Kyber Networkの方向性
Kyber Networkは、異なるユースケースに対応した、多様な流動性プロトコルのハブとなることを目指しています。2020年までは、ユーザーや統合アプリケーションに対してシングル・エンドポイントを提供する単一プロトコルとして開発が進められていました。
上図の右側が現在のKyber Networkの方向性であり、現在最も注力しているのがDynamic Market Maker protocolであるKyberDMM です。このKyberDMMはネットワーク内でも大きな流動性と、大きな資本効率を提供します。
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現在、このKyberDMMは最も人気の高いイーサリアムだけでなく、他のスマートコントラクトプラットフォームへの展開も盛んに議論されています。
BSCへ新たに展開
現在、KyberDMMは3つのプラットフォーム上で展開しています。
- イーサリアム
- ポリゴン
- BSC(バイナンス・スマートチェーン)
ポリゴンとBSCは、イーサリアムの高い需要から逃れるためのサイドチェーンとしての役割を果たしており、イーサリアムと同じスマートコントラクトをデプロイできます。
各プラットフォームは独立して動いていることから、Kyberとしては一定のユーザー数が存在し、取引高や流動性が見込めるプラットフォームに向けてKyberDMMを展開していく意向です。
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BSCにおいては、9月2日から流動性マイニングプログラム「Rainmaker」が始動し、Kyberは特定ペアの流動性提供者のために400万ドル分のKNCを報酬として準備しました。
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プログラム継続期間は2ヶ月です。報酬対象となるペアは、USDT/BUSD、USDT/BNB、ETH/BNB、KNC/BNBの4プールです。各プールに500,000KNCずつが報酬として配布されます。
各ネットワークとRainmakerのための報酬(開始日のドル建て)は以下の通りです。ポリゴンと同等のKNCが割り当てられています。
- Ethereum…約1900万ドル(約21億円)
- Polygon…約378万ドル(約4.1億円)
- BSC…約400万ドル(約4.4億円)
BSCはEthereum Virtual Machine(EVM)との互換性があるため、KyberDMM以外にもイーサリアム系プロジェクトが同じスマートコントラクトをデプロイしています。
PancakeSwapなど有名プロジェクトも順調にユーザー数を伸ばしており、BSC全体のTVL(Total Value Locked:運用のためロックされた暗号資産の総価値)は9月7日現在で270億ドル(約3兆円)を超えています。
また、BSC上にも多様なプロジェクトが存在しているため、Kyberは今後もCoin98、DeFi Warrior、Faraland、Bunicorn、My DeFi Pet、Wanaaka Farmなどのプロジェクトと連携を取りつつ、BSCエコシステムの拡大に貢献する予定です。
Kyber Network CEOのLoi Luuは、「バイナンス・スマートチェーンはDeFiやNFTの基盤としてユーザーに支持されています。KyberDMMはBSCエコシステムに資本効率性と信頼性の高いプロトコルを持ち込み、流動性提供のための最大限の資本効率を提供したい」と話しています。
BSCにおけるKyberDMM TVL
イーサリアムでのプログラムよりも高いAPYが出ています。開始後6日の時点でBSC上のKyberDMM TVLは約6500万ドル、70億円弱です。
9月8日時点において、BSCでのTVLでナンバー1を誇るのはPancakeSwapの97億ドルであり、トップ5のプロジェクトは10億ドルを超えています。デプロイされて1週間程度のKyberDMMとは、まだまだ10倍近い差があります。
KyberDMMは、最も長く稼働しているイーサリアムにおいてはTVLが3億ドルほどあります。悪くない数字ですが、イーサリアムではまだまだ苦しい戦いを強いられているため、KNC保有者はポリゴンやBSCなどのプラットフォームでの成功を追い求める可能性があります。
フォーラムでの議論を覗いても、Uniswapが展開するOptimismのようなセカンド・レイヤーに関する議論よりも、より集権的なサイドチェーンでの議論が目立ちます。
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現在は、こちらも盛り上がりを見せているAvalancheでもRainmakerプログラムを行うための投票が行われています。可決されれば、KyberDMMが展開する4つ目のプラットフォームとなります。
これからもKyberDMMの横展開により、流動性と取引高を狙いにいく戦略は続きそうです。