IMF、仮想通貨のリスクを指摘
国際通貨基金(IMF)は1日、暗号資産(仮想通貨)の普及が金融の安定性に与える影響について考察した「Global Financial Stability Report」というレポートを公開した。
レポートでは仮想通貨が金融の安定性に多くの課題とリスクをもたらすとして更なる規制が必要であると促している。
仮想通貨のリスク
IMFは最新のレポートで仮想通貨エコシステムのリスクに言及。また、1日に公開されたブログではその内容をもとに、仮想通貨に関する現状のリスクと将来的に想定され得るリスクがそれぞれ挙げられている。
現行の仮想通貨のリスクについては「多くのエンティティが強力なオペレーション、ガバナンス、リスク管理の実務に欠けている」とした。エンティティとしては取引所などを例に挙げている。
例えば仮想通貨取引所は、市場の混迷時に入内な混乱に直面した。また、顧客資産のハッキングによる盗難で注目を集めたケースも見られた。
また、仮想通貨が普及するにつれ、将来的にもその重要性は増していくと指摘。現状、これらのハッキングなどのインシデントにより、金融の安定性に大きな影響を与えているわけではないが、仮想通貨が普及するにつれて、経済への潜在的な影響という観点での重要性はますます増加するだろうとした。
消費者保護が不十分であることも問題しており、仮想通貨の多くが取引高が無いか、開発者がプロジェクトから離れている、あるいは投機目的や完全な詐欺を働くために開発された可能性もあると指摘。
そのほか、挙げられたリスク要因は、消費者保護の不足、仮想通貨の匿名性、各国で異なる規制のフレームワーク、ステーブルコインなどもあるという。
将来的な脅威としては、ドル化(dollarization)、そして仮想通貨化(cryptoization)を挙げている。
ドル化・仮想通貨化とは、現地通貨の代わりにドル(米ドルステーブルコイン)あるいは仮想通貨が使われるようになることを示しており、政府・中央銀行による金融政策の効果が低下する可能性が指摘されている。
仮想通貨化については、すでに中米のエルサルバドルでビットコインが法定通貨として採用された事例がある。
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なお、エルサルバドル政府はビットコインの法定通貨化に際して、途上国に融資等を行う世界銀行に支援を求めているが、現在は拒否されている。
上記のほか、脱税による国家財政への脅威、シニョリッジ、マイニングによる環境への影響などもリスクの要素として挙げている。