エルサルバドル、ビットコイン法の施行まで1週間弱 国民の反応は

ビットコイン法案の施行まであとわずか

中米エルサルバドルでは、暗号資産(仮想通貨)ビットコイン(BTC)を法定通貨として導入するビットコイン法案(Ley Bitcoin)の施行に向けて一週間弱を切った。世界初の事例として各国から注目を集める中、国内からは法案を懸念し、反発する声も少なくない。

ビットコイン法とは

米ドルに並び、ビットコインを法定通貨として認めるエルサルバドルの法案。ブケレ大統領が推進して、6月9日に可決した。

法案の7条では、「決済手段としてビットコインを提示された場合、受取側は支払い手段として受け入れなければならない」という項目も含まれている。

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エルサルバドル業界団体である国際貨物輸送協会(ASTIC)はこのような項目を批判しており、ビットコイン法の施行を抗議するデモを牽引。「エルサルバドル国内で事業を展開する中米企業はビットコインを支払い手段として受け入れないため、国内外の企業で支払い手段に分裂が生じる」とする声明を発表し、特にビットコイン法の7条を批判した。

法案の7条に改正が加えられなかった場合、ASTIC側はビットコインでの支払いする団体には20%の追加コストを課すことも辞さないと発言。顧客からのビットコイン支払いの受付に反対する姿勢を示し、現金のみを受け付けるとした。

また、エルサルバドルの産業協会(ASI)のEduardo Cader会長もビットコイン法の提案と可決は急速に決定したもので、国内の金融インフラの準備が整っていないと指摘。ビットコイン法の12条では、国が国民にビットコイン取引の導入に向けた訓練を提供すると記していたが、いまだに行われていないと批判していた。

12条

ビットコインでの取引を可能にする技術にアクセスできない人々は、この法律の第7条で表明された義務から除外される。

国は、国民がビットコインの取引にアクセスできるように、必要なトレーニングやメカニズムを推進する。

なお、フランシスコ・ガビディア大学が7月上旬に1,233人の国民を対象に実施したアンケート調査では、54%がビットコイン法の導入は正しくないと回答。仮想通貨の法定通貨化に賛成を示したのは20%に留まった。(ロイター報道)

さらに、46%はビットコインについて「何も知らない」と回答し、65%がビットコインでの支払いを受け付けたくないと答えていた。

ブケレ政権の対応

一方、エルサルバドル政府側は依然としてビットコイン法を予定通り、9月7日(火)に施行する方針を維持している。

ブケレ大統領は先週23日、SNS上で野党側がビットコイン法の導入に反対していると言及。国民の恐怖心を煽動しているものの、9月7日の施行後は、「誰もが現実を知ることになる」と述べ、海外送金コストの削減、無料のBTC・米ドル決済、収入の証明、低金利ローンなどへのアクセスなどのメリットがあると説明した。

さらに、ビットコイン法の施行と同時に、配信が開始するビットコインと米ドルの電子決済アプリ「Chivo」のダウンロードと利用は任意であることを再び指摘。「使いたい人はダウンロードし、使いたくない人は使わなくていい」としている。

一方、エルサルバドルの政治評論家のJose Valdez氏は大手メディアの報道とは裏腹に、ビットコイン法の反対派は少数であると懸念を払拭することに努める。「ビットコインの利用が正式に開始すれば、メリットに気付くはずだ」と前向きな姿勢を示している。

国際的なメディアを含む、有益な現状を維持するために支払われる伝統メディアは、大きな見出しで「抗議」を売り込む。しかし現実はこの通りだ。

また、ビットコイン法の反対派からはビットコインの利用に関する教育が浸透していないとの指摘もあるが、ブケレ大統領はエルサルバドル国内に200台のビットコイン引き出しが可能なATMを設置すると説明。また、ATM以外にも入出金できる場所を50箇所設置すると述べており、この拠点ではビットコインやウォレットに関する説明を受けられるとした。

ビットコイン法の詳細

なお、実際のビットコイン法では、主に以下のような条項が含まれている。

確かに一部の懸念通り、9月7日以降はビットコイン支払いを受け付ける必要があるが、Chivoアプリを利用すれば即座に米ドルに換金することが可能だ(8条)。

3条

価格はビットコイン建でも表示可能。

4条

ビットコインでも納税可能。

5条

ビットコイン取引は譲渡所得課税の対象外とする。

6条

会計上は、米ドルを基準通貨として使用する。

7条

すべての経済主体は、商品やサービスを購入する人からビットコインを提示された場合、支払い手段としてそれを受け入れなければならない。

8条

国は、ユーザーがビットコインで取引を行い、希望すればビットコインから米ドルに自動的かつ即時に交換できる代替手段を提供しなければならない。さらに、国は、国民がビットコイン取引にアクセスできるよう、必要なトレーニングとメカニズムを提供しなければならない。

エルサルバドルのブケレ大統領は6月上旬、米マイアミ市で開催された大型カンファレンス「Bitcoin Conference 2021」にビデオ出演。ビットコインを法定通貨にする法案を提出する意気込みを見せ、大きく注目を集めた。

その後、カンファレンスでの登壇から数日後、エルサルバドル議会でビットコイン法の法案を提出。6月9日には84票中、賛成62と圧倒的な割合で可決された。

関連:【全文】ビットコインの法定通貨化、エルサルバドル大統領のスピーチを日本語で読む

ビットコイン法案に対する国民の懸念を考慮し、施策を打ち出しているブケレ政権。法施行された後のビットコイン決済の普及率について、国民感情がどのように変化するかもポイントとなりそうだ。

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