はじめての仮想通貨
TOP 新着一覧 チャート 学習 WebX
CoinPostで今最も読まれています

プライバシー保護にNFT活用へ オーキッドの新たな取り組み

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

NFTによるプライバシー保護

NFTは「Non Fungible Token」の略で、唯一無二の価値を持つトークンのことを指す。

例えば、仮想通貨(暗号資産)のイーサリアム(ETH)は、同じ1ETHであれば同等の価値を持ち、基本的に同一であると見なされる(1ETH=1ETH)。このことからイーサリアムは「Fungible Token」であり、価値が同じで同一だとみなれるため、交換が可能だ。

DeFi(分散型金融)の基盤にもなるイーサリアムのブロックチェーンでは、ユニスワップ(UNI)などの仮想通貨が発行されているが、こういった銘柄は「ERC-20」という規格で作られている。

一方でイーサリアム上のNFTは別の規格「ERC-721」で作成。ユニスワップなどの交換可能なトークンと違い、NFT用の規格は個別の識別子と、発行日時や追加のデータを記述する余白を持つ。そのため、唯一無二の価値を持つトークンが発行できる仕組みになっている。

デジタル証明書としての機能

またブロックチェーンの技術で、NFTとそれを所有するアドレスが紐づけられて管理されているため、所有権の証明が可能だ。この特徴は高額なアート作品の売買でも活用されており、NFTは「所有権のデジタル証明書」としても機能する。

所有権の証明に使うことができれば、スマートコントラクト(自動契約実行機能)と合わせることで、不動産の売買にも応用が可能。仲介者がいなくても、購入者の入金が完了すれば契約を自動で実行するといった仕組みを構築できる。

そして、仲介者が不要になれば、取引の摩擦が減り、コストや手続き時間が削減できるだけでなく、プライバシーのリスクを減らすことにもつながる。仲介者には利用者の氏名や電話番号などの個人情報の提供が必要だからだ。取引を仲介する第三者が参加することはメリットもあるが、仲介者が障害点にもなり、ハッキングで狙われたり、システムエラーによって個人情報が流出したりするリスクにもなる。

関連:高級時計をブロックチェーンで真贋保証、スイス Breitlingが実利用

デジタルアイデンティティによるプライバシー向上

上述したように仲介者がいることにはメリットもある。最近ではグーグルやフェイスブックのアカウントで、様々なウェブサイトにログインできるようになっており、利便性は高い。他のウェブサイトに個人情報を登録せずにログインできることで、一定のプライバシー保護にもつながっているとも言えるだろう。

しかし、便利ではあるが、中央管理者のシステムが個人情報を取り扱うリスクもあり、この状態では、ユーザーが自身のIDを完全に保有しているとは言えない。

対照的に、唯一無二で複製できないという特徴を持つNFTとして個人情報を保存しておけば、仲介者に頼らずに個人情報を保有し、認証に利用することが可能。ある権利を所有しており、第三者と個人情報を共有しなくても取引を行う条件を満たしているという証明もできる。例えば、NFTを持っている人だけ賃貸物件を借りられたり、自動車のシェアができたりするというようなユースケースだ。

NFTをベースにした「デジタルアイデンティティ」は、当事者ではない第三者と個人情報を共有する機会を減らすことによって、オンライン上のプライバシーを向上させることが可能。個人情報の認証はスマートコントラクトが自動で行ってくれる。

Orchid主催のイベント参加者にNFT配布

オンライン上のプライバシーやデジタルマーケットの効率性、インターネット文化の未来において、NFTの存在意義は重いとオーキッド(Orchid)は認識。そのため、オーキッドはNFTやそれを作成する人々と積極的に関わりを持つようにしているそうだ。

これまでのオーキッドのユースケースとしては、3月に開催された「Priv8バーチャルサミット」というイベントで、参加者が出席した証明にNFTを活用。出席した証明になるデジタルのバッジ「POAP(Proof of Attendance Protocol)」を採用した。

POAPは他にも出席や権利の証明に利用されており、例えばイーサリアム2.0のビーコンチェーンがローンチされた際、32ETHをデポジットコントラクトに入金した人らに配られた。

