仮想通貨購入が平衡税の対象となるか
インドで、暗号資産(仮想通貨)が新たな税の対象となる可能性が指摘されている。現地の大手英字新聞The Economic Timesの報道によると、インドの税務当局は、海外に拠点を置く取引所で購入した仮想通貨に2%の平衡税を課すことを検討しているという。
平衡税とは
平衡税は、別名「グーグル税」とも呼ばれており、インド政府が2016年6月に、世界に先駆けグーグル、フェイスブック、アマゾンなどのグローバル企業に対するデジタル広告課税として導入した経緯がある。
▶️仮想通貨用語集
2020年4月には、この平衡税の適用範囲が拡大され、インドに拠点を置かない企業(非居住者)が、インド国内の顧客に対してオンラインで提供するサービス(「電子商取引の供給またはサービス」)も課税対象となった。企業間(B2B)取引はもとより、企業対消費者(B2C)取引も平衡税の対象に含まれる。
また、売り手と買い手の仲介者として機能するオンラインマーケットもその対象になると解釈されているようだ。
そのため、現地のある税務専門家は、この平衡税が、インド在住の顧客にサービスを提供している海外の仮想通貨取引所にも適用される可能性を指摘している。その場合、仮想通貨の販売価格が課税対象となり、取引コストとして、取引所が仮想通貨価格に税金を上乗せすることが求められるかもしれないという。(Transaction Square創設者、Girish Vanvari氏より)
一方、税務コンサルティング会社「AKM Global」のAmit Maheshwari氏は、「仮想通貨の扱いに関するガイドラインがないため、税法や外国為替管理法(FEMA)でどのように処理されるか、曖昧だ。」と述べ、仮想通貨が明確に定義された規制が不在のまま、政府が課税するのは困難だろうとの見方を示した。
インドの仮想通貨規制
インドにおける仮想通貨の法的地位は、まだ明確になっているとは言えず、不透明な状況は解消されていない。
規制の明確化という面では、財務省内の専門委員会が仮想通貨規制の検討を重ねていると報道されており、7月の時期国会で、ビットコイン(BTC)を資産クラスの一つとして分類する可能性が高いと言われている。その場合、インド証券取引委員会(SEBI)が仮想通貨の監督/規制を担当することになるだろうと情報筋は伝えている。
関連:インド、ビットコインが資産クラスとして分類される可能性=報道
また、今月半ばには、インドの大手取引所WazirXが適切なマネロンおよびテロ資金対策を実施しておらず、FEMA規則に違反しているとして、当局から理由提示命令を受けたと報じられた。WazirX側は、正式な通知は受け取っていないが、適用される全ての法律は遵守しており、プラットフォーム上の全ユーザーの追跡も可能であるため、捜査開始の際には、全面的に協力を惜しまないとの声明を出している。
関連:インド仮想通貨取引所WazirX、外国為替管理法違反か 当局が指摘
政府の規制整備がなかなか進まない中、インドでは仮想通貨業界を主体とした自主規制の動きも高まっている。CoinDCXやWazirXなどの大手取引所が今月、インド・インターネット・モバイル協会(IAMAI)と提携して、業界の行動規範を規定する諮問委員会を設立した。
この委員会はIAMAIの「ブロックチェーン・暗号資産カウンシル」の一部として、情報開示やコンプライアンスの仕組みの標準化するなど、仮想通貨分野の自主規制組織として機能する予定だという。