「マイニング企業と電力網の双方に利益」
中国で、暗号資産(仮想通貨)ビットコイン(BTC)マイニングの取り締まりが強化される中、米テキサス州が新たなマイニングの中心地として浮上している。そうした中、マイニング産業は同州の電力網にとっても恩恵をもたらし得ると議論されている。仮想通貨メディアThe Blockが報道した。
テキサス州は仮想通貨に先進的な地域の一つだ。6月には、仮想通貨を商法の中に位置づける法案が成立。これはビジネス法が仮想通貨に適用されることを保証し、関連事業を後押しするものだ。また、ブロックチェーンについてのワーキンググループ設立を求める法案も承認された。ブロックチェーン産業によるイノベーションや経済成長を促進することを目的とする。
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テキサス州でのマイニングについて、マイナーが流入することは送電網にとっても利益をもたらす可能性があると論じる意見が唱えられている。こうした意見は、北米の業界団体「ビットコインマイニング評議会」の席でも上がった。
2019年に北米最大のビットコインマイニング施設を開設したWhinstoneのCEO、Chad Harris氏はテキサス州を選んだ理由について、規制緩和により低い電力コストを実現できることを挙げた。
同時に、実際にテキサス州で事業を行うことで、マイニング企業が州の電力網を支援できることも分かったという。まず、ビットコインのマイニングは、電力が余りがちな農村部に施設を構えることができるため、余剰供給分を消費可能だ。さらに、マイニングマシンを常時稼働させる必要はなく、その時々の電力価格に応じて、オンオフを選択できることを指摘した。
また地元の業界団体「テキサス州ブロックチェーン評議会」のLee Bratcher会長も同様の意見を述べている。マイニング企業は、平常時には安定した電力需要を生み出すことで、供給オーバーの問題に対処することが可能。さらに、地域で特に電力需要が高まる時期には、マイニングマシンをオフにすることで対応できるとした。
これは、テキサス州の制度で可能になっている。米国では電力市場が規制されており価格も一定だが、テキサス州は1999年より固定料金を廃止。電力需要が増えると価格も上がる仕組みだ。
そこでビットコインのマイニング企業は、電力料金が高騰した時には稼働を停止して、より有利な価格条件になるのを待つことができる。Harris氏によると、6月に熱波が訪れてテキサス州で節電が要請された際、マイニング企業の幾つかは実際に操業停止していたという。
情報公開への期待
テキサス大学オースティン校の研究者Joshua D Rhodes氏によると、Harris氏らが話したような柔軟な体制を維持するためには、マイニング企業は稼働率に15%から25%の柔軟性を持たせる必要があるという。つまり、地域の電力需要に応じて、稼働率を75%程度まで下げられる必要がある。
ただ、テキサス州では、企業の電力使用に関する情報は公開されていない。このためマイニング企業が実際に、こうした柔軟な体制を敷いているかを確認することは難しい。将来は「ビットコインマイニング評議会(BMC)」などの業界団体が、こうした面でもリーダーシップを取ることが期待される。
評議会のメンバー企業BlockCapの創業者、Darin Feinstein氏は、BMCがより洗練された組織に発展することを望むとして、次のように話した。
まだ評議会は進化していく途上であり、今後は人々が求める情報を提供していくことも考慮している。