出典:Beaconchain

POAPはただ配布されるだけでなく、将来的にPOAP所有者に特典を与えるなどの活用方法もある。その際、権利が証明できるので、プライバシーを保護することが可能だ。

Priv8バーチャルサミットでは、NFTを販売し、「Electronic Frontier Foundation」や「CoinCenter」などの非営利団体に売上金の寄付も行なった。

また日本のコミュニティに向け、抽選でNFTが当たるキャンペーン活動を行なったという活用事例もある。

プライバシー保護とNFT

分散型VPNサービスを提供するオーキッドは、NFT(非代替性トークン)をプライバシー保護に活用しようと取り組んでいる。

NFTはゲームのアイテムやキャラクター、また最近ではアート作品やスポーツ選手など著名人に関するデジタル収集品等で注目が集まっているが、基盤になっている技術は応用範囲が広く、プライバシーの観点からも重要度が高まっているという。

VPNとは

「Virtual Private Network」の略。インターネット上に構築された仮想の専用線を指し、特定の人のみが利用できるネットワークのこと。安全なルートを確保した上で、重要な情報をやりとりできるメリットがある。

仮想通貨用語集

関連:非代替性トークンNFTとは|主な特徴と将来性を解説

NFTを活用すれば、仲介者に個人情報を共有しないことでプライバシーを向上させられる一方で、ブロックチェーンは「一度記録されたデータを変更・削除できない」という特徴を持つ。NFTに限ったことではないが、これはメリットにもデメリットにもなり、当事者が行なった取引は永遠にパブリックブロックチェーン上で公開された状態で記録される。

実名などの情報が記録されるわけではないが、これは「忘れられる権利」にも関わることで、オーキッドは「これでは本当の意味での高いプライバシーは実現できない」と考えている。

そこでオーキッドが開発したのが「確率的ナノペイメント(Probabilistic Nanopayments)」として知られるレイヤー2ソリューションだ。

このソリューションは、支払いの記録をランダムにブロックチェーン上に記録し、ユーザーのアクティビティを特定しづらくさせる機能を持っていて、オーキッドの帯域幅のマーケットプレイスにおける支払いに利用される。

オーキッドはNFTの革新的な可能性と、プライバシーを高めるソリューションを組み合わせることで、透明性や効率性だけでなく、プライバシーも重要視した新たな経済圏を作ることができると考えているという。

