New York TimesのNFTが落札
米大手ニュースメディアNew York Timesが競売にかけた1つのNFTが350 ETH(6,000万円超)で落札された
競売にかけられたのは、同紙ライターKevin Roose氏がNFTに関して執筆したコラム記事をNFT化したもので、昨日より24時間のオークションにかけられた。
落札したのは、ドバイ拠点のミュージックスタジオ「@3fmusic」で、日本円にして6000万円を超える値段がついた。
高額落札となった背景には、チャリティー(寄付)の資金調達の目的があった点もある。NFTの作成時には、転売時に10%のロイヤリティを支払う契約を埋め込み(NFTではシステム的に転売時にも収益を得る仕組みを構築することが可能)、継続的な寄付のシステムに仕立てた。
また、NFTの購入者は、ブロックチェーン上のデジタル署名、PNGフォーマットのコラムイメージおよび今回のオークションに関するフォローアップ記事に落札者の名前や写真が載せられる特典を得ることもできる。
We have a winner! The NFT version of this column has sold for 350 ETH, or about $560,000, with proceeds going to the NYT's Neediest Cases Fund. https://t.co/gzbcw6Ymw7
— Kevin Roose (@kevinroose) March 25, 2021
Roose氏が得た収益は、New York Timesのチャリティーファンド「The Neediest Cases Fund」が引き受ける。The Neediest Cases Fundは100以上の歴史を持つチャリティーで、これまで総額330億円に相当する資金を調達し、他のチャリティーや家庭に分配している。
出版社によるNFTオークションは他にも事例がある。一例として、数日前に米老舗ニュースマガジンの「TIME」は複数の雑誌カバーをNFT化し、オークションにかけた。
コラムNFTについて
Roose氏は今回NFTのオークションの目的について、コラムの記事内でこのように説明している。
基本的には私自身がコラム内でセールスピッチはできないが、今回は例外だ。なぜなら、セールス対象がこのコラム自体だからだ。
NFT市場は現在大人気となっており、BeepleなどのデジタルアーティストやスポーツブランドNBA Top Shot、Kings of LeonなどのミュージシャンまでNFTを売っている。であれば、セレブリティだけでなく、ジャーナリストもNFTを売ることはできるだろうと考えた。
Kings of LeonなどではNFTとともに、コンサートのチケットも特典としてつけている。しかし、私はミュージシャンではないため、チケットを上げることはできないが、このNFTを買った方には、コラムの著作権こそ付与されないものの、ブロックチェーン上のデジタル署名、PNGフォーマットのコラムイメージおよび今回のオークションに関するフォローアップ記事に落札者の名前や写真が載せられることも特典に含まれる。もちろん、匿名のままでも全く問題ない。
さらに、「The Daily(The Timesのポッドキャスト)」の人気ホストMichael Barbaro氏本人から、購入お祝いメッセージも添付される。
上述の特典以外で、最も大きな特典は170年ほどの歴史を持つThe Timesの記事をNFTとして所有することだろう。