金」の主な役割を果たしていないと説明。お金の役割である交換手段、価値尺度、そして価値の保存の3点の内、それぞれにおいて完全に機能していないと語った。

海外送金などの国際送金で使う交換手段としてはビットコインはゴールド同様、不便だと指摘。またイーサリアムの送金スピードは既存金融のSWIFTなどと比べると遅いとした。

またビットコインなど仮想通貨がユニット・オブ・アカウント(価値尺度)として使われていないと述べた。

価値尺度は経済学における貨幣の機能の一つとされており、物価の価値を通貨で示すことを意味する。

唯一、価値の保存としてはゴールドに勝る点があると述べ、最もあり得るシナリオはゴールド(金)と並ぶ安全資産となることだと説明した。要因としてはゴールド(金)などの貴金属よりもデジタル上での移動が容易である点、また仮想通貨が若年層から人気が高い点を挙げた。

一方で、ゴールドもビットコインなど一部の仮想通貨も供給量が定まっている点、価格が投資家の需要と投機に左右される点も類似点だと語っている。

ワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)のデータによると、現在約19.8万トンのゴールド(金)が流通しており、地中に約5.7万トンが残っていると推定される。

対照的に、米FRB(連邦準備銀行)の推定によると米ドルの流通量は18.8兆ドル(1900兆円)に上るとMohi―uddin氏は説明。供給量が多い資産は強みだと説明した。

米セントルイス連邦準備銀行の統計によると2020年11月時点での米ドル流通量は19兆ドルまで増加している。

出典:Federal Reserve Bank of St. Louis

「デジタル・マネー」のリスク

さらにMohi―uddin氏は仮想通貨(≒デジタル・マネー)のリスクとして下記の想定されるリスクを挙げた。

  • 高いボラティリティ(低い流動性)
  • 株式などリスク資産と高い相関性
  • 金融危機の際に急落するリスク
  • ハッキングなどの不正リスク
  • 犯罪に利用されるリスク
  • 将来的にビットコインに代わる競合通貨が台頭するリスク

同氏は仮想通貨市場がまだ比較的幼い市場であるがゆえに、ボラティリティ(価格変動性)が高く、流動性も低いと言及。しかし長期的には機関投資家が市場に参入することで、価格も安定し一定水準で流動性の維持が実現できるだろうと予想した。

また仮想通貨が株式などリスク資産と連動した値動きを持つ点が、ゴールドのような安全資産となるには不向きだと指摘。さらに昨年3月のコロナショック時のように、金融危機の際に相場が急落するリスクが有ると説明している。

また2014年のマウントゴックス事件を例に、デジタルマネーの資産が不正行為により流出するリスクが有るとも言及した。

さらに仮想通貨の匿名性を悪用して、危険薬物の購入や犯罪などの違法行為に利用されるリスク、貴金属で有る金には競合する資産は主に銀しかないが仮想通貨ではいずれビットコインより優れたシステムが台頭するリスクも懸念している。

仮想通貨が克服すべき課題

その上でMohi―uddin氏は下記の4点を乗り越えるべき課題として挙げた。

  • 信頼できる機関が安全に仮想通貨を保管する仕組み
  • 機関投資家の参入(ボラティリティ低下と流動性の増加)
  • 規制当局からの受容
  • 政府機関が犯罪活動を減らしていくこと(レピュテーションリスクの軽減)

機関投資家の参入でボラティリティの安定と流動性が増加が見込めると考える一方、そのためには安全にデジタル通貨を保管できる機関が必要だと言及。また機関投資家の参入により、投機的側面ではなくファンダメンタル主導で価格も推移するようになると予想した。

また英国の金融行動監視機構(FCA)が昨年10月に発令した個人投資家の仮想通貨デリバティブの取引禁止や、米国の規制当局の動向を一例に挙げ、規制当局からの受け入れが進むことで仮想通貨を保有することで発生し得る評判リスクも低下すると述べた。

関連:個人投資家への仮想通貨デリバティブ提供禁止、英当局が正式発表

さらに仮想通貨に詳しい商品先物取引委員会のGary Gensler元会長が米証券取引委員会(SEC)の次期長官に指名されたことは仮想通貨への理解度の改善につながるかもしれないと期待感を示した。

その上でMohi―uddin氏は仮に、米SECがビットコインやその他仮想通貨のETFを認めたら大きなマイルストーンとなると予想した。

2004年にニューヨーク証券取引所(NYSE)でゴールドETFの取り扱い開始後に金の需要と投資家層が拡大した事例を挙げ、ビットコインETFの実現は規制当局からの受容を意味すると説明。

ETFという信頼できる金融商品という形で、新たな資金流入と市場参加者の参画が期待できる上、将来的には流動性の増加、ボラティリティーの低下、結果的に評判リスクの低下も望めるとした。

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