CoinPost App DL
厳選・注目記事
注目・速報 市況・解説 動画解説 新着一覧
12/08 月曜日
16:57
マクロン仏大統領、米仮想通貨規制緩和に警鐘 「金融不安定化のリスク」と指摘
フランスのマクロン大統領が米国のステーブルコイン規制緩和について警告を発し、金融不安定化のリスクを指摘。欧州中央銀行に金融政策の見直しを求め、欧州の金融主権維持を主張。ステーブルコイン市場は3000億ドル超に急拡大。
16:42
決済データDePINのSyFu、Finverseと提携しアジア5カ国のオープンバンキング展開へ
決済データ活用プロジェクトSyFuが、オープンバンキングプラットフォームFinverseと提携。香港、シンガポールなどアジア5カ国の約40金融機関と接続し、日常の支払いデータをトークンやNFTに変換できる仕組みを構築。欧州とアジアで世界規模のネットワークを確立。
14:58
トランプ大統領支援者所有の米Monet Bank、仮想通貨サービス事業に参入
トランプ大統領支援者アンディ・ビール氏所有のモネ銀行が仮想通貨特化型金融サービスに参入する。トランプ政権下での規制緩和により、エレボール銀行やN3XTなど仮想通貨対応銀行が相次いで誕生する中、資産60億ドルの小規模地域銀行がデジタル資産の保管・融資を提供開始する。
14:23
トランプ政権の国家安全保障戦略、仮想通貨に言及せず AI・量子技術を優先
トランプ政権が発表した最新の国家安全保障戦略で仮想通貨への言及がゼロ。AI・量子技術を重視する一方、「仮想通貨大統領」を公言してきた経緯との整合性をめぐり議論が起きている。
11:44
FOMC控え不安定な展開続くビットコイン、前週末は大口の協調売りか
暗号資産(仮想通貨)市場ではビットコインが一時9万ドル割れで3.4億ドル規模の大量清算発生。クジラによる協調売りの可能性が浮上し、週末の薄い板で2000ドルの乱高下が見られた。一方でマイナー降伏を示すハッシュリボン反転で底打ちサインも。FOMC利下げ観測と円キャリー巻き戻しが市場を揺さぶる。
11:30
ソラナDEX「ジュピター」の再担保に関する議論 「伝染リスクゼロ」主張を疑問視
仮想通貨ソラナ基盤のジュピターが「伝染リスクゼロ」と主張したことについて、競合Kaminoなどが再担保の実施を指摘し批判した。ソラナ財団プレジデントは両者に協力を呼びかけている。
09:11
フランスの大手銀行BPCE、仮想通貨4銘柄の取引サービス開始
フランスの大手銀行BPCEが約200万人の顧客向けに仮想通貨取引サービスを開始する。ビットコインなど4銘柄が銀行アプリで売買可能になる。
08:54
韓国、取引所に無過失損害賠償責任を導入へ アップビットのハッキング事件を受け
韓国金融当局が仮想通貨取引所に無過失損害賠償責任を導入へ。アップビットの445億ウォン不正アクセス事件を受け、2段階立法で規制強化。課徴金も売上高3%まで引き上げの方針。
12/07 日曜日
20:40
「ビットコインを価値の橋渡し役に」Bitcoin Japan CEO、繊維業からの大転換とAI戦略を語る
東証上場の堀田丸正から「ビットコインジャパン」へ大胆に転換したフィリップ・ロード(Phillip Lord)CEOが、CoinPost独占インタビューでビットコイン準備金戦略とAIインフラ投資の詳細を明かした。「日本の品質×米国の規模」で2030年までに500MW規模のデータセンター投資を目指す。
17:00
ハイパーリキッドの将来性・HYPEの買い方|注意点まで徹底解説
HYPEトークンの買い方から注目理由まで完全解説。手数料収益による自動買い戻し、機関投資家参入、ステーキング機能など、急成長するDEX「Hyperliquid(ハイリキ)」の魅力を詳しく紹介します。
14:35
仮想通貨取引所のキャンペーン・特典情報【2025年12月最新】
2025年12月更新:主要な暗号資産(仮想通貨)取引所が展開するキャンペーンと特典情報を徹底解説。仮想通貨取引の第一歩は、国内取引所の口座開設。初心者もトレーダーもキャンペーンや特典を駆使して、投資の機会を最大限に活用しましょう。
14:00
今週の主要仮想通貨材料まとめ、イーサリアム「フサカ」実装完了やソラナスマホの独自通貨発行計画など
前週比で振り返る仮想通貨市場の最新動向。ビットコインやイーサリアム、XRP、ソラナなど主要銘柄の騰落率や注目材料を一挙紹介。市場トレンドと関連ニュースを詳しく解説する。
12:00
ステーキング 主要取引所の仮想通貨別・年率報酬を徹底比較
【2025年12月最新】国内主要取引所のステーキング対応銘柄と年率を一覧比較。イーサリアムやソラナなど人気コインの高利率サービスを紹介し、各取引所のメリット・デメリットや税金のポイントも解説します。
11:00
週刊ニュース|JPモルガンによるストラテジーのBTC売却回避能力の評価に高い関心
今週は、FRBの量的引き締め終了、チャールズ・シュワブの仮想通貨取引開始、JPモルガンによるストラテジーのビットコイン売却回避能力の評価に関する記事が関心を集めた。
07:00
JPYCの買い方・使い方まとめ|何ができる?
JPYCが資金移動業ライセンスを取得し、日本初の円建てステーブルコイン「JPYC EX」を発行へ。特徴や将来性を徹底解説。
通貨データ
グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
重要指標
一覧
新着指標
一